3か4か5かよりも

欧州組を大量起用 顔触れ変わる日本代表
下の記事と同じですが、もう一枚のFWの手がかりがあります。

ドイツ合宿の締めくくりとなった21日午後の練習。合流が遅れていた欧州組が全員そろったところで、初めて本格的な戦術練習を行い、主力組と控え組をはっきりと分けた。
 レギュラーを示すビブスを着たのは9人。守備ラインには右から加地、中沢、宮本、三浦淳を並べ、守備的MFに小野と福西を置いた。中田英、中村を攻撃的MFに起用し、最前線は高原。もう1人のFWはビブスを着ていない玉田と大黒が交互に務めた。右足首を痛めている鈴木の回復次第で最後の1枚を決めるようだ。

下のニッカンの記事を読んだ時にも感じていたのですが、残りのFWは鈴木選手の回復状況待ちで、回復する限り多少コンディションが悪くても鈴木選手の優先順位は高いだろうと思っています。

 これまでの基本布陣だった3−5−2から4−4−2に変えると、中田英と中村をともに攻撃的な位置でプレーさせられる。「相手のことを考えている部分もある」とジーコ監督が説明するように、サイドの守りを固めてイランの3トップを抑える狙いもある。
 不安なのは、このメンバーではまだほとんど一緒に練習できていないこと。中村は「1日前に合流した北朝鮮戦と違って、今回は時間がある」と話したが、イラン戦までの練習機会は2日しかない。

1年ぶりの4バックを何もこの大事なイラン戦でいきなりやらなくてもいいんじゃないかとも思いますが、今回のメンバー発表以来、私はたぶん4バックが基本的な考え方だろうと思ってましたから、特に驚きませんでした。
4バックにしたときの不安点である『このメンバーではまだほとんど一緒に練習できていない』という部分ですが、仮に3バックでいったとしても出場停止の田中選手に代わって茶野選手が入った3バックはぶっつけ本番みたいなものですし、左サイドの三都主選手の出場停止で三浦アツ選手が入ることを考えても、人数が3人だからといって今までやってきた3バックと同じように機能するかは『やってみなければわからない』不安は急造4バックと同じようにあると思います。


まあ、3バックだってどれほど熟成してきたかは分からないのですし、2年半も活動してきたチームに対して失礼かもしれませんが、『もともと戦術的、組織的な構築があまりなされていない現在の代表チームなら4バックでやっても、どっちでも同じじゃねーの』という気持ちもあります。
例えばDFラインの高さの設定ひとつをとっても、『自分たちの意志でこうしよう』ということではなくて、『相手の攻撃の勢いで決る』現在の守備のやり方なら、例え5バックを意識していなくても押し込まれれば5バックになっちゃうかも知れませんしね。


それよりも心配なのは、ジーコ監督がフォーメーションを決めるのは、あくまで攻撃の選手の配置を優先した結果、余った枠で守備を決めてるんじゃないか、という疑問です。センターに位置するMFの人数とFWの人数の残りの枠が5あれば3バックプラス2人のサイドの選手。残りの枠が4しかないから両サイドも含めた4バック。こんな風に守備を決めているのではないでしょうか。相手が3トップ気味だから…というのはとってつけたような理由だったりしてね。


そして一番気になるのが、ジーコ監督はこの試合を”勝ちにいく試合”と考えているのか、”引き分けでもいい試合”と考えているのか。『2つの決勝戦ということで戦いたい』というジーコ監督のコメントを信じると勝ちにいくのでしょうね。
そう仮定したときに、例えば70分くらいまで0−0の均衡状態で試合が経過した。そこで日本代表が先制点を取ったときに、4バックから3バックへ変更してしまうかもしれない、そんな不安も少しあります。まさかそんなことはないと思いますが、ジーコ監督の頭の中で『4バック=攻撃的』、『3バック=守備的』とかいう固定観念があって、今までは3バックで試合を始めて勝ち越せないときに”攻撃的な4バック”にシフトアップしてうまくいった。今回は攻撃的な4バックで試合を始めて先制したので”守備的な3バック”にシフトダウンして逃げ切ろう、そんな事はないですよね。
失うものを恐れず勝ち越さなければいけないフォーメーション変更は経験の少ない監督でも何とかなりそうですが、失うものがあって守りきらなければいけないフォーメーション変更はよほど熟練した監督とチームでないと使いこなせないだろうと思うばかりではなく、リズムを失って逆転される危険性もありますよね。


選手としては経験豊かな監督ですからそんなことはしないと思いますが、今までのチーム作りを見ている限りは”守備の哲学はない”監督のようですから非常に心配です。まだまだ試合の終盤で上手な”店終い”ができるほどの経験もないでしょうし、そんな試合を見せてもらったこともないですし。
でも、バックの人数ひとつでここまで空想を広げられるのだから、サッカーは楽しいですね。