JFAテクニカルレポート

DVDを借りて見ました。


中身はDVD一枚と小冊子のような薄い本が一冊という構成になっていて、最初に本を読んだ時はちょっと失望しかけたのですが、その後DVDを見てから少し評価が変わりました。
本については、大部分が2006年のドイツ大会全般の傾向を振り返っているのですが、DVDについては大会全体の傾向と共にその傾向にまったく乗れていない日本代表という視点が本に比べてクローズアップされているように感じました。


DVDのメニューにおける、日本代表に関する部分です。

  • 日本への示唆

日本の成果
連動力を生かした守備があったが、90分を通して行えなかった。
速い判断からボールが動き、攻撃が組み立てられる時があった。(ブラジル戦の玉田選手のゴール)

  • 日本の課題(攻撃) 技術

状況に応じた技術(スキル)が発揮できなかった。足元にコントロールしてしまうため、相手に狙われる。前方へ選手が侵入できず、ボールを前に運べない。
動きながらの技術がない。プレッシャーを受けながらでも、トップスピードで動いて正確なプレーができる技術。

  • 日本の課題(攻撃) 運動量

パス&ムーブという、当たり前の事ができていない。
守備から攻撃に切り替わった時に、攻撃に関わる選手が少なかった。多くの選手が関わらなければ、世界のトップレベルの強固な守備は打ち破れない。プレーの質に加えて運動量が重要。

  • 日本の課題(守備) 奪いに行く意識

1試合を通してのボールを奪いに行く意識は世界と大きな差があった。目の前にボールがあっても立ち塞がるだけでボールを奪いに行っていない。奪いに行く意識の低さが見て取れる。
簡単に交わされてしまう。どのようなポジションの選手でも、個人の守備力で奪いに行かなければならない。守備を免除される選手など、どのポジションでもいない。


日本のダメダメおおうりを見せた後に、「世界のトップレベルでは…」という切り口で本大会での他国の好プレーを見せて比較する手法は確信犯だと思うのですが、これは日本国民に見せるのではなくて、前日本代表監督に見せて欲しい映像ですね。あなたはこの程度のチームしか作ることができなかったのですよ、何故ですか? と聞いて欲しいものです。
まあ、本質的な問題はそんな監督を雇った協会自身であるのですから、ダメダメっぷりを直接的に表現することはできなかったのでしょう。「イタリアのガットゥーゾの守備に注目してください」と言われても、ガットゥーゾのようなタイプの選手を監督が一切選んでいないのだからどうしようもない。


現象を散々見せておいて、『なぜ、そうだったのか』には一切触れない不思議な検証DVDです。よくできた”マトメ”だとは思うのですが、ドイツ大会の無残な日本代表の検証にもなっていなければ、次につながる提言にもなっていない。売れなかった商品に対して、「ほら、こんなに売れませんでした」とレポートしているだけで、『なぜ、売れなかったのか。また、この商品や次の商品を売るためにはどうしたら良いか。』が一切含まれていない、低レベルのレポートですね。