オシムに聞けっ!!! (完結編)

昨日も疲れてくじけて最後までいけませんでした(涙)。今日こそ、完結するぞ。


オシムに聞けっ! 
オシムに聞けっ!! (続き) 

アジアカップに向けて)
オシム:今年はアジアカップ本大会で、できるだけ長い期間戦い抜くことができるよう願っています。いいプレーをして一次リーグを突破して先へ進むことができればいいですね。でも、敗退することも有り得ます。15日間で決着がつくかもしれないし、30日間戦い抜くことができるかもしれません。それは誰にも分りません。大会に備えて親善試合ができるといいのですが、日本に来てくれる相手チームのためにも、充分時間を作ってやらないといけませんね。ですから大会に備えてこれだけの期間で充分だということはありません。アジアカップが行われるベトナムで最初のカタール戦の前に、一週間程度の合宿をする時間は取れるでしょう。また7月はJ1のリーグ戦は中段していますから、その時に親善試合ができるかもしれません。そうすればベトナムで戦う一次リーグの準備が整うでしょう。まとまった時間がとれるのはその期間だけですね。
状況は改善されていますよ。選手のことを良く知ることができましたし、選手にしても私のことを良く知ることが出来たと思います。問題は選手自身のメンタル面の管理です。代表選手は2つの義務を負っています。1つ目の義務は、大会に向けての準備です。代表選手が大会を無視することは有り得ません。また、所属するクラブでの練習やプレーも疎かにすることはできません。そして、もう一つの義務はアジアカップが終わりその先に待ち受けているワールドカップについて心の準備をしておくことです。すべては自分自身で準備をしなければいけないのです。以上が私が言う2つの義務、つまり私の2つの要求と言っても良いのではないでしょうか。選手がそれに応えることができるかどうかということですが、私はできると思います。

Q:2010年のワールドカップについて、今の段階では遠いターゲットでしょうけど(どう思いますか?)
オシム:目標はそうですね、実は遠くもあり近くもあります。目標を達成することは難しくなっています。なぜなら全ての国が進歩を遂げているからです。自分たちこそが本命だと思っても、手強いライバルチームがあることを認める必要がありますね。
もしワールドカップ出場を決めることができた場合でも、それで終わりではありません。新たな目標設定に迫られるのです。ドイツ大会を例にとれば、最初は予選突破が目標そのものだったのですが、出場を決めた時にその目標が変わりました。日本代表と国民は、ワールドカップでの成功を期待するようになったのです。ですから、ドイツ大会の一次リーグで敗退が決まった時に、多くの日本人は驚くと同時に不愉快な思いをしたのです。
次のワールドカップでは、こうした経験をしないようにする必要があります。まず南アフリカ大会への出場権獲得を、何よりも大事な目標として設定すべきです。そして目標を達成した後について、冷静に考えてゆくべきだと思います。つまりワールドカップに2つの段階があるわけです。その段階を飛ばさないようにしましょう。

Q:オシムさんはよく「サッカーが人生に似ている」と言いますが、あらためてどこかどう似ているのですか?
オシム:人生がサッカーを創造したのであり、その逆ではありません。私はサッカーを愛していますから、その逆だったらいいのにと思うことがありますが。でも、人生がサッカーを創造したのです。
サッカーができる時間は限られています。その短い時間の中で、学ぶことはたくさんあるだろうし、学べないこともあるでしょう。人生にもサッカーにも成功や失敗があります。栄光もあれば耐え難い挫折におそわれることもあるかもしれません。でもそれが人生というものであり、またサッカーというものです。サッカーは集団スポーツです。自分を犠牲にしてピッチで走り回る無名の選手がたくさんいる、という事実が今忘れ去られているようですね。そうした選手は人々の話題にはなりませんが、それでも彼らは走りプレーし続けているのです。だから何であれ何かの役に立ちたいと思ったときに、私が今言ったことを思い出してください。脚光を浴びる人もいれば、縁の下の力持ちもいる、ということです。
サッカーは、人生そのものだと思いますね。


オシム監督からのメッセージ

我々は皆 成功を望んでいます。それだけの能力があると思います。果たして成功するかはまた別の問題ですが…我々が最大限尽くすことを約束します。


ふぅ、終わった(汗)。
最初はインタビューの興味深いところをピックアップするつもりだったのですが、聞けば聞くほど、どこもかしこも興味深いし意味深いので切れなくなってしまいました。再放送もあるようなので、NHK-BSが視聴できる環境の方は、明日1月6日午後6時10分からの再放送をチェックしてみてください。テキストには出てこない、オシムさんの表情とか雰囲気が伝わると思います。


さて、インタビュー全体の感想ですが、あらためて含蓄のある意味深い言葉を話される監督ですね。何でもかんでもありがたがって聞くわけではありませんが、サッカーに限定することなく人生全般の指針になるような言葉がちりばめられています。就任のいきさつは色々ありましたが、やはりこのような方が日本代表の監督をしてくれている幸運をもっと感謝しなければいけないと思いました。


3日間に分けたのは何かの意図があって分けたのではなく、長すぎて力尽きたから分けただけなのですが、今日のエントリー部分だけを読むと「アジアカップやワールドカップに向けて今から言い訳を話している監督」という曲解も成り立つかもしれません。しかし、私には『自信を持って最良の準備をしたとしても、全てが思い通りに行くなどという傲慢な気持ちは捨てて謙虚に臨まなければいけない』と言っているように感じます。言葉の受け取り方は人それぞれだと思いますが、相手の話した言葉を素直に謙虚に聞けるのか、それともひねくれた曲解でしか受け取れないのか、オシムさんの言葉自体がリトマス試験紙のような要素を持っている、そんな気もします。それはメディアやサポーターだけではなくて、選手にも言えるのかもしれません。


ほぼ3日間のエントリーをインタビューの文字おこしで費やしてしまいましたが、NHK-BSを視聴できない環境にいる方の参考になれば幸いです。あくまで個人的におこした文章ですので多少の誤り(”てにをは”や語尾の違い、等々)はあるかもしれませんが、その辺りはご容赦ください。