大住さんのコラムを読んで思ったこと

大住さんのコラムをかなり恣意的に解釈して暴走しているので、リンク先のコラムを読んで『うーん、その通り』と思われた方は、どうかスルーしてください。『そりゃ違うんじゃないの』と思った方はどうぞ。



『良いサッカー』を組織的に整理されていてスムーズなサッカーだと仮定しましょう。ちょっと自分にはそれ以外の『良いサッカー』が思い浮かばないので。で、この部分がどうしても納得できないのですよ。

私たちは「良いサッカー」をしなければ勝てないと思い込み、強迫観念にも似たその思いから、「良いサッカー」ができているかどうかを絶対的な評価基準とする傾向がある。しかし、ジーコはまったく違った考えを持っている。


 ジーコにとっては「勝つこと」がすべてなのだ。「良いサッカー」ができれば勝つ可能性は高まるかもしれない。だが、そればかりにとらわれて、肝心の勝つことに集中する意志の力を失い、あるいはそこから目を背けているのが日本のサッカーだ――ジーコはそう言いたいのではないか。

じゃ、組織的なサッカーを捨てて、個を前面に押し出して気合や根性で勝つことに集中すれば、勝つ可能性は『良いサッカー』ができて勝つ可能性よりもっと高まるんですか。


例えば、トルシエサッカーの限界と言われている雨のトルコ戦ですが、もし2004年のジーコ代表チームとワールドカップ開催当時のトルコ代表が戦ったら結果は変わっていたのですかね。コラムの最後のところで「2006年ワールドカップでの上位進出」は達成されないと書かれているのでちょっと分からないのですが、組織的なものを捨てて個を前面に押し出し、チーム内を固定化しヒエラルキーを作った中の信頼関係で選手たちとファミリーになる。強い相手や体格の優れた相手に対しては、選手たちは頭が疲れるまで考えながらサッカーをしなくてはいけないジーコ代表チームなら、当時のトルコ代表に勝てるのですかね。


ワールドカップ後の目標は2002年のチームより強いチームを作ることではないのですか。確かに2006年のワールドカップに出ることは重要な任務です。でも、それは2002年のチームより強いチームを作る過程の中で自然についてくる結果が2006年の出場権やコンフェデの出場権だと思うのです。アジアカップに勝つことだけが目標ではなく、2002年より強いチームを作って、2002年より『良いサッカー』を繰り広げて、結果アジアチャンピオンになる。
もちろん、その試合の85分までリードしていたら追加点を奪いにいかず、現実的に勝つことに徹して守りきるサッカーをしても文句は言いません。でも、今のジーコ代表チームでは、格下のチーム相手でさえ攻め込まれて、守りに徹して、カウンターやセットプレーのワンチャンスをものにして勝つ。


2002年の雨のトルコ戦で感じた限界はそんな方向を目指せば解決するものなのですか。あの悔しさからそんなことしか学べないのですか。
また、2002年の日本代表にいた選手たちは肝心の勝つことに集中する意志の力を失い、あるいはそこから目を背けていたのですか。
私はそうは思いません。あの時は単純にトルコ代表の方が強かった。その強いチームに簡単に先制されて守りを固められたら、今の大住さんの言う「勝つためのメンタリティー」が生まれたジーコ代表チームだって勝てませんよ。いや、勝つ確率はあの時に比べてもっと低くなっていると思います。
未練がましいようですが、あの時のトーナメント初戦の相手がもしブラジル代表で完敗していても『組織サッカーの限界』とか言っていたのでしょうか。私にはベスト16時点での両チームを比べた時にブラジル代表よりトルコ代表の方が強く感じていましたけれどね。ブラジルは勝ちあがるにつれて強くなっていっただけに思えます。


『良いサッカー』より『勝つこと』が大事だとしたら、例えば格下相手でも守ってカウンターを狙うチームに日本代表がなったとしても、みんな納得できるのですかね。私は納得できない。強くて美しいサッカーは両立できると思うから。良いサッカーを繰り広げて勝つことは両立できると思うから。
一次予選は6戦全勝で突破しました。これは日本の予選史上初めてのことだそうですね。でも、この一次予選チームは1993年の一次予選チームより強いと思いますか。1993年の最終予選チームより強いと思いますか。1997年の一次予選チームより強いと思いますか。1997年の最終予選チームより強いと思いますか。1998年のフランスに出場した日本代表チームより強いと思いますか。
強いかと聞かれれば強いかもしれない。じゃあ、これはどうです、その当時の日本代表より進化していると思いますか。


私が思うのはCKなどのセットプレーやFKのリスタートの精度と狡賢さ(いい意味)が良くなっただけで、それ以上のチームとしての上積みがあまり感じられないのです。2000年をピークに退化しているとさえ思えてしまう。そのチームに対して”「勝つこと」がすべてなのだ”とか言われても、素直に読めないですね、私は。