五重塔は何故地震に強いのか

3月25日のコメント欄で、haroさんより質問があったので、うろ覚えですが、できるだけ再現します。専門用語とかわかりませんので、素人の説明になりますがご容赦を。


五重塔や三重塔は火事で消失した記録はあるが地震で倒壊した記録は見当たらない。奈良の薬師寺の東搭は1300年前の木造建築物であり、その間におよそ6度の大地震を経験しているはずだが現存している。このように五重塔が横揺れに強いのは、それぞれの階層が独立した構造物であり、地震の時に一層が右へ動いたら二層が左へ揺れる、このように蛇のように身をくねらせて揺れに耐えると言われてきたが、果たして本当にそうなのか検証をしたそうです。
「本当に蛇のように揺れるのか?」、五重塔の“伝説”を検証


こちらには書いてありませんが、NHKの番組では五重塔の建築的特徴である”心柱”の存在について触れていました。この心柱は搭の基底部から最高部まで貫く一本の木の柱ですが、この柱は構造的には搭のどの階層とも接していなく独立した存在だそうです。この柱が地震の横揺れの時は各層の構造物と違う横揺れをするので、搭の各層が右に揺れた時は違う揺れをする心柱が各層とぶつかり横揺れを軽減し、また各層もそれぞれ独立して左右に揺れるので現在の高層建築物のように、高い階層に行けば行くほど横揺れが大きくなるのではなくて、五重塔全体が”O”の字を描くように揺れるため倒壊の(横倒しの)危険性が少ないそうです。


その検証として、薬師寺の東搭と西搭の揺れ方の違いを検証していました。西搭は消失してしまったため東搭の構造をコピーして作りましたが、東搭は四層あたりで心柱が折れて補修した後があるそうです。それに対して西搭の心柱は補修などされていない一本の柱である。この2搭の揺れを検証すると、心柱に補修のある東搭は補修箇所から上の五層の揺れが規則的ではなく、下の階層より大きいそうです。対する西搭は上部の揺れは中心部より収まっている。そのため心柱の存在が横揺れの吸収に大きく役立つのではないかとのことでした。


また、各層の屋根をささえている”はり”のような木材を組んだものも、地震の時はその一つ一つがそれぞれの揺れを摩擦熱に変えて吸収、発散するので、揺れの軽減に役立っているのではないか、そんな感じでした。


参考リンク
五重塔は地震につよいのか
世界遺産 秘めた力