ラトビア戦前日に。

今ひとつ注目を集めていないように感じる日本代表のラトビア戦前日ですが、ドイツでの本大会に向けて、少しだけ現在の日本代表に対する自分の気持ちを考えてみたいと思っています。


2002年の自国開催のワールドカップを、グループリーグ突破という目標を達成したもののトーナメント初戦で敗退という何とも微妙な成績で終えた当時の日本代表でしたが、あの時点での私の感想は『良くやった。』というものでした。自国開催の本大会ではグループリーグ突破は最低限の目標達成だと言う考え方も分かりますが、それ以前にワールドカップには1回しか出場していなくて、その大会でも3戦全敗で勝ち点は0、3試合での得点も1点しか取っていない国の代表チームが、次の自国大会のグループリーグで第1シードに入ったとは言え2勝1分の勝ち点7で、堂々のグループリーグ首位突破を果たしたのですから、トーナメントの初戦がどのような敗戦だったにしろ、充分評価に値する戦績だったと考えていました。


そこで次のドイツ大会に向けて、日本サッカー協会は監督を誰にするのだろうと興味深く見守っていたら、何と監督経験のないジーコ氏に依頼し、ジーコ氏も承諾して日本代表監督に就任しました。『本当に大丈夫なのかな』と疑心を抱いたままで見ていましたが、コンフェデフランス大会での選手の起用法や第1回東アジア選手権で優勝を逃すなど、疑心は強まるばかりでした。
その後の日本代表は紆余曲折を経ましたが、アジアカップ中国大会での優勝やワールドカップ予選突破など、結果を残して現在に至っています。予選を戦う中で疑心は確信に変わり、私は代表監督を代えたほうが日本代表は強くなるのではないか、そう思うようになりました。そして、その思いは現在でも変わっていませんが、本大会まで8ヶ月余りとなった現時点では、監督交代は現実的ではないと思い、心配を抱えながらも見守っているような状態です。


例えるなら、自分がある競技の選手だったとします。それもその競技の中ではトップレベルの選手だったとします。ですが、現在自分は怪我を抱えてプレーを続けている。怪我を抱えながら、体を騙しながらのプレーでも、そこそこの結果を出してはいるものの、心の奥底では「自分のプレーはこんなものじゃない!」という叫びを抱えている。
そんな状態の中で将来のある時期に、これからの選手生活を左右するような大きな大会がある。このまま怪我を抱えながら、騙し騙しのプレーでも何とかなるかもしれない。でも、手術をすれば元のトップパフォーマンスを取り戻せるかもしれないが、もちろん手術は失敗するかもしれない。今、手術の決断をすれば、リハビリ期間を含めても大会までに復帰できる可能性は高いけれど、悩んでいるうちに残り時間はどんどん少なくなっていく。このままプレーを続けても、そこそこのプレーはできるかもしれないけれど、本大会までに壊れてしまうかもしれない。手術が成功するか失敗するか、手術をしなくても本大会まで壊れないか壊れるか、結果は誰にも分からない。


まあ、とんでもなく長い例え話になりましたが、現在の日本代表に対する心境を例えるとこんな感じになります。残り時間は少ないけれど、お隣の韓国は手術の決断をした。予選を突破して本大会の切符を手にしても監督交代の決断をしたのです。これが成功するのかどうかは誰にも分かりませんが、私はその勇気は凄いと思います。
怪我を抱えたままでもプレーはできるし、本大会にも出られる。アジアカップにも優勝したし、予選も突破した。でもそれは自分で考えるトップパフォーマンスではない。コンフェデは2大会連続でグループリーグ敗退だし、東アジア選手権でも2大会連続で優勝を逃している。日本はそんなに弱いのか。弱くても許せるのか。


そんな複雑な心境が頭の中をぐるぐる回った結果が現在です。手術をする勇気もないし、手術という決断は、最後の最後まで追い込まれないと積極的に考える風土ではない。良い面だけを信じ、悪い面には目をつぶり、祈る。
予選は突破しましたが、直後の東アジア選手権でも優勝できないし、ホンジェラス戦でもあのような試合内容。それでも疑問の声は上がらないのが不思議です。まあ、私が不思議がっても何も変わらないので、祈りつつ見守るしかないというような心境です。


今回のラトビアウクライナがどれほどのモチベーションで戦ってくれるのかは分かりませんが、試合についての良い面は評価し、悪い面は批判し反省し改善を図る。たくさん失点したけれど勝って良かったとか、負けて悔しいとかではなく、現在の日本代表が抱えている問題をあぶりだして改善するような試合内容になるといいんですけどね。でも、例えば今回失点をしても、『DFがいつものメンバーではなかったから…』で終わってしまうのでしょうね。実際にいつものメンバーでないことは事実なのですが、だからこそオールスターより代表戦を優先して監督が考えるベストメンバーでこの2試合を戦って欲しかったと思います。始まる前から残念な話をしてもしょうがないのですが、今年の代表のテストマッチはあと3試合だけで、来年の前半もアジアカップの予選を優先するためワールドカップ用のテストマッチを優先して組めないそうです。


やはりできることは、本大会で良い結果が出るように祈るだけなのかな。

ラトビア戦予想スタメン

朝のJ-WAVEの番組で流していた練習による予想スタメンだそうです。

   柳沢    高原
       中村
   小野    中田英
       稲本
中田浩 田中 茂庭 駒野
       土肥


(柳沢、高原と田中、茂庭の左右の並びは分かりません)

中盤をダイヤモンド型にした4−4−2だそうです。これはこれで非常に楽しみです。
黄金の4人(懐かしい響きだな)が同時にスタメンになるのは、ニッカンによると04年3月31日のシンガポール戦以来ということで、この中盤の4人が同時スタメンだと2勝3分で負けがないというので心強い。


ラトビア戦前々日 選手コメント

稲本潤一WBA

(ポジションについて、ジーコからは)自分がダイヤモンドの底になって、あまり上がらず、(中田)ヒデさんと(小野)伸二を動かすように言われた。(自分が)真ん中に入るのは初めてだけど、ホンジュラス戦ではヒデさんが中に入ったりしたので、その流れだと思う。

この部分、中盤のバランスがどのようになるのかは、非常に興味があります。
しかし、ここから先ですが、

カバーリングについては)4バックの裏のスペースが空くことがある。どちらかのセンターバックがつられたら、自分がカバーに入る意識を持ちたい。(4人の中で)初めてやるのは駒野だけ。彼の意見を聞きながら、明日また確認したい。前の選手については、もう3年もやっているので問題ない。

結局、中盤の選手が今回のメンバーのDFラインとどれだけすり合わせを重ねたところで、果たして今回の欧州遠征以降も今回のDFラインがどれだけ日本代表のスタメンに名を連ねるのだろうと言うむなしさもあります。


新しい代表の姿を求めて 短期連載 宇都宮徹壱のリガ・キエフ日記

もちろん、ワールドカップの本番で宮本なり中澤なりが、けがやカードで出場できないことは十分に考えられるし、茂庭や駒野にチャンスを与えることも意義のあることだとは思う。だが、そうした緊急事態のシミュレーションを、わざわざ欧州組が勢ぞろいするこの機会に、あえて行うことの必然性がどれだけあったのだろう。

まあ、はじめからシュミレーションありきではなくて、後付の理由ですよね。代表監督は来年の合宿で欧州組の中盤とレギュラーのDFラインを合わせても充分間に合うと考えているようですが、うーん。