こんな夜にぴったりのビートを探して…

今週はこのDVDに収録されている『悲しきレイディオ』のライブ演奏の模様を、個人的にヘヴィーローテーションして聴いています。

THE SUN LIVE and RECORDINGS [DVD]

THE SUN LIVE and RECORDINGS [DVD]

1981年に発売されたアルバム「ハートビート」に収録されている曲ですが、それから何十回、何百回とライブで演奏されているうちに、スタジオ収録版とはまったく違った形の名曲というか、ステージと客席が一体となって盛り上がれる名作になってしまっています。
このDVDが撮影された日のNHKホールに自分がいたという特別な思いもあるのかもしれませんが、少し気持ちが折れかけた時に聴くと元気が出るのですよね。そして元春さん自身のパフォーマンスと、HBKバンドの演奏と、オーディエンスの歌声が一体になる瞬間がたまらなく気持ちよく、そこからあふれ出るビートが気持ちを盛り上げてくれる。


ライブアレンジの演奏の中で、元春さんのソロで静かにこの部分を歌い上げるのです。

ポケットには 今にも
こぼれ落ちそうなくらいのハート・ブレイク
こんな夜にぴったりのビートを探して…

そして元春さんがオーディエンスを指差すと、間髪を入れずに皆が声をそろえてこの部分を歌う。

ムードもりあがれば……

ここから一瞬の間をおいて、湧き上がってくるバンドの演奏。客席の盛り上がりは最高潮に達し、このDVDをテレビの前で見ていても元気になれる。音楽って、凄いね。


この日のステージで、『悲しきレイディオ』を歌った後、次の曲を歌う前の元春さんの言葉が、また勇気と希望をくれるのです。

みんながこの曲を、いつどこで聴いたのか僕は知らない。でも、この曲をいつかどこかでみんなは聴いてくれて、そして今夜、場所と時間を越えて集まってくれたんだと思う。それは僕にとっては奇跡に近い事だって思ってる。


僕がこの曲を書いたのは、二十歳そこそこのころでした。その時は十代の”いつか、きっと”って思い、二十代の”いつか、きっと”って思いを込めて、この曲を書きました。そしてこの曲はレコードになり、みんなこの曲を聴いてくれて、そして僕達はツアーに出て、今まで何十回となく、何百回となく舞台に出てこの曲を歌ってきました。
そうするうちに僕も年齢を経て、三十代には三十代の”いつか、きっと”という思い、四十代には四十代の、五十代には五十代の”いつか、きっと”という思いがあるんじゃないかって、最近そう思い始めてる。


そして何よりも、僕は希望についての歌を歌いたい。こんな時代に、それはちょっと甘ったるい考えかな。
じゃあ、みんなで証明しよう。


で、『サムデイ』のイントロが流れてくるわけですよ。もう、泣けます。

いつかは誰でも 愛の謎が解けて
ひとりきりじゃいられなくなる
ステキなことはステキだと無邪気に
笑える心がスキさ
Happiness & Rest 約束してくれた君
だからもう一度あきらめないで
まごころがつかめるその時まで

SOMEDAY
この胸に SOMEDAY
ちかうよ SOMEDAY
信じる心いつまでも SOMEDAY
*1

たぶん、同じようなエントリーは前にも書いていると思います。でも、私にとって佐野元春さんの楽曲はビタミン剤みたいなものなんですよね。時々、どうしても聴きたくなる。
今週は特に、ね。


10月9日に行ってきた「THE LAZY DOG LIVE '05」の模様が、楽天こちらでストリーミング配信されています。知っている方もいると思いますが、昔の曲が好きな方にはたまらない楽曲もあります。元春ファンで未見の方は、ぜひ、どうぞ。
ファンじゃない若い方にも、『こんな素敵な日には』と『バルセロナの夜』の2曲は聴いて欲しいです。「世界の中心で愛を叫ぶ」で『サムデイ』を聴いたなら、ぜひこの2曲も聴いてみてくださいね。

*1:words & music 佐野元春