女子日本代表 - 女子カナダ代表

夏真っ盛りの夕方4時30分のキックオフということで、試合前は選手たちと観客に厳しすぎる時間だな、と思っていたのですが、開始直前くらいから日差しも台風の影響によると思われる雲に遮られ、適度な風も吹き、選手たちにも少しだけ優しいコンディションとなりました。試合前のセレモニーからも感じられるのですが、両チームの体格差は凄いです。


メインスタンドホーム寄りで観戦していたので、前半は日本の守備を目の前で見るような位置だったので、3 磯崎浩美、 5 川上直子、 6 酒井與惠、8 宮本ともみ選手を中心に見ていました。川上選手が156cm、酒井選手が158cm、ということで、カナダ選手と競り合うと本当に同じ大人かと思うほどです。その中で168cmの宮本選手だけがカナダ選手と互角に競り合えているように見えました。今日はオリンピックへの壮行試合ですが、もしチーム全員が宮本選手クラスの体格と運動能力を持つような時代になったら、本当に日本の女子サッカーが世界に羽ばたくのかもしれない、などと思いながら見ちゃいました。
しかし、そんな中で川上選手は右サイドを縦横無尽に走り回り得点に絡むクロスを上げるなどと大活躍でしたので、なでしこジャパン*1を甘く見てはいけないですね。


それにしても、宮本選手はいいですね。今日は彼女を前後半ずっと注目していたのですが*2、私にはこのチームは宮本選手のチームに見えてしまいました。個人の運動能力として、例えば両者とも止まっている状態からフィフティのボールを取りに行く時の一歩目のスピードが早く、カナダ選手とも互角にやりあってますし、パススピードも早く、またその視野も広く日本の攻撃のリズムを作り出しているように見えました。試合終盤は体力の低下からか相手に渡してしまうようなパスミスも見受けられましたが、今日1日ですっかりファンになってしまいました。男子でいう今野選手のような存在で、怪我等で彼女を欠いた時が心配です。


また、後半途中交代で入ってきた14 丸山桂里奈選手ですがキレのある動きがいいですね。なかなかボールが回ってこなかったのですが、いい形で彼女にボールが納まれば守る相手にとってはやっかいな攻撃となりそうです。試合後半の切り札としてはシドニー大会の本山選手のように、試合の流れを変えられる選手ですね。チームとして丸山選手をどのように有効に使うかを考えればいいと思うのですがね。


一方のカナダ代表ですが、基本的には4−4−2なのでしょうが、前半はトップの2人と後ろの8人が大きく分断されてチームとして戦えていませんでした。これはどうなるのだろうと他人事ながら心配していたのですが、さすがにハーフタイムに監督に修正されたか後半は前半に比べると随分コンパクトになっておりプレスもきつくなって、日本も後半は少し戦いにくそうでしたね。
カナダは前後半の開始前にピッチ上の11人だけでなく、ベンチも含めて大きな円陣を組んでいるのが印象的でしたね。中国のどこかで戦っている某代表の監督にもチームで戦うことの意味というか心を教えてあげて欲しいくらいです。


壮行試合としては最高の形で締めくくれましたが、最後に1人選手が怪我か足をつったかでアウトしてから10人で戦っていたのですが、もう選手がいなかったのでしょうか。
カナダ戦後 女子代表上田監督会見

――足をつる選手が多かったのですが、これは疲れがあるのでしょうか?

 Lリーグを戦ってきた中での疲れや、このようなお客さんが多いところで走るサッカーを続けたことで、かなり消耗が大きくて足がつったということだと思います。本番まで2週間くらいありますので、コンディショニングについてはしっかりやりたいと思っています。

――けが人が多くて心配されますが、メンバーの入れ替えは考えていますか?

 考えていません。澤と山本に関しては無理をすればやれる状態でしたが、回復傾向にあるということですから、あくまで8月11日(アテネ五輪グループリーグ初戦のスウェーデン戦)に向けて、ベストに持っていこうということです。矢野は昨日ねん挫したわけですが、全治1週間ということです。これも、オランダに行ってから回復を期待します。山岸と小林を今日交代させたのは、両方とも足がつってしまったからです。これは心配には値しません。

このコメントの答えはアテネで出しましょう。

■カナダ女子代表ペッレルード監督の話

「日本はW杯の頃よりパスの質が上がっている」

 日本はとてもいい試合をしたと思います。ただ、われわれと比較しても仕方がないぐらい、私たちのチームは悪い状態でした。昨年のワールドカップのころに比べて、日本はパスの質が上がっていると思いました。ただ、プレッシャーが今日よりもきつくなったときに、同じようにできるかどうかは疑問ですが……。


コンディションを整え本番を迎えて最後まで楽しんで戦ってくださいね。


試合後の宮本ともみ選手(日本女子代表)コメント
頼もしい限りです。

宮本ともみ選手(日本女子代表
「今日は、中盤はそんなに大変ということはなかったです。ワールドカップの時に比べるとカナダもメンバーは変わっていたし、世代交代したって感じですね。
でも、これで気持ち良くアテネに向けて出発できるんじゃないかと思います」

Q、10人になってからも冷静でしたね?
「実はあんまり10人になったことわかってなくって(笑)。気がついたらあれ?って感じでした。でも、それくらいあの段階ではカナダも元気がなかった。以前は前からプレッシャーをかけてくるチームだったんですけれど、今日は中盤も空いていたし。スウェーデン戦を見据えて…という意味では中盤はあまり参考にならなかった。そういう点では少し物足りないところもありました」

*1:個人的にはあんまり好きではありませんが、今日のスタジアムで飽きるほど命名式の模様を繰り返し流していたので、1回くらいは使います。

*2:決してルックスの関係ではなく、やや目が悪い私でも、大きいのと背番号8が見分けやすいので見ていただけですよ、決して人妻が趣味だというわけじゃ…