広島 - 浦和

見ごたえのある一戦でした。テレビの前で見ていても、両チームの集中力の高さを感じられるようなピーンと張り詰めた空気が伝わってくるかのようでしたから、今日のスタジアムで見ていた方にはそれ以上の訴えかけるものが伝わったのでしょうね。いつもは空席が目立ってしまう器の大きな広島ビッグアーチですが、大量に乗り込んだ赤い浦和サポと負けてはならじと集まった広島サポで 26,083人と埋め尽くされて、好勝負をさらに盛り上げていましたね。


試合についてはここ最近DFがピリッとしなかった浦和ですが、今日は試合立ち上がりから守備が前に出ながら相手にプレッシャーをかける昨年の好調時の積極的守備が再現されていて、とても安定して守れていました。開始早々こそ広島に右サイド(浦和から見て左サイド)を破られていましたが、それ以降は何度も田中闘選手やネネ、坪井選手が中央で後ろから前に出ながら広島ボールをインターセプトして、早い攻撃につなげていました。中盤の選手も体を張ったDFを繰り返していて、今日の浦和の守備は安心して見ていられました。


ここ最近の浦和の守備は相手を待って守備していたので、どうしても受身の守備に感じられていたのですが、今日のように自分達から仕掛けていく守備をして、前向きでボールを奪えると前線の選手までスピードに乗ったまま攻撃を仕掛けていけますね。先制点も前向きでボールを奪った三都主せんしゅからサイドを駆け上がった田中達選手に渡り、最後は中央で永井選手が押し込みましたが、ほとんど田中達選手の動きで勝負あったという先制点でした。特に前半は田中達選手が中央でもサイドでも、スピードに乗って広島守備陣に切り込んでいくので、得点につながらなくても見ていて楽しかったです。
こんな試合を現日本代表監督は…見ていないんだろうな。仕事では関東を離れない監督ですからね。


対する広島も前半はチャンスの回数も少なかったのですが、浦和の守備陣の一瞬の隙を見逃さず、前半終了間際にロングスローのこぼれ球から同点にします。この得点も佐藤寿選手でしたが、浦和の田中達選手に巻けず劣らず前線に飛び込んでくる一瞬のスピードには速さと迫力がありましたね。特にハットトリックとなった3点目のニアサイドへの飛び込みは、そこを狙った駒野選手の低くて速くて正確なアーリークロスとともに圧巻でした。広島もきっちり3点も取ったのですが、あのオウンゴールが痛かったです。


最初は3バックの一角に入って、後半はボランチの位置に入って守備にも攻撃にも大活躍した森崎和選手でしたが、あの胸でのボールコントロールは余裕がありすぎたからのものだったのでしょうか。それとも余裕がなかったから?
広島ゴールに入ったボールは、オウンゴールとは思えないほど、胸で返したボールとは思えないほどの激しさで自陣のゴールに突き刺さりました。でも、その場面以外でも最終ラインで守備をしてチャンスと見れば中央を駆け上がって攻撃参加していた森崎和選手は負けたけれども殊勲選手ですね。千葉の阿部選手も代表候補として注目されていますが、代表監督が今日の試合を見ていたら森崎和選手だって同じくらい注目だと思うんですけどね。


試合は浦和がオウンゴールで勝ち越した後、コーナーキックからのネネのヘッド一発で決りました。その後広島も前述の佐藤寿選手の3点目で追い上げますが、同点や逆転のパワーは残っていませんでした。
この試合で優勝が決るのではないかと思うほどの白熱して激しい一戦でしたが、最後は浦和が力で押し切ったように見えました。サッカーのスコアで4−3は一番面白いなどと言いますが、そのスコア以上に90分間選手が集中していて、両チームとも攻撃にスピードがあり見ていて面白い試合でした。