テレ朝ラトビア戦の中田選手インタビューについて

昨日のエントリーで中田選手のインタビューについて少しだけ書きましたが、そのエントリーに対してタイで想う日々さんからこのようなコメントを頂きました。
以下コメントを引用します。

『勉強をしていない記者の質問には”見れば分かるでしょ”と言いたくなる』、なるほどヒデはそんなことを言っているのですね。であれば、『見れば分かると想うんですが……』と枕詞をつけてインタビューに答えれば良いのです。『日本語』にはそういう便利な(直接的ではない便利な)表現があります。
ああいう『間』で答えれば、あからさまに相手を『小馬鹿』にしてることになりますが、そこで(頭の良いヒデの機転を利かせ)『別の言い方・表現』で対応できるハズです。誰も彼もサッカーについてヒデほどの知識を持ってるとは限らないのですから(特に地上波)。
そういう対応をwit、機知に富んでる、と言うと想うんですが、そういう『日本語能力』に関しては中田ヒデは明らかに欠けてますね(伊語、英語では知りませんが)。


この件に関して、私は中田選手を責める気にはなれず、悪いのはインタビュアーだと思うのです。
プロのサッカー選手が練習のミスではなくて試合での致命的なミスから教訓を学んでいくように、プロのインタビュアー(アナウンサー?)は放送でのミスから学んでいくものではないでしょうか。 あの場面でインタビュアーの下手さ加減を選手が補うこともあるでしょう。 例えば宮本選手なら、質問にすらならない質問に対してもたぶん自分で答えを作り出して、相手の求めているコメントをしたのだろうと思います。 でも、それではインタビュアーは上手くもならないし、自分の下手さ加減にも永遠に気がつかない。
下手さに気がつかなければ、勉強しようとも思わないでしょう。 あんな形以外で相手の下手さを教える方法があればいいのですが、そこまで気を使うのは選手の仕事でもないと思うのです。だって、インタビュアーだってプロでしょうから。


恥をかかされた名前も知らない昨日の彼が、もし再びテレビで中田選手にインタビューすることがあったら、次は気合を入れて質問を考えて臨むでしょう。確かに中田選手に『小馬鹿』にされて恥をかかされたのも事実だと思うのですが、それで中田選手の悪口を言って憂さを晴らしているような人間なら、きつい言い方ですが所詮それ以上は伸びないでしょう。 あの悔しさをバネにして、真剣にインタビューについて考え、勉強して欲しいと切に願います。
そもそもインタビューや記者会見というのは、対象者とインタビュアーの真剣勝負であると思うのです。 どれだけ相手の口から真実や、思いもかけぬ本音を引き出せるかは、インタビュアーの腕次第。 そのためには、事前の勉強は必須でしょう。


実況といい、解説といい、インタビュアーといい、日本の国内基準の甘えた環境の上にあぐらをかいているようで、恥ずかしい限りに思えます。 中田選手のように、単身で海外基準の中に身を置いている人間からしたら、たぶん許せないのではないでしょうか。 選手が自分のポジションをサッカーのプレーの真剣勝負の中で、自分の実力で勝ち取っていくのと同じように、テレビキャスターやインタビュアーだって実力が重要で、そのポジションは競争によって自分の力で得るものではないでしょうか。 少なくとも、最初から指定席が用意されているような甘い世界ではないでしょう、海外では。


確かに見苦しいインタビューだったけど、見苦しくなったのはインタビュアーに実力がないからで、選手のせいではないと思います。 ”しゃべり”はインタビュアーの仕事で、選手の仕事はプレーすることです。 放送の良し悪しや、インタビューの出来栄えを心配するのは、テレビ局の仕事だし、テレビ局の実力があらわれているだけと思います。 そこを勘違いすると、甘えの構造は変わらないのではないでしょうか。


私はスカパーで見て以来、フリーアナウンサー日々野真理さんが好きで応援しているのですが、日々野さんの日記などを読むと、選手にインタビューする時には、どのように質問をしたらその選手の良さや本音が引き出せるか、かなり真剣に考えて悩んでいらっしゃいます。試合後の質問ですから事前に内容まで考えるのは難しいと思いますが、マイクを向けることだけが仕事ではないはずです。視聴者以上に90分間の試合を真剣に見て、ポイントを見つけ出し、質問する。それができないのであれば、勉強する。
中田選手には『日本語能力』が欠けているのではなく、 中田選手にとっては、日本のマスコミの『甘えの構造が許せない』のだろうと思っています。


最近のテレビ、特にスポーツ実況を見ていると、針の筵の上を歩くように、居心地が悪いです(笑)。

以下追記

下のコメント欄にも書きましたが、中田選手のインタビューの態度が許せるか許せないかは、彼とマスコミの関係をどう思っているかが大きいような気がしてきました。こちらの「ジョカトーレ」の中の中田選手のインタビューを読むと、見方が変わるのかもしれませんので、参考までに貼っておきます。

ジョカトーレ-中田英寿新世紀へ

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中田英寿 鼓動

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(現在は文庫本も出ているようです。)

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