嫌いな言葉

私が幼かった頃、大人たちのこの言葉が大嫌いでした。
『あの頃は良かった……』
当時の私は、「そんなことないじゃん、今が一番楽しいじゃん。」と思っていたのですが、最近日本代表の試合を見終わると、いつもそれに近い言葉が頭の中に浮かんでくるのです。


もし私が2002年の秋以降日本代表について見るようになっていたとしたら、今の予選の状況や勝敗などに一喜一憂してハラハラドキドキしていたことでしょう。今の日本代表がピッチ上に描き出しているサッカーに対して何の疑念もなく素直に応援し、燃えていたのだろうと思います。
でも残念ながら今の日本代表には私を燃えさせるパワーはないかな。特に公式戦以外では。
決して昔から日本代表を見ているから偉いとか、サッカーが良く分かるとか、そんなことが言いたいのではなくて、もっと良い時代を見てきてしまったのかなぁと思っています。


1993年のドーハをリアルタイムで経験してしまっていたら、現在の代表の各ポジションのバックアップの薄さは怖くて見ていられないし、1997年の予選を経験してしまっていたら、調子の出ないチームを刺激する方法はそうたくさんないことも知っている。とてつもないハラハラドキドキをこの2回で経験してしまっているのですよね。
また2000年のオリンピックとアジアカップで内容も伴ないつつ結果を出すチームを応援することも経験してしまっているし、2002年のワールドカップで自分達の代表に対して狂気のように熱く燃える大会も経験してしまっている。これ以上熱く燃える思いを、これから先に体験できるのかどうか。


これらの出来事を経験した後で現在の代表チームの有り様を見せられるのは、ある意味拷問に近いのですよね。


『おまえは現在の代表の試合をテレビで見るか。』
『おまえは現在の代表の試合のチケットを買うか。』
『おまえは現在の代表の試合に熱くなれるか。』


何だか、こんな踏絵を踏まされているような感じがします。
日本サッカー協会にこのように責められて、思わずポロッと本音を言いそうです。


『あの頃は良かった……』