U−23日本代表 - トルコ選抜

いいチームでしたね、トルコ選抜。この時期のU−23日本代表にとってこの上ないテストマッチになりましたね。「トルコより日本に愛をこめて」という横断幕と一緒に入場してきましたが、日本こそ真剣に激しくプレーしてくれたトルコに大感謝です。


さて試合の感想ですが、前半はバックスタンド1階7列目という前のほうで見ていたので、日本の7番の森崎浩二選手とトルコの7番メフメト選手のマッチアップを間近に楽しみました。スピードでトルコの優勢、テクニックで日本というところでしょうか。とにかく前半のトルコの右サイドはスピードに乗った攻撃で日本の左サイドを押し込んでいました。まず7番メフメト選手にスピードがあること、次に逆サイドから7番メフメト選手まで手数をかけずに(印象ではパス2〜3本)右サイドまでくるので日本が7番に寄せる前にスピードに乗れること、そしてパススピードそのものが早いこと。これらのことの集大成としてトルコの攻撃が優勢でした。
日本の7番の森崎選手はテクニックはあるのですが、そこにボールが回ってくるころには手数がかかっているのでもうスペースがトルコに消されてしまっているのです。また、パススピードが遅いのでパスが来るまでに一歩二歩余計にトルコ選手に詰められてしまいますね。
前半で1回リスタートだと思いますがトルコの7番メフメト選手がボールに注意を向けた隙に、森崎選手がスルスルっとサイドをあがり、その森崎選手に入ってきた長いパスをダイレクトで折り返したシーンは見事でした。やはりすごいテクニックですよね。
前半はピッチに近かったので、逆サイドはよく見えませんでした。でもその分7番対決を十分に見ることができました。


さて、後半は席が結構空いていたので、同じ1階でも22列目まで移動してピッチ全体が見渡せるようになりました。後半の日本は田中闘選手に代わり石川選手が入り阿部、徳永がDFラインに下がった4バックで試合に入りましたが、トルコの先制点は日本の右サイドの石川選手がいくのか徳永選手がいくのかあいまいな場所からノープレッシャーで上げられたクロスからでした。この辺の連携がどうだったのかが気になるところです。
何回かいい形で攻撃参加していた石川選手ですが、途中で交代になりましたね。試合中の怪我なのか戦術的なものかは分かりませんが、一点リードされているチームの交代選手があんなにゆっくり歩いてアウトする場面は見たことがありません。さすがにゴール裏からもブーイングの口笛がおきていました。理由はわかりませんがチーム全体で闘ってる事を石川選手には考えて欲しい。
その交代で入った駒野選手ですが大怪我からの復帰とは思えないいい動きでした。山本監督の悩みがまた増えましたね。


日本の攻撃ですが、スタートの高松、大久保、松井選手の形は正直あまり機能しているようには見えませんでした。高松選手に対してスペースへボールを出してトルコ選手と走りで競わせたり(遅くて圧倒的に負けていました)、大久保選手にポストのようなボールを入れたり何かチグハグでした。後半途中で平山、坂田選手を投入して1トップ2シャドーの形にしてからの方が機能しているように見えました。前で平山選手が競ったボールを坂田、大久保(途中から前田)選手が前向きで拾う形になってからリズムが出てきたように思えました。
同点ゴールの今野選手はやはり最近得点感覚が冴え渡っていますね。地元味スタで決めてくれました。阿部選手のフリーキックも日本にとってやはり大きな武器ですね。これから同格あるいは格上のチームと戦う時には絶対欲しい武器です。またロスタイムの平山選手もボールのもらい方からファーストタッチでのコントロールまで完璧でしたね。あとはシュートだ。


試合全体を通じての印象は、やはりトルコは強いということです。選抜チームということで恐らくこのチームで数多くの試合をこなしているとは思えないのですが、一人一人の技術やスピード、チーム全体での縦へのスピード、球際の激しさや競り合いの強さ等々。選抜チームでこれですから、準備期間をきっちりとった代表チームだったら、日本が簡単に勝てる相手じゃないですよね。体格的には確かに日本より大きいのですが、パススピードや選手の動き、ボールを少ない手数で逆サイドまで持ってくるパスの正確性と選手のポジション(近すぎず遠すぎず)等日本が見習うものは多かったと思います。
日本はたぶんブラジルにはなれないし、たぶんフランスにもなれないけど、がんばればトルコのようにはなれるかもしれません。日韓定期戦ではありませんが、トルコとも定期的に1年に1試合を隔年でお互いにホームでやるような形が実現できたら良いと思います。
江戸時代明治時代に日本人がトルコ人を助けて(トルコの教科書にはそのことが載っているらしい)、そして現代ではトルコ政府がそのときの恩義を忘れずに日本人を助けてくれたというように、何かとつながりがある両国なのです。これからも日本にとって欧州サッカーの入口としてトルコといい関係を保てればいいと思います。