4年後、再び中国で

放送関係者のリレーコラム「ニッカン・フットボール放送局」より

ちょっと見逃していたコラムなのですが、テレビ朝日も大変だったようですね。私はNHK−BSで見ていたので、『絶対に負けられない戦い』はそんなに聞かなくて済んだのですが、放送局にとっても中国は超アウェイだったのですね。

テレビ朝日アジアサッカー連盟主催大会のライツホルダー(放送局)です。ライツホルダーのID(身分証明カード)は、他のメディアに比べ、かなり広いエリアがフリーパスになるのが普通です。ところが、重慶では事情が全然違っていました。国際的なスポーツイベントを開催したことがないのに加え、出来たばかりのスタジアムで動線もあいまい。警備の人間でさえ、どのIDがどのエリアを通行可能なのか理解していないのです。しかも、戦争の歴史から、「日本人=悪いことをする」と思っているのか、至る所で中国語を話せない日本人は足止めを食らいました。

 外国との交流の少ない内陸都市ですから、英語はまず通じません。トラブルがあるごとに、責任者である私の携帯電話が鳴り、中国語を話せるスタッフを派遣することになります。それがスタジアムのあちこちで起こるんですからたまりません。大げさではなく、スタッフが持ち場に散るのに数時間単位の時間が必要で、初戦のオマーン戦の時などは、準備が完了したのは放送直前でした。重慶での4試合は、トラブルを我慢強く乗り切って中継にこぎつけるのに、毎回、冷や汗をかきました。「絶対負けられない戦い」は、選手だけでなく、自分たちにもあったのでした。