中盤の新布陣が一定の成果 監督の理想に近づくか スポナビ

中盤のダイヤモンド型についてではないのですが、この部分に疑問があります。

ラトビア戦は攻撃、ウクライナ戦は守備での効果を示した。ラトビア戦の前半に見せた中村(セルティック中田英ボルトン)松井(ルマン)がポジションを変えながら自在に展開する攻撃は相手を翻弄(ほんろう)した。一方、ミスが出た後半は手薄になる守備的MFの位置を、逆襲から縦に一気に破られる弊害も出た。
 ウクライナ戦は守備面の意識をより高め、守備的MFに中田浩マルセイユ)を起用。後半8分の中田浩の退場で変更を余儀なくされたが、前半はウクライナの猛攻にもバランスを崩さず守り切った。稲本も「10人になる前から、中盤の守りはコンパクトにできていた」と手応えを口にした。

ラトビア戦での後半に守備に乱れが出て、ウクライナ戦の守備はそれに比べればほころびを見せずに守ったことには同意するのですが、果たしてウクライナ戦の守備が自分たちの意志で実現できた守備なのかを考える必要があると思っています。


ゲーム開始から引いて守るラトビアに対し、日本は押し込む時間が続いたラトビア戦前半、その流れを受けたまま攻め込んだラトビア戦後半立ち上がりですが、後半は徐々にラトビアペースに変わっていきました。しかし、日本が押し込まれたと言うほどではなく、ラトビアが自陣の低い位置でボールを持とうとする日本に対し、ラトビアから見て前半より高い位置でプレッシャーを掛けてきたような展開でした。その結果、日本の守備は乱れた。


一方のウクライナ戦ですが、試合開始からボールをつないで攻め込んでくるウクライナに対し、防戦一方で押し込まれる日本。時々ボールを奪っても、日本の攻撃がウクライナ陣内の奥深くまで侵入することは、前半30分過ぎまではほとんどありませんでした。
そのような状況の中で日本はコンパクトに守っていた。確かにコンパクトに守っていたのですが、それはウクライナラトビアと違って押し込んできて、日本のFWが自陣にまで戻るくらい日本が押し込まれていて結果的にコンパクトになっていたのではなかったのか。日本の守備に組織とか約束事があって、自らの意思でコンパクトに守ったのか、それとも押し込んでくるウクライナの圧力に対しコンパクトに守らされていたのか。この部分は考えなくてはいけないポイントなのではないかと思います。


ウクライナ戦でコンパクトな守備ができていたからって、次の試合でも同じように再現できるのか。自分たちの守備の組織で、または自分たちの約束事でコンパクトに守っていたなら再現は容易でしょう。しかしコンパクトにされていたのなら、またラトビア戦のようにコンパクトではない守備を再現する可能性も高い。
コンパクトな守備が最高で、すべての試合で守備をコンパクトにしろと言うのではありませんが、自分達から能動的にそのようにしていたのか、それとも相手との力関係で受動的にそのようになってしまっていたのかはきちんと分析しておかないと、次につながらないと思います。


以前の親善試合でも、イングランドチェコと対戦する時には必然的にコンパクトな守備ができていたけれど、それは自らの意思で自由に再現できるコンパクトな守備だったのか。これを忘れていると、ラトビア戦とウクライナ戦を比較しても意味がなくなってしまうと思います。