日本 - キプロス

内容をどうこう言う試合じゃありませんが、壮行試合としては最高の代表戦でした。
だって2010年のこの時期は思い出したくもないような試合でしたし、その前の2006年もまあ、ね。それに比べたら天と地です。もちろん天の方。そうはいっても収穫と課題と両方ありましたけど、まずは収穫から。


・試合の中で怪我人が出なかった
・欧州のシーズン中に怪我人だった選手が試合に出られるぐらいに回復していた
・最後に日本代表に滑り込んだ大久保選手がキレキレだった


課題としては、


・欧州シーズン中に思うように試合に出られなかった選手が相変わらず今一
・交代選手が出てもチームの特徴が変わらない


こんな感じを受けました。


収穫については、対戦相手の選び方の成功もあると思いますが、激しいけれど汚くはない相手でちょうど良かった。キプロスのFIFAランキングは日本よりも相当低いですが、ワールドカップ予選やユーロの予選等で常に強豪国と戦っているだけあって押し込まれて守る時間が長くなっても切れたりせず最後までフェアに激しく戦ってくれたので、日本の選手も変に痛むことがなく、この時期のマッチメイクとしてはいい相手だったと思います。仮想○○とかテレビ局など言いがちですが、逆の立場に立って考えると日本と同組の対戦相手国が仮想日本として仮に韓国とマッチメイクしたとしても何の参考にもならないことは明らかですしね。この時期フェアにやってくれる相手が一番です。
そして内田、長谷部選手など、怪我明けの選手が普通に試合を出来ていたことも安心しました。ザッケローニ監督が23人に選んでいる時点で大きく心配することではないかも知れませんが、それでも実際にプレーしているところを見られるのは安心です。これから初戦までまだ2週間強ありますので、もう一段階コンディションは上がるでしょうし。
そして大久保選手の思い切りのいいプレーやミドルシュートなどは今までのザッケローニ監督の鉄板メンバーに新しい風を吹き込んでくれそうな予感を感じられました。短いパスをつないでDFの裏を取って最後はGKまでを交わしてシュートをしがちな日本サッカーですが、引いた相手に対し少しでもコースが見えたら足を振りぬく大久保選手の存在は心強い。


課題については、本田選手が心配ですね。同じく試合に思うように出られなかった香川選手は自分の2m範囲内の仕事はきちんとこなしていたように見えましたが、本田選手は特徴であるタメと思い切りのうちのタメのほうは出来てましたが思い切りについてちょっと物足りなかったように感じます。プレーにキレがないというよりも判断にキレがないように感じてしまいました。
また岡崎選手と交代で出た清武選手ですが、これは清武選手の問題ではなくザッケローニ監督の23人の選び方の問題なのですが、それでも変化がない。もともと23人を選んだ段階で守備的にはいかないよとか空中戦はやらないよというメッセージが含まれている選手選考ではありましたが、それにしても交代で変化がつかない感は否めません。味付けは変わらず風味が変わったぐらい、味噌味から醤油味や塩味への選手交代ではなく、味噌の中の白味噌からあわせ味噌に変わったぐらいの変化というか、ちょっとゴマを振った感じというか。それも分かっていて日本らしい戦い方をするつもりだとは思っていますが、それでもちょっと心配です。


恐らくこれがザッケローニ監督が日本国内で日本代表を指揮する最後の試合になるのだと思いますが、この4年弱は面白かった。外野に何を言われてもほとんどぶれない本物のプロコーチって感じでした。あれだけJの試合も見てる人が選んだ日本代表なら、例え3連敗に終わろうとも納得ができそうな気がしています。少なくと3試合終わってからフィジカルの強さがなかったとかの言い訳をするとは思えないし、どんな結果になっても胸を張って責任を受け止めてくれそうな監督です。そんなザッケローニ監督がブラジルでどんな戦いを見せてくれるのか、楽しみでしょうがない。願わくば準備期間のコンディション作りに失敗することなく、チームの雰囲気作りに失敗することなく、グループリーグ初戦を迎えて欲しいものです。日本のキャンプ地のホテル、間に合うのかな。