六月の勝利の歌を忘れない

今日は仕事もユーロも休みなのでゆっくりこのDVDを見ています。未消化のユーロの録画を見ようかと思っていたのですが、6月もあと2日かと思ったら無性に見たくなりました。


何もかもが懐かしくそして心が熱く、あたたかくなる映像ばかりなのですが、今の代表チームと比較すると……まあ、やめましょう。今ちょうど Vol1を見終わりました。
それにしても、ベルギー戦当日のミーティングは凄い。それがこのような映像として見られるだけでも幸せですよね。


6月4日 出発前ミーティングでの監督の言葉

今日のベルギー戦は本当に決勝戦だ。1試合だけ勝つのなら今日の試合だ。今日の試合はすべてを出し切って勝ちに行かないといけない。日本にとっての決勝だ。試合は前半が勝負だといつも言ってる。最初からベストを尽くして全部を出す事。
(中略)
だけどワールドカップだから、4年間それを準備したから、世界に日本の本当の実力を見せないといけない。90%の選手は国内リーグでやったとしても、ユーロッパに負けてないぞ。うちのサッカーは彼等のサッカーに負けてない。同じ頭脳サッカーだし、同じ技術も持ってるし、見せないといけない。
(スタメン発表)(ベルギーの考え方)
もちろん、そういう相手に負けるかもしれない。負けたとしてもうちは後悔せずに、自分のサッカーをやろう。90分間ベストを尽くして、どんな競り合いでも100%で行ったというスピリットで、激しく行ったっていうことの結果だったら私は納得いく。そして攻撃的に後悔せずにすべてを出し切っていて試合がそれで終わったら私は納得いく。我々より彼等が圧倒的に強ければ、すべてを出し切ってそれでも結果が負けになるのなら、悲劇ではない。なぜなら、その時の自分をしっかりと鏡で見て、いや、後悔はない、すべてをやったから。


6月8日 ロシア戦前日練習での会話

中田浩:もうペナルティエリアだね、ほんと
森岡 :最初ペナだよ、どう考えても
中田浩:もうでっかくクリアしたらそっからまた上げればいいし相手ボールになったら、ペナのとこに止めておいた方がいい
森岡 :ていうか、俺一番無駄に上げて無駄に疲れるの嫌いだから、だから、テメーらが攻めている時に長いボールが行って
松田 :で、そういう分にはぐがーって上げてくるの?
森岡 :いや、そういう時もせめて明らかにマイボールの時に必要以上にダッシュでハーフラインまで上げる必要ないと思うし
中田浩:それ、ゆっくり上げればいいてこと?
松田 :でも、あいつはすっげえうるせえじゃん、でもまあ、試合で点取られなきゃいいんでしょ

ここが、勝負の分かれ目だったかもしれませんね。ラインのコントロールは失点を防ぐためだけにしているのではなくて、コンパクトな中盤を実現し、高い位置で相手ボールを奪い攻撃するため、またMFやFWを必要以上に走らせて消耗させないため、ということが4年間かけて分からなかったのなら、明らかにトルシエの負けで日本のディフェンスのレベルはその程度だったということでしょう。
この会話は失点を防ぐという方法論としてはチームのためを考えているようですが、点を取って試合に勝つという目的論からすると、日本を代表するディフェンダーである彼等の考え方のレベルがこの程度だったのかと残念でなりません。


6月13日 チェニジア戦前日の監督の言葉

4年前に日本に来た時、私の初試合はこの大阪の長居スタジアムだった。1−0で優勝をおさめて、そして、PKを決めたのは中山。その時、何人かの今のグループの人がいたと思うけど、本当に長い過程の始まりだった。4年間があっという間に過ぎた。いろんな事も達成できたし、そして、やっと遂にこの大阪へ戻った。みんなはこの4年間を自分なりに準備したし、自分なりに成長したと思うよ。この経験はみんな本当に身に付いたから、それを意識して欲しい。
(中略)
明日は言うまでもなく超満員になる。明日は日本のサッカーの歴史の新たなページを刻まないといけない。それは、自分の青いユニフォームを着てそのページを刻まないといけない。自分のプライド、日の丸を着て刻まないといけない。試合を準備しろ。

思えば98年の長居のエジプト戦もスタジアムで見ていました。そして私のトルシエジャパンのスタジアムでのラストゲームになったのも、この長居のチェニジア戦でした。私とトルシエジャパンの付き合い(?)も長居で始まって、長居で終わったのですね。うーん、感慨深い。
また、試合前のロッカールームで、宮本、松田、中田浩二の3人の会話で宮本は『(ラインを)上げないと中盤が結構しんどくなってくるからそういう意味で…』と言っている所が悲しいですね。そんなことを今さら試合前に言わなければならない状態になっていることが、悲しい。


6月16日のPKゲームのところは大好きですね。みんながとっても楽しそうにやっているけれど、キーパーの3人は超真剣です。青チーム、優勝おめでとう。そこから先は、見るのがつらい。
今からわずか2年前の6月には、こんなに熱くて楽しくてそれでいて泣けてしまう6月があったのですね。2年後の6月が、日本の参加しないお祭りになってしまわないことを強く希望するとともに、その為には何ができるのだろう。