違う角度から見た拉致問題

拉致被害者家族会による小泉バッシングは少々激しすぎると思っています。もちろん、拉致された被害者を思う家族の気持ちは想像を絶するものがあるとは思いますが、

増元照明さん(48)「総理にはプライドがおありになるのか。(ジェンキンスさんに)なぜ、あそこで意思確認したのか。解決能力がないなら、次の政権のトップにやってもらうしかない」
田口八重子さんの兄飯塚繁雄さん(65)は「これではまったく子どもの使いに等しい。先行き真っ暗な気持ちです」と力が抜けた様子だった。
有本恵子さんの父明弘さん(75)は「政治家として責任をとるべきだ」と語気を強めた。

とまで言うほどの無能ぶりと言い切っていいのでしょうか。小泉支持なわけでもないし、今回の訪朝が期待しうる最大の成果を挙げたとは思いませんが、何の成果もないという程でもない。


こちらは韓国の小泉氏の訪朝についての反応ですが、
「同じ同胞なのに…、日本が羨ましい」 拉北者家族の鬱憤

22日に朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)を訪問した小泉首相北朝鮮から拉致被害者の日本人5人と共に帰国したという知らせに、韓国の拉致被害者家族たちは羨望の思いと鬱憤を吐露した。
 チェ・ソンヨン拉北者家族協議会代表は「韓国政府は日本が拉致被害者の問題を解決する姿を見てどのように思ったのかと聞いてみたい」とし、「これからでも政府は南北対話で拉致被害者の問題を提起し、拉致被害者の安否確認と送還のための作業に取り組んで欲しい」と話した。

日本以上に複雑な背景を抱えてる問題でしょうが、韓国政府の対応は日本政府以上に厳しいようです。

 拉致被害者の家族は今回の日朝首脳会談を前に、「藁をもつかむ心情」で日本に頼った。もちろん、自国政府の援助も受けることができない人々を日本政府が積極的に助けてくれるという期待自体、はなから無理なことだった。
 拉北者家族協議会は19日、日本の衆議院を通して小泉首相に「韓国人拉致被害者の問題にも触れて欲しい」という手紙を伝達したが、今回の首脳会談ではこれに関する話し合いはなかった。

最悪の結果だと非難されている小泉氏ですが、この拉致問題に関して2回訪朝し、関係者10人を連れて帰っていることは評価するべきではないでしょうか。

 韓国の拉致被害者が外国の政府に頼るのは、当事者である韓国政府の「韓国の拉致被害者の問題」に対する扱いが疎かであるためだ。2000年、韓国初の「拉致被害者家族の集い」が誕生して以来、この会は大統領府、統一府、国家人権委員会など政府に対し拉致被害者の問題に関する政府レベルの対応を要求してきた。
 大統領または統一部長官との面談をはじめ、各種の南北会談で1度だけでも拉北者問題を議題として扱って欲しいと要求したが、常に黙殺された。

小泉氏の選択肢の中には政治家の常套手段である「善処します」や「解決に向けて最大限の努力をします」と口だけで答えておいて、その実は何も行動しないで黙殺するという選択肢もあったと思うのですよ。小泉氏以前の日本の首相達のように。


拉致被害者家族会の方々もあまり激しく非難しすぎると、国民の気持ちが離れてしまう心配があると思うのですが。
世論は冷静なようです。

 朝日新聞の23日の世論調査で、首相再訪朝に肯定的な評価が7割近くを占め、内閣支持率も上昇した。これについて、政府・与党内では安堵(あんど)感が広がった。首脳会談の目立った成果が拉致被害者の家族5人の帰国にとどまり、家族会などが強く反発。与党内からも「最低限」との声があがっていただけに、「冷静な評価だ」(自民党安倍晋三幹事長)と受け止めている。

もちろん拉致問題はこれで解決したわけではなく、ジェンキンスさんの問題や安否不明者10人の再調査については小泉氏及び日本政府に迅速な対応を期待します。