誰が言わせてしまうのか

こちらの中田英選手のコメントについて、朝のラジオ番組で取り上げて騒いでいましたが、非常に真っ当なことを言っているだけで何も騒ぐようなことではないし、あのチームを見続けていれば当然感じることだと思うのですが。
日本代表の中田英寿、心境を語る AFC公式

また、日本代表のジーコ監督の方法についての懸念も明らかにし「この瞬間、あのチームはどこへも向かっていないと感じる。新しいことにトライしているとも、ミスから学んでいるとも感じられない。」と述べた。

チームに対する感じ方は様々だと思うので、あのチームが成長していると思う方もいるでしょう。それはそれで否定しません。あのチームなりに発足当時よりは成長しているのは事実でしょうし、そこまでは否定しない。でも、与えられた時間や選手のこれまでのキャリアを考えた時に、考えられる最善の進化や成長を遂げているのか。可能性を最大限に引き出すために何かチャレンジやトライ、テストをしているのかと問われれば疑問を感じざるを得ない。成長があるかどうかは何に対して考えるのかで変わってきますから、チームの集合当時よりはわずかながらでも成長しているとしても、4年という歳月の中で目前に迫った本大会を戦えるレベルにまで成長しているのかどうかは非常に否定的です。


本当はそのあたりの問題点をファンやメディアが指摘して、チームなり協会を下から突き上げるようなプレッシャーを常に掛けていなければいけないのだと思います。現状に満足することなく、もっと強くするためにはここが足りないとか、ここを変えろとか。でも、日本のメディアはサッカー協会の提灯持ち的な記事や表面の勝利か引き分けか敗戦かという結果を薄っぺらく伝えるだけで、例えば勝利した試合に対してでも鋭く要求する姿勢が少ない。引き分けや負けなら本来はもっと代表監督が責められ、選任した協会に対しても厳しい意見が突き上げられなくてはいけなかったと思っています。


サッカー界周辺の評論家と言われる人たちやメディアからの突き上げが少なかった結果、選手である中田英寿という青年にこのような発言をさせる羽目になっている。中田選手が言っていることは当然感じることだと思うし、それを選手の口から言わせてしまう日本サッカー界は悲しいですね。エクアドル戦の勝利に対して、「南米勢から初勝利」という見出しを見かけましたが、記録上は嘘ではない。しかし、あの試合を見て勝ったことに喜んでいていいのか。日本代表に求められているものは「目前の試合に勝つこと」もあるけれど、それ以上に「本大会で前回以上の(前回並みの)結果を残すこと」ではなかったのか。


その視点から考えれば今回の中田選手の発言はまったくもってその通りとしか言えないです。この発言について、監督がどう思うかというのはもう問いません。協会の会長や強化委員長はこれを見て何を感じるのか。自分達の選択が正しかったと言えるのか。就任以降、見直すチャンスを自分達の責任を覆い隠すために自ら捨ててきたのではないか。本大会を目前にして、何ともほろ苦い気分です。