バスチア - マルセイユ

フィリップは温かそうなコート着てるなぁ、が第一印象でした。
マルセイユの試合を常に見ているわけではないので、深いコメントはできませんが(いつも浅いけど)、マルセイユはいい選手もいるし、物足りない選手もいますね。移籍した中田浩二選手ですが、中盤の真ん中で出場するのは難しそうですが、左サイドなら出番はありそうですね。まあ、出番がある=必要だからクラブも獲得したのでしょうが。


ゴールしたからってわけではありませんが、ペドレッティ選手なんて1試合で好きになってしまいました。守備意識の高さとチャンスと見れば思い切りよく上がって攻撃参加する姿勢。中盤のセンターの選手はあれぐらいの運動量とプレーエリアの広さがないとやっぱりダメだなぁと思ってしまいます。日本代表の中盤は……(以下自粛)
早くこのチームの中で普通にプレーする中田選手が見たいですね。


フィリップがこのチームを率いてこの試合でリーグ戦10試合目で、7勝2敗1分ですか。着実に結果を残していますね。10試合を経過する中で、ベテラン選手にケンカを売り自らトラブルを起こしてチーム内のヒエラルキーを意識的に破壊し、従わない選手は外し、その分若手を抜擢してチームを作り直す。その結果、良く分からないけれど、勝つチームになってきて、チームの雰囲気も良くなる。いつかどこかで見た風景ですね。
そろそろ教科書の大部分は教えたのでしょうか(笑)。
冗談はさておき、DFラインが高くないのが意外でした。この理由をつらつらと考えてみたのですが、

  1. まだ教科書を教え終わっていない
  2. アウェイ用の戦い方だった
  3. この3年で考え方を変えた
  4. 年を取って性格が丸くなった
  5. あのラインの高さはアジアスペシャルだった


この中で5番が答えに近いのかなぁ、と考えています。
欧州サッカー界ではまったく無名で、ましてや選手としても実績がない監督であるフィリップが、監督として一旗あげるためには思い切ったセールスポイントと実績が必要だった。アフリカのクラブチームで実績を残し、アフリカの代表チームを率いてワールドカップ予選を戦い、アフリカの代表チームを率いてワールドカップフランス大会を戦ったがグループリーグ敗退。日本代表監督に就任する前に彼が置かれていた状況です。
アフリカでは有名になっていたとしても、欧州ではまだ無名のままだったことでしょう。


そんな時に次の開催国である日本から代表監督の声が掛かる。個人としては面白そうな選手もいるが、国としての実績は本大会1回出場で3戦全敗。そんな国の監督を引き受けることは欧州復帰を目指すフィリップにとってはリスクのある賭けだったことでしょう。でも、実績のない国でも開催国の監督を引き受ければ、欧州サッカー界も注目するだろうし、過去に本大会で1勝もしていない国を率いてグループリーグを突破すればキャリアアップにつながる。開催国である日本以上にフィリップにとっても負けられない大会だった。


そこで日本のDFのポテンシャルを考えた場合、1対1の競り合いに不安がある。欧州勢には体格や当りで負ける不安があり、南米勢にはテクニックで負ける不安がある。アフリカ勢にはスピードで負ける不安もある。基本的に対戦相手との純粋な1対1に不安があれば、それを補って自らの不安を解消しなければならない。これが上記の5番目の答えである”アジアスペシャル”の正体なのかなと思います。フラットラインは彼の商売道具だとしても、異様なまでの押し上げの強要は、当時の彼に個人的にかかっていたプレッシャーそのものではないかと思いました。


試合を見ていてマルセイユのDFに上手さは感じなかったけれど、対戦相手との1対1に負けそうな不安も感じなかった。競り勝たなくても同等の戦いができるのなら、あえてラインを高く保たなくてもDFは守備での1対1に勝ち、MFは相手とのボールの奪い合いの1対1に勝ち、FWはチャンスボールをマイボールにする1対1の競り合いに勝つ。この見込みがあればあえて高いライン、コンパクトな中盤、下がって守備をするFW、こんなことを実現する気はないのかもしれない。そんなことを考えながら試合を見てしまいました。


まあ、正解は年を取って性格が丸くなっただけかもしれませんが。