イラン戦の報道に思うこと
最終予選の前半戦の山場であるイラン戦、バーレーン戦を前にして、北朝鮮戦直前のテレビやマスコミのあおり方と比べての違いに非常に大きな違和感を感じます。もちろん初戦である北朝鮮戦でのつまずきは避けねばなりませんでしたが、対戦相手としては今度のイランの方が数倍も怖いわけで、この試合こそもっと煽ってもいい試合なんじゃないのかと思ってしまいます。
昨夜の『ニュース23』を見ていたときに、VTRの後でキャスターが『イランは怖そうですね。』といったのですが、『怖そう』なのではなくて、『イランは怖い。』んですよ。アジアの中でも一番警戒しなければいけない相手だと思うのですがね。特に日本サッカーが停滞しているときには。
自国開催ということでワールドカップ予選が免除されていて、本当に厳しい戦いの記憶は8年前まで遡らなければなりませんが、97年のジョホールバルで、日本代表はどれだけイラン代表に追い詰められたのか。93年のドーハで日本代表がイラン代表に敗れていなければアメリカ大会に出場できたかもしれないのですよ。あのセントラル方式の最終予選で当時の日本代表が敗れた国はイランだけなのです。
93年
サウジ 0−0 △
イラン 1−2 ●
北朝鮮 3−0 ○
韓国 1−0 ○
イラク 2−2 △
97年
イラン 2−2 90分間では引き分けで延長戦へ
だからといって過剰に恐れる必要はないでしょう。あの当時より日本サッカーは成長しているのだろうと思います。でも、ここ最近の停滞しているような日本代表にとって、イランは決して楽観視できるような存在ではないと思えます。相手の良いところを消しあうサッカーは好きではありませんが、イラン相手の試合ではそんなことも真剣に考えないといけない相手でしょう。ダエイをポストに使って後ろから飛び込んでくる選手は誰が潰すのか、サイドの駆け引きで押し込まれて突破されそうな場合、どう対処するのか。まず試合をやってみて、前半を見てから対応できるような相手ではないですよね。
昨年のアジアカップで日本はイランと引き分けましたが、あれはあくまで両チームにとっての”引き分けでOK”の試合だったのですから何の参考にもならないでしょう。やはりイランは日本にとって”怖そう”ではなく”怖い”チームだと思います。
今回の最終予選の第2節で、仮にバーレーンが北朝鮮に勝つと勝ち点4。イランが日本に勝つと勝ち点4。日本は勝ち点3のままでグループ3位に転落です。6試合の長丁場ですから1試合毎の結果に一喜一憂してはいけませんが、このような結果になったとすると、イランに負けた日本代表は中4日で今度は自分たちよりも勝ち点で上回っているバーレーンと戦わなくてはなりません。もしバーレーンが勝ち点で日本を上回っていたとすれば、必ずや守りを固めて一発のカウンターを狙ってくる、日本が一番やりたくない試合の形になってしまうかもしれません。いくらホームの試合とはいえ、そんな状況にはなりたくないですよね。
もちろんバーレーンが北朝鮮と引き分けて勝ち点2、日本がイランを撃破して勝ち点6で、余裕で30日を戦うというシナリオも考えられます。考えられるというより、そうなって欲しい。でも、やってみないとわからないのが勝負事ですから、最良と最悪、両方の心の準備はしつつ、精一杯日本代表を応援したいと思っています。
こんなことを色々と考えると、やはり北朝鮮戦直前の報道と比べて今回のイラン、バーレーン2連戦に対する報道や危機感の少なさに、ただただあきれるばかりなのです。
うーん、私が逆に深刻に考えすぎてますでしょうか。そうならいいのだけれど。