アーセナル - マンチェスター・U

ざま〜みろ、粕谷秀樹!!
すみません、冒頭から取り乱しました。実況と解説があまりにもマンチェスター・ユナイテッド寄りなのでアーセナル好きとしては試合が終わった瞬間の素直な感想でした。でも、スカパーのMUTV(マンチェスター・ユナイテッドTV)での包装なので、ユナイテッド寄りになるのはしょうがないことは分かっているのですが、それでもアーセナルが失点したときに「よーし!!」とか言われると”むっ”としてしまいます。まあ、好きではないマンチェスター・ユナイテッドとはいえ、先制点の場面はとても綺麗な得点だったことは認めますけれどね。


さて、結局は2−1で我らがアーセナルがロスタイムに見事な逆転勝ちをしたわけですが、両チーム合わせて3回ゴールネットが揺れて得点が入ったのですがどの得点も見事な形でした。マンチェスター・ユナイテッドの先制点は左サイドをスピードに乗って突破した攻撃から低く鋭いクロスが入り、アーセナルのニアサイドのDFがかろうじて頭に当ててコースをずらしたもののファーサイドルーニーが頭で合わせてのファインゴールでした。スピードに乗った左サイドの突破も見事だったし、ルーニーのヘディングも完璧でした。ナイスゴール。


しかし、これでさらに攻撃と闘争心に火がついたアーセナルが通産の83分に同点としたゴールも見事でした。攻撃を仕掛けてユナイテッドにボールを取られたところを粘り強く奪い返し、右サイドを突破してグラウンダーのクロスをゴール前へ。ゴール前ニアサイドに走りこんできたアンリが足裏でボールを送るようにスルー。それをファーサイドに走りこんできたファンペルシーが恐ろしいくらいキレのあるダイレクトボレーでニアサイド天井のゴールネットに突き刺して同点。この場面での得点になる前のボールの奪い返す姿が優雅なアーセナルとは程遠い姿でしたが、むき出しの闘争心を感じて背筋がぞくっとしました。


この得点で静まり返っていたエミレーツスタジアムに再び歌声が戻り、そしてロスタイムへ。この歓喜の勝ち越し弾もやはり右サイドの突破からのクロスを、ゴール前正面で待ち構えていたアンリが珍しくヘディングでユナイテッドゴールに突き刺しました。ヘディングによるシュートでしたが、突き刺したという表現がぴったりくるような見事なヘディングだったです。アンリもやればできるんじゃん、ヘディング。
リーグ戦の順位と勝ち点差を考えれば、この試合の結果が大きな影響を与えることはないかもしれませんが、それでもあれほどまでに闘争心をむき出しにしたアーセナルに結果が出てよかったです。


それにしても良い試合でした。ボールがスピーディに動くし、お互いに縦への突破は鋭く早く、一瞬のうちにゴール前の攻防になる。中盤でのえげつないファールによる潰しあいも少なく、面白かったです。
そして得点につながるサイド攻撃ですが、日本だと数的優位を作っての攻撃になりがちなのですが、サイドバックサイドハーフの2人だけで同数の相手に対してサイド攻撃を完成させてしまうのが凄い。一度ボールを預けられたサイドハーフが少しボールをためて、そこにボール奪取にきた相手のサイドの選手を2人引きつけ、その隙に後方から走りこんできたサイドバックがボールをためているサイドハーフを追い越しスピードに乗って突破していく。


日本では攻撃の起点というとトップ下でフィールドの中央にいるイメージが強く、サイド攻撃もフィールドの中央からの横や斜めのパスから始まるのでなかなかスピードに乗った攻撃を見かけませんが、全員の技術が高いと攻撃の起点はどこにでも作れて、そして相手と同数でも守備を打ち破って2人だけの連携と呼吸で突破していけるのですよね。セリエとかだと攻撃の起点になろうとしてボールをためている時点でファールで倒されて攻撃が寸断されてしまうのかもしれませんが、この試合は両チームとも攻守にスピードがあって楽しかったです。