佐野元春 アルバム 『フルーツ』

元春さんの楽曲のほとんどが好きだといっても、ヒットした曲やライブで盛り上がる曲は80年代に発表された曲が多いのですが、じつはこの96年7月にリリースされたアルバム『フルーツ』が密かに好きだったりします。

フルーツ

フルーツ


楽しい雰囲気が漂う感じのアルバムで、2曲目の『楽しい時』などは聴いていて本当に楽しい気分になります。
でも、実は一番好きな曲は6曲目の『夏のピースハウスにて』というインストゥルメンタルの曲なのです。インストなのに、1分50秒の曲なのに、この短い曲の中にとてもドラマ性を感じてしまうのです。タイトルに夏という季節が入っていますが、夏の草原のような、夏の海辺の夜明けのような、そこで恋が始まる…そんな場面を想像してしまうのです。落日や夕暮れではなくて、朝日や夜明け。または、星が輝き月が昇る。終わりでなくて始まり。新しいドラマが始まる、新しい恋が始まる。
聴いているだけでリスナーに想像させてしまう曲の力を感じてしまいます。


そして次の7曲目『ヤァ! ソウルボーイ』と続く流れが好きです。10年前のアルバムですが、今この曲を聴くと当時とは違った感慨を持ってしまいます。

ああ 夢見る頃
遠くに過ぎ去ってしまっても
もう一度試してみるのさ
I'm a Soul Boy


次の8曲目が心をノックアウトします。『すべてうまくはいかなくても』という曲は、特徴はないのですが聴けば聴くほど味が出る曲と言うのか、何か心を叩くものがあるのです。

通りすぎた昨日より
遥かに強く
自由になる約束を
信じてた 夜


アルバムとしては目立たない作品かもしれませんが、この『フルーツ』というアルバムは好きです。