小野が負傷 松井がラトビア戦で先発

うーん、痛いというか残念というか。

練習の途中で、小野が右足首をひねり、練習を切り上げた。小野は自ら歩いてピッチを去ったが、ジーコ監督はラトビア戦に小野を先発させず、代役に松井を起用すると明言。

黄金の中盤を試すラストチャンスだったのに…、非常に残念です。もちろん代わりに出る松井選手がどれだけやってくれるかは非常に楽しみですが、それでも来年の本大会を前に中盤での中田、中村、小野選手が並んだ時にどんな景色が見えるのだろうというのは興味がありました。

ラトビア戦の先発予想は以下の通り。

GK:土肥
DF:駒野、茂庭、田中、中田浩
MF:稲本、中田英、松井、中村
FW:高原、柳沢

それでも敗戦や選手の怪我など、外的要因で選手を入れ替えてそれが結果につながることも多い日本代表ですから、ここで松井選手や中田浩選手が左サイドのレギュラーを取ってしまうような大活躍をしてくれることを期待しましょう。


ラトビア戦前日 ジーコ監督会見 スポナビ

――小野に代わって松井が出場することになると思うが、あのポジションでどのようなことを期待するのか?

 小野は(練習中に)足を引きずっていたので、残念だが今回は無理をする必要もない。彼も手術の後、復帰してまだ3試合くらいということで、まだ少し痛みがあるようだ。
 松井については、以前に招集してからブランクもあったが、連係も含めて彼の良さを出してくれればと思う。

そうですね、今は何ら無理する時期ではありませんね。


ただ、この松井選手に関する部分がもっともジーコ監督らしいというか、だからこそ私には物足りなく感じる部分があります。基本的にはジーコ監督はあくまで選手目線のままで、監督を続けている。自分の頭の中に描くピッチ上のイメージを強く押し出すよりも、ただそこに選手を置いて持っている力を最大限出してくれればいいと考えるのでしょうね。監督の仕事はあくまでも選手を気持ちよくプレーさせる環境を作ること、多少の約束事は必要でも、監督側から示す約束事は少なければ少ないほど良くて、選手たちが気持ちよくプレーするために選手たち自身で考えればよい。易しいようでいていて難しいことだし、それで監督の仕事をしているのかと突っ込みたくもなる。


クラブで出場機会の少ない稲本選手ですが、あえてワンボランチで臨む意図は、

――稲本のワンボランチ起用の意図は?

 フォーメーションのひとつのオプションだ。稲本自身は前へ飛び出すことを好むタイプの選手だが、この前のホンジュラス戦のことも含めて、後ろに残って前(の選手)を動かしていくことを新しく試みてみたい。

松井選手に対するリクエストのなさとは対象的に、ここでは具体的な期待値を表現していますね。珍しいです。ここもどれだけやれるのか、非常に楽しみなポイントです。


あと今回の前日会見で気になるポイントが2つ。

カバーに関しては、今回は(DFが)4枚だが、右サイドの駒野はウイングバックでプレーするタイプで勢いもある。ただし、同じラインの中田浩と「つるべの動き」をすること、それから真ん中の2人に関しては必ず1人が残ること

ジーコ監督が考える守備は、やはりここに始まってここに終わるのでしょうね。今までの4バックでは比較的右サイドの加地選手が左サイドの動きを見ながらバランスを取っていたのだろうと思うのですが、ラトビア戦の4バックはどちらがバランスを取るのでしょう、やはり左サイドの中田浩選手かな。

水曜日にウクライナとの試合があるが、本大会が行われる欧州で試合ができるのは今回だけだと思う。こうした機会は大事にしたい。コンフェデレーションズカップでもドイツで、本大会で戦うであろう相手と対戦することができて、非常にいい経験をさせてもらった。ただし、このように欧州で調整できるのは、本大会までは今回が最後になるだろう。大事に戦いたい。

やはり、来年の本大会に向けて強化のためのテストマッチはそんなに組めないのですね。貴重な機会なのだから、だからこそベストメンバーのDFを…(以下自粛)。


ラトビア戦前日 選手コメント
選手コメントからも、守備のバランスに対する考えが多く聞けて、面白い。

ラトビア復習

昨年のユーロ2004で見たラトビアを復習しよう、自分。
チェコ - ラトビア グループリーグ第1戦 2004/06/15

でも、ラトビアのカウンターは鋭いです、2トップだけでスピードに乗った惜しいチャンスを作ります。


ラトビア - ドイツ グループリーグ第2戦 2004/06/19

ボールポゼッションはラトビア37:63ドイツなのですが、一進一退の攻防に見えます。


オランダ - ラトビア グループリーグ第3戦 2004/06/23

前半45分間での2−0という得点経過については、なんとも言いようがありません。両者の実力にはそれぐらい(GKのコリンコがいなければそれ以上)の差があるでしょうし、グループリーグ3試合目ともなれば、初出場の小国ラトビアとはいえ相手も充分警戒して試合に臨んできます。また、守備をする時間の長いラトビアチームにとってはスタミナの問題もあるでしょう。前半45分を終えての感想は『これまでか、ラトビア』というものでした。


しかし、後半開始直後のラトビアの反撃には正直感動しました。選手たちは前半オランダと実際に戦って彼我の実力差というかテクニック、スピード、パワーの差をきっと体感しているに違いありません。それでもなお、後半立ち上がりから果敢にオランダ陣内に攻め込み、何度となく際どいチャンスを作ってオランダ守備陣をあわてさせます。さすがに後半20分も過ぎると、またラトビア選手の足も止まってしまいました。90分間戦って、結果を見れば3−0の完敗です。

しかし、私はこのユーロが終わってもラトビアは忘れません。2004年6月のポルトガルで、サッカー大国に対しても一歩も引かないラトビアの意地とプライドを確かに見ました。正々堂々とファイトし、例え劣勢でもラフプレーや汚いファウルは絶対しない。ラトビアの戦いは心に直接語りかけてきました。

『ドイツで見たいぞ、ラトビア

日本 - ラトビア

決意の東欧遠征〜誰か決意の意味と内容を教えてください。


さて気を取り直して、日程がオールスターと重なったり、小野選手の怪我があったりと、様々な要因がありますが、それでもスタメンの中に、駒野選手、茂庭選手、松井選手、そしてサブのメンバーで大久保選手が控えているなど、明らかに『アテネ経由ドイツ行き』が段々と実現しそうな雰囲気ですね。これでFWに田中達也選手やMFに阿部選手や今野選手などがメンバー入りしてきたら、結構年齢のバランスが良くなりそうなメンバーじゃないですか。


試合は戦前の予想通り、ボールをまわす日本に対し、まず守りを固めて一瞬のチャンスをカウンターで生かそうとするラトビアという、両国のストロングポイントが出まくる展開です。そんな前半5分、実況の角沢氏も『呆気にとられた』高原選手のロングドライブシュートが決り、あっさり日本が先制しました。
最初のうちはダイレクトのパスがつながったり、タイミングのいいサイドバックの上がりがあったりと、日本がラトビアの守備を揺さぶっていましたが、徐々にラトビアの守備陣も日本のボールまわしのリズムに慣れてきましたね。柳沢のジャンピングシュートや中村選手のドリブルからのミドルシュートなど惜しいチャンスもありましたが、追加点は奪えません。


時間が経過するうちに、日本のパスまわしのリズムを掴んだラトビアの守備が、日本のパスミスを狙い始めて危ないシーンが出てきました。カウンターから日本のゴール前に迫ったり、DFやMFのスピードのない危ない横パスをカットしてショートカウンターを見舞ったりと、ラトビアもチャンスを作りますが、得点は奪えずに前半が終了します。


しかし日本の選手は滑って転びますね。試合前にピッチに立った練習で何を確かめているのだろう。百歩譲って、前半転ぶのはしょうがないとしても、後半まで滑って転ぶか。土肥選手は何度転んだんだろう。3回目は相手にパスしましたね。それでも滑っている選手がいるのかどうか分からなかった実況の角沢氏は素敵です。現地まで行って、ピッチを見ないで何を見ているのだろう。サッカーが見えていないことは確実ですね。


後半も立ち上がりは日本がリズム良くボールをまわし、前線で柳沢選手が倒されてPKを得ます。これを中村選手が決めて2−0となります。しかし、ここからがラトビアの時間でした。体力的な問題もあるのでしょうが、守ってから勝負に入るラトビアの勝負のツボにはまってしまった感じですね。実況や解説者は意外な展開という語調で話していましたが、昨年のユーロ2004を見ていれば、ラトビアが2点差ぐらいで諦めるはずはないし、日本のスピードのないパス交換のインターセプトを狙うのは、前半から見えていました。特に2点差になって失うものがなくなり、ラトビアの選手全員が「攻めるぞ」という意識で統一された時間帯からは、日本はボールをまわせないし触れないような、完全に圧倒される時間が続きました。


後半の22分にセットプレーから1点を返されましたが、この失点場面以外でも、ヘディングの競り合いでマークがずれている場面は多々あったような気がします。もともとの身長や体格で負けていて、その上でマークもずれていては失点は時間の問題でした。
この得点でさらに前掛かりになったラトビアは、ボランチ中田浩二選手の横(やや後ろ)に戻すパスを綺麗にインターセプトしてそのままラトビアが同点に追いつきます。横パスを取られた時には、相手はスピードに乗ってきているし、自分たちの選手は置き去りにされてしまう。前半から危ないなと思うパスはあったのですが、それが最後の体力が落ちてまわりが見えなくなる時間帯に出てしまいました。まさかの同点というよりは、必然の同点と言う印象ですね。


ジーコ監督の選手交代ですが、大久保選手の投入は別にして、後半31分に坪井選手と三都主選手を投入し、3バック2ボランチに変更した時は『おぉ!!』と感心してしまいました。バックの人数を増やして、中盤の底も守備に厚くする。結果は出ませんでしたが、監督が試合中に打つ選手交代の手段としては納得の選手交代でしたね。しかし、結果的には守りきれませんでしたけれど。
守りの為の投入としては、三都主選手の守備は軽すぎますね。守備のオプションがなさ過ぎます。店じまいを上手にする為の、ベンチ要員がいない、23人の役割分担を考えたメンバー選出ができるかどうかが、これからのポイントになるのでしょうか。


試合は引分けに終わりましたが、日本にとっては課題があぶりだされて最高のテストマッチになったのではないでしょうか。ラトビアに感謝しないと。90分を通した試合運びというのでしょうか、得点を狙いに行かなければいけない時のオプション、あと何分を守りきらなければいけない時のオプション。ラトビアは好きな国ですが、それでもあえてこういう表現をしますが、ラトビア相手にすら守りきれない守備と言うのは、真剣に考えないと本大会で散々な結果になりますよね。
試合前に前の試合を振り返るVTRで、先月のホンジェラス戦の日本の得点場面だけを放送して、失点場面は放送をせずに、目をつぶってなかったことにするような考え方だと、これからも同じことの繰り返しですね。テレビ局だって、課題は課題として指摘し、欠点は欠点として声高に放送するくらいでないと改善の雰囲気すら浮かびそうもありません。まあ、試合後のインタビューで、中田英選手などは随分危機感を持っているようでしたが。