サッカーについて、サポーターについて

柏で起きてしまったことについて、少しだけ思うことを書きたいと思います。
まずはじめに、どんな理由があったにせよ暴力行為は許されるものではありませんよね。今回の事件では幸いにも死者や重篤な障害が残るようなことはありませんでしたが、将棋倒しのような状態になったりすると、ほんの些細なことが引き金になって重大な結果が起きないとも限りません。相手チームや応援に対してどれだけ思うことがあったとしても、声やブーイングが限度であって直接的な行動は許されるものではないということを、リーグは厳重に示して欲しいと思います。


これはどこに対してということではありませんが、自分のクラブを応援することと相手のクラブを罵倒することは同じことなのだろうかという疑問があります。試合に負けたり連敗が続いたり不甲斐ない試合内容だったりしたときに、イライラが募る気持ちは分かります。そんな時に相手チームが勝利にわきあがっていたら、私だって正直むかつきます。でも、そのむかつきの原因は勝った相手チームにあるのではなくて、負けた自分の応援するチームにあるのですから、勝利に喜ぶ相手チームに矛先を向けるのは筋違いだと思うのです。


では、自分たちのチームの選手や監督に矛先を向けるのか。挨拶に来た時に拍手をするのかブーイングをするのか、正直迷うこともあります。(グラウンドに降りて選手に暴力行為を振るうのはもちろん論外ですが。)
ただ、応援するチームに矛先を向けることも微妙に間違っているように感じるのですよね。自分がそのクラブを好きで応援しているのですから、クラブが負けたことでイライラするのをクラブや監督や選手に向けるのは違うようにも思います。負けてイライラするのなら見なければいいし、スタジアムに行かなければいい。明らかにクラブの運営や監督の采配に問題があるのなら、その問題を冷静に提起するほうがいいです。
まあ、そこまで極端ではなくてもプレミアリーグだと応援するチームが敗色濃厚になったときに試合終了を待たずに席を立つ観客がたくさんいたりしますよね。最後まで一緒に戦わないなんて信じられない、そういう考え方もありますが負けた後に騒ぎを起こすよりは試合中に空席が多数できてしまうというのは選手やクラブに対する健全で強烈なアピールになるのではないかと思います。
負けたイライラというのは、相手チームや自分たちの選手たちにぶつけて解決するのではなくて、全員が自分の心の中で消化して解決しなければいけない問題だと思っています。誰かと話したり、こうやって書いたりすることで消化しているような部分は誰にでもあるのではないでしょうか。


ただ、そうは言ってもアウェイなら特に気をつけなければいけないことはありますよね。つい先日もイランに行ってきましたが、結果的に負けてもあの程度の応対はされるわけで、もしあの試合に勝っていたときに無邪気に騒いでいたら危険なことはひしひしと感じました。勝利の喜びは心の中での大爆発と小さなガッツポーズぐらいにとどめておかないと本当に危険だったと思います。
今回の名古屋が挑発をしかけたかどうかは分かりませんが、余計な騒動を起こさないための配慮は十分だったのかも考えないといけませんね。ルールやモラルというものがスタジアム内にあったとしても、最終的に自分の身を守るのは自分の行動だと思うので、アウェイにいる自分たちの立場の自覚を持っていたのかどうかは気になるところです。


行儀良く応援しようとか、静かにしようということではなくて、熱く応援するにしても節度や越えてはいけない一線はあると思います。全員が椅子に座っておとなしくしているスタジアムというのも味がないと思いますが、女性や子供、家族連れが安心して訪れることができないようなスタジアムにはなって欲しくない。クラブを愛しているから何をやっても許されるというものではないですし、愛国無罪ではありません。愛していても超えてはいけない一線はあるし、仮に超えてしまったとしたら二度と起こらないように本当に厳しい処分をしないと広がってしまう可能性だって否定できません。


何故だか理由は分かりませんが、サッカーというスポーツは妙に見る人の心を昂らせるものがありますよね。代表なら国と国との戦い。クラブなら町や地方ごとの戦い。同じ町のクラブなら名誉を賭けた戦い。試合中は熱く激しく、でも試合終了後はクールに落ち着いて。そんな風にできたら、二度とこのような事件は起きないと思うのです。