フィオレンティーナ - キエーボ

久しぶりの中田選手の先発ということで見てしまいましたが、試合についてはどうも語る気になれません。最近プレミアの試合に魅力を感じている自分がいて、セリエの試合については今日のように”中田選手のプレーを見たい”というようなテーマがないと引き付けられないんですよね。で、久しぶりに90分見たのですがフィオレンティーナは相変わらずに悪い時の日本代表に似ていて、アウェイのキエーボを押し込んでいるのもかかわらず、得点の気配は感じられないサッカーですね。フィオレンティーナで感心したのはほとんどヘディングの競り合いに勝つリガノ選手と鋭いキックを連発していたポルティージョ選手ぐらいです。まあ、怪我人が多いということはあるのでしょうが。


久しぶりに90分近く見た中田選手は随分動けるようにもなりましたし、味方のパスもまわってくるようになりました。以前は動いても動いてもボールがまわってこない印象だったのですが、ボールに触れる機会は多くなっているようです。でも、まだチームの中での中心にはなっていないですよね。
そうなんです、今日も見ていて感じていたのは、やはり中田選手は1人だけでスーパーなプレーができる選手なのではなくて、まわりとの関係の中でこそ生きる選手なのですよね。その為には彼に数多くのボールがまわってくること、そして前が詰まっている時に簡単に落とせる距離に味方がいること、一番大切なのは受け手となる選手が中田選手を信頼してパスよりも先に動き出すこと。
今日のフィオレンティーナを見ていても、みんな足元でもらいたがり、スペースに走りこむ選手がいないですよね。FWが相手のDFラインの後ろを常に狙っていたりとか、サイドバックの選手が中田選手とのワンツーで常に相手の裏をえぐることを狙っていたりとか、そんなプレーがあってこそ中田選手が輝けるのでしょうね。


常にボールを持つ中田選手をためらいもなく追い越していく選手が多数いるようなリーグやクラブでプレーする彼を見てみたいものです。中田選手の特徴は空間認識能力とでもいうのか、数秒後にできるスペース、例えば彼を追い越して走り抜けていくサイドバックの選手が3秒後に追いつく場所に3秒前にパスを出せる能力、FWの選手がDFラインの後ろに走りこんで3秒後にヘディングするポイントに3秒前にクロスを入れる能力が優れていることだと思うのですが、このチームではその能力が生かされていないですよね。
それは今の日本代表でも同じなのですが、パスの出し手はたくさんいるけれど、受け手がいない。そして一番問題なのは走りながらスペースを狙ったり、ボールを受けようとする選手が少なすぎることですよね。それは選手の組み合わせだったり、チームとしての共通理解不足やイメージの共有のなさだったり。それを組織力と言うのかもしれません。
クラブについても代表についても、足元でもらいたがる選手の多いチームや、選手の運動量が少ないチームでは中田選手は輝かないな、と強く思わされた試合でした。