サッカーマガジン 1001号

1000号の岡田監督との対談に引き続き、1001号でもジーコ監督のインタビューが掲載されていますが、功労者問題について話しています。

たとえば30試合、あるいは60試合以上の代表のキャップ数を持っているような選手に関しては、忘れてはいけないんだという気持ち、そういう偉大な選手に敬意を表す気持ちというのは絶対に大切なんです。
今回の試合に関しても、井原君などのすでに引退した選手を呼ぶということだったとしたら、これは話にならないでしょう。
ただ、自分の考えていた選手、相馬、澤登、山口、岡野、服部、城、中山、カズのような選手は全員が現役でやっています。こういった選手がそろった上で、しっかりと練習すれば本当に強いチームを作れるんですよ。彼らには、本当の意味での大きな個の力があるから、それをまとめ上げれば、かなり強いチームになるのです。

私も功労者を呼んだからといって、それほどチーム力が落ちるとは思っていませんし、功労者に敬意を表することはもっと必要だと思っています。ですが、来年に最終予選を控えた今やることなのかが疑問だったのです。敬意を表する気持ちはまた別の機会に実現して欲しいと思います。
そして、気になるのはこの部分『本当の意味での大きな個の力があるから…』ですが、やっぱり力のある個を並べれば強いチームができるという”哲学”なんですよね。この引用部分以外にも、実際に試合で試さなければ分からないのではないかという質問に対して、頭の中で自分の選んだメンバーの実力は分かると答えているので、個の力というのは把握できるとしても組織とかチーム戦術とかは関係ないのでしょう。そうすると日本オールスターチームであるような気もしてしまいます。『それをまとめ上げれば…』という部分が何を表現しているのでしょうね。
あとひとつ、ジーコ監督が考えていた功労者はこんなメンバーだったのですね。岡野選手が30試合以上代表キャップがあるのかが、ちょっとだけ疑問なのですが…*1

Q−大久保、田中達、大黒など、Jリーグで活躍している選手は?

彼らのことを決して忘れているわけではありません。彼らは、常に代表に入ろうとする列に並んでいる。ただし、彼らの列の前には、これまでピッチで結果を出してきた選手がいるわけです。だから、それを待つということが、彼らには大切なことなんです。


Q−(控え組を使うことについて)アジアカップでの労に報いてあげたいという気持ちもあるのか?

アジアカップでの貢献に感謝して、という側面はあります。彼らは、私のチームの中で、常に一つの列に並んでくれている。それも、ただ並んで順番を待っているだけではなく、ものすごい貢献が(アジアカップで)あったわけです。
彼らは、将来的にはものすごい日本の力になるかもしれない。しかし、そう簡単にレギュラーメンバーの前に出すわけにはいかないのです。
(中略)
自分のグループには、やはり順番がある。いまいる代表選手にチャンスがあるかないかは別として、彼らにはテストというものはまったく必要はないんです。

”順番”というのがキーワードですね。スタメン組が怪我をしたり、出場停止にならない限り、控え組に順番は巡ってこないのでしょう。そしてチームの活性化はこのようなヒエラルキーがあったとしても次のように有効であると考えているようです。

彼らは列に並んで、レギュラー入りを虎視眈々と狙っている。その前に誰かがいるということが活性化になるのです。
少なくとも、代表でレギュラーを獲得するというのはそんなに簡単なことではありません。当然コンディションを維持して、いいプレーを見せてチャンスをつかむ以前に、そのチャンスを獲得するまでいかに待てるかということも問われるのです。

良いとか悪いとか、同意するとか反対するとか以前に、ジーコ監督がそういう考えなのだということがはっきりと分かるインタビューです。

*1:日本代表A:27試合出場3得点('04年02月現在)だそうです。浦和公式HPより