日本 - カザフスタン

4対0。
奇しくも昨年のオープニングゲームである2004年2月7日のマレーシア戦と同じスコアです。でも、内容的には格段の違いを感じました。ボールも動くけれど選手も活発に動きますね。カザフスタンの悪コンディションを差し引いても日本選手のコンディションは良さそうでしたね。本番はこの先の2月9日ですから、今からそんなに仕上がっていてもいいのかと少し心配になるくらいです。
昨年の今頃はボールは動くけれど人が全く動かないサッカーに見えたのですが、今日は選手のポジションが前後左右に目まぐるしく入れ替わり、あれだけ動いたら相手チームもボールを奪う狙いどころを絞れませんよね。セイフィティなボールまわしというより、とても積極的な気持ちを感じるボールまわしでした。


まず、両サイドの加地選手と三都主選手ですが、相手との力関係もありますが、積極的に縦への突破を狙っていて、見ていて気持ちがいいプレーでした。攻撃が成功するから気持ちがいいのではなく、ここぞという時にきちんとリスクチャレンジしていく姿勢、ボールを持ちすぎてこね回すこともなく、前にいけるのに安易に後ろに戻すこともなく、とてもすっきりするシンプルな攻撃マインドでした。最初に縦への突破を何本か見せた後に時として中へ切れ込むから効果的なのですよね。相手に縦への突破がないと思われたら、それだけで相手の感じる脅威は半減してしまいますよね。
そして2人の縦への気持ちがそうさせるのか、小笠原選手や後半出場の阿部選手からの長い縦へのフィードも非常に効果的でしたね。中央でショートパスをまわす時と、ボランチの位置からの前線へのフィード、これがバランスよくミックスされていたように感じました。


中盤センターについては、前半の福西、遠藤、小笠原選手の時もそうですし、阿部選手が入った後半もそうですが3人の縦の関係がとても良かったように感じました。相手の攻撃の時はボランチが横に並んで受け止めますが、攻撃時には1人残って1人は前に飛び込んでいく。小笠原選手が引いてきたら、遠藤、福西選手が上がる。こんな縦の関係が非常に感動的でした。
特に後半に入った阿部選手は代表初キャップとは思えないほどチームにフィットしていて、日本にとって守備的な負担が少ない相手との対戦なら、積極的に使いたいですよね。初めに守備ありきのポジションではありますが、日本の4点目になった小笠原選手から玉田選手へのスルーパスも、後ろから阿部選手が正確で速いパスをピタッと小笠原選手の足元に送り込んだからこそですよね。フリーの選手にパスを出すことは当たり前ですが、いかに速く正確なパスを出せるかがその次のプレーを相手が寄せる前に効果的に行えるかそうでないかの分かれ目になることを考えると、あの位置に阿部選手の正確な右足があることは魅力的です。遠藤選手が後ろに残って阿部選手を前に送り出したときの攻撃も魅力的ですし、もちろんFKもですね。


FWとDFについては今日の試合での評価は難しいですね。もちろん、4得点は充分な結果ですし、無得点も立派な結果です。でも、もう少し厳しい相手でないと何とも言えないと思います。
DFについては松田選手のセンターも気にしていたのですが、テレビではDFラインはほとんど写りませんでした。特に日本の攻撃時のDFの位置や、相手の攻撃に切り替わった時の対応を見たかったのですが、テレビ観戦では限界がありました。やっぱりスタジアムへ行かないと。
FWについては玉田選手がキレキレですね。冒頭にも書きましたが、今日の試合であんなに動けていいのかと心配してしまいます。途中交代の大黒選手はもう少し見たかったなぁ。
GKの川口選手は、触れることがない。試合開始直後のバックパスのクリアをグラウンダーでするのはやめて欲しいです、心臓に悪い。


テストマッチということで選手を多数使いたいと言っていたジーコ監督でしたが、選手交代の少なさ(というか遅さ?)は相変わらずでしたね。もちろん、レギュラーが確定しているのなら、その組み合わせで少しでも長い時間見てみたい気持ちも分かるのですが、残り時間5分で3人選手を投入されてもなぁ。藤田選手の闘志あふれるプレーが、かえって心に痛かったです。何か、『もっと俺を使ってくれ』という心の叫びにも感じられました。せめて15分はチャンスをあげて欲しいです。


宮崎での一次合宿から、横浜での二次合宿と順調にチームは仕上がってきているようですね。次のシリアにはもう少しシビアな攻撃を期待して、日本の修正点を浮かび上がらせてくれるような、そんな試合を期待したいです。