天皇杯準決勝 浦和 - 磐田

国立競技場に行ってきました。
浦和はよく攻めていたんですけどね。特に後半になってからは右サイドにワイドに張り出した永井選手を攻撃の起点として、磐田守備陣の意識が永井選手に集中した瞬間に中央で田中達也選手がフリーになる、そんな浦和の攻撃は面白いようにはまっていたのですが、浦和はオフサイドの旗に負けてしまったような気がします。


浦和は三都主選手をFW気味に配した3−4−3、磐田は名波選手をトップ下に配置した3−4−1−2といった布陣でしょうか、お互いに良く似たフォーメーションで前半はジャブの打ち合いといった感じで、膠着した状態のまま0−0で45分間を終了します。この前半は特にどちらが優勢とは感じられず、浦和の攻勢が続いたら次は磐田の時間というような感じで試合の流れをどちらもつかめないまま、どちらも決定的な場面を作れないまま終了しました。


後半開始早々、試合が本格的に動きそうだと感じました。浦和は奪ったボールをまず右サイドに張っている永井選手に預け、永井選手は前にスペースがあるときは積極的にドリブルを仕掛け、中央の田中達也選手は磐田の意識が永井選手に集中した隙にちょっとした動きでフリーになります。そして永井選手が個人技で抜き去ったり、抜ききる前に中央の田中達也選手にクロスをいれ得点シーン以外にもいくつもチャンスを作りました。


浦和から見ればこうなりますが、磐田サイドから見ると永井選手をフリーにしすぎですよね。永井選手のスタートポジションがタッチラインに張り付いているのでマークをするもの難しいかもしれませんが、永井選手の横と前にあれだけスペースを与えたら最近の永井選手のフワフニャドリブルはファールじゃないと止められませんよ。あわてて止めに行けば中の守備が薄くなるし。何度も右を突破されていたので失点も時間の問題だと感じていました。そして後半の26分、その永井ー田中のホットラインでフリーの田中選手のフワ〜としたヘディングシュートがゴールに吸い込まれ浦和が先制です。


この試合展開で浦和が先制したらもうこのまま浦和の試合かな、とそんなことを考えていたキックオフ直後、途中交代の藤田選手がゴール前の混戦から押し込んでたった1分で磐田が同点に追いつきました。そこからはもう両チームとも激しく意地と意地とのぶつかりあいという感じですね。一瞬もゲームから目が離せなくなってしまいました。
試合は後半38分に磐田魂を見せ付けるかのように中山隊長がゴール前から豪快に蹴りこんで磐田の決勝進出となりました。基本的にどちらのサポでもないので中立の視点で見ていたのですが、この結果はちょっと複雑な心境です。


監督を含めたチームのゲームプランとしては圧倒的に浦和の試合だったと思うのですよ。選手の配置、ボールの動かし方、チャンスの作り方、これら全てがブッフバルト監督や浦和の選手たちのほうがうまくやっていたと思います。しかし際どいオフサイドの判定やクロスバーなどに阻まれ、結果的に奪った得点は田中達也選手のゴールだけでした。


対する磐田はそつなくボールを動かし、そつなく試合は進めているのですが攻撃が機能しているとは思えませんでした。ただ、山本監督がベテランを温存し若手で試合をスタ−トさせて、勝負どころで途中投入した藤田、中山選手の2得点で勝ちきりました。山本監督の選手交代の采配が当たったことは確かなのですが、勝利に結びついたのはベテランの泥臭い磐田魂とでも云うべきプレーでしたね。


試合内容では圧倒的に浦和でしたが勝負に勝ったのは磐田だった、そんな印象です。メインスタンドホーム側の浦和サポに囲まれたエリアで見ていたのですが、試合終了のホイッスルが吹かれた後に近くの浦和サポから聞こえてきた、『元旦のチケットどうしよう…』という呟きが切なかったです。