代表サポーターと愛国心？？ - サッカーのある幸せ

helguera2005-10-25

ＴＢＳのニュース２３の特集で、「日本人の愛国心」の第１回として、「サッカーサポーターと愛国心について考えます」という内容を放送していました。（引用します。）

ニッポン人の愛国心。初回はサッカーサポーターと愛国心について考えます。
２００２年のワールドカップ。歓喜の渦に包まれたあの一ヶ月。街中で堂々と日の丸が振られ、若者たちが声高らかに「ニッポン！」と夜通し連呼し続けた。
「愛国心が芽生えた」と批評するものもいれば、「武器をもたない戦争」と警鐘を鳴らす声もあった。あれから３年．．．．。
次のワールドカップに向け、再び日本が興奮と熱気に包まれる機会が訪れた。ドイツ・ワールドカップ・アジア最終予選。勝てば、ドイツへいける。カメラは、日本代表を応援するサポーター達に密着し、サポーターに問い続ける。「あなたにとって、愛国心ってなんですか？」と。

放送を見る前の段階の感想として、『何とも短絡的で、底の浅い企画だな、この番組にはサポーターの心理を分かっている人がいないのだろう』と思いました。しかし、韓国のサポーターにインタビューをすると、あなたは愛国心を感じますかという質問に対して、90％以上が感じると答えたそうです。
一方、日本代表を応援しているスポーツバーで日本のサポーターにインタビューしても「愛国心」という言葉も出てこないし、やはり企画の浅さまで問われる始末。まあ、正直な話、愛国心と言うテーマで、日本代表サポーターにインタビューしたところで、テレビ局が考えているような答えは引き出せないでしょうね。

ただ、番組が終わってから自分なりにこの「愛国心」について考えてみました。私も日本代表を応援してもう長くなりますし、代表戦の時は「日の丸」や「君が代」に特別な思いは感じます。特にそれは外国でのアウェイ戦を体験してから、より強いものになりました。異国の地で見る「日の丸」や異国の地で聞く「君が代」は、国内で感じる思いとは違う、特別な感慨があります。
でもそれはサッカー日本代表を応援する上での思いであって、日本人だからということを強く意識しているわけでもないし、日本という国を意識しているわけでもない。ここでの「日の丸」や「君が代」は、自分にとっては愛国心に結びつくものではないのです。

自分は愛国心を持っているか？
現状での答えは否です。たぶん持っていない。何故なのだろうと考えました。でも、今ひとつ愛国心という言葉にピンときませんでした。ではもう少し縮小版の例えとして、愛社精神とか、愛校心とかについてはどうでしょう。普通の社会人、アルバイト的な短期の就職ではなくて、ある程度の期間に渡って社員として会社で働いていれば、仕事をしている中で競合するライバル他社には負けたくないと思う気持ちはあると思います。負けるのは嫌だから頑張る。でもそれは自分の会社を愛しているから頑張るのではなくて、ライバル心とか対抗心とか、そんな気持ちが強いと思います。
日本の会社にとって、愛社精神というのは、リストラの名の下に人員整理が普通になった時から持てないものになってしまったのではないかと思っています。ギブ＆テイクではないけれど、会社が社員を守ってくれるから、社員も会社のために犠牲になる。会社が社員を守らないことが公になってしまってからは、会社のために自分が犠牲になってまでと会社を愛する人は少なくなってしまうのではないかと思います。

これは国についても言えるのではないか。国民の命を守る為に、日本という国がどれだけのことをしてくれたのか、してくれると信じられるのか。国民が外国に拉致された時に、日本という国は何をしてくれたのか。大げさな表現ですが、国民１人の命を守る為、救う為に戦争も外交の緊張が高まっても国民を救うのだという気概をもってことに当っているのか。国民の食生活の安全より、外交や経済原理のシステムを大事にしているのではないか。大国の圧力がいかに強くなっても、危険なものは断固として輸入しないという強い気概を国が持っているのなら、ある程度牛肉が食べられなくても、国民は我慢するのではないでしょうか。国のために、何かを我慢する。国のために、自分が犠牲になる。そんな気持ちをも、持つのではないか。

今まで日本という国は、公害問題や薬害問題、公共事業やその他の様々なことで、国民の利益や安全を最優先して政策を決定してきたのか。結局のところ、今の愛国心のなさは、戦後の日本の政治の裏返しなのではと思うようになりました。
ちょっとこのテーマは私などが考えるには重くて深いテーマなのですが、少なくとも代表サポーターと愛国心を短絡的に結びつけるようなことでは企画としては失敗だと思います。が、番組をキッカケにこのようにいろいろ考えてしまったので、問題提起としては成功なのかな。