人間力対決

ヴェルディのことを考えると攻撃的な文章か自棄的な文章になってしまうので、今節ひそかに注目していた監督の人間力対決について。でも、試合は見ていないので、監督コメントの読み比べをしてみました。
全文を引用はできませんから、一部だけ引用です。
(この引用はあえて自分が思うところを抜き出して引用していますので、どうぞ全文をリンク先で読んでくださいね。)


オシム監督(千葉)記者会見コメント J's GOAL

正直、うちの選手たちは今日はもうあれ以上できませんでした。風船がもういっぱいいっぱいに膨らんだ状態でした。
(中略)
それにしても、うちの選手は疲れているわりには、あれだけよく走ったと思います。
(中略)
負けていてもおかしくない試合でした。うちのいちばんいい選手が疲れてミスを犯していましたから。ということは、チーム自体が厳しい状態でした。残念ですけど、そういう結果でした。気持ちを持って、頑張って走って、こういう結果だったので、そこはやっぱり残念です。疲れというもののほうがうちのチームよりも強かったということです。

オシム監督がここまで”できなかったこと”を認めて選手をかばうようなコメントをする、そこまでチームは疲れきっていたのですね。もちろん対戦相手は11月3日以来の試合で、千葉は11月5日と9日に120分の試合を消化しているわけで、その違いはとても大きいとは思っていましたが、オシム監督が選手に対してここまでコメントすることで、あらためて千葉というクラブが現有戦力の中で精一杯背伸びして戦っているんだな、ということを強く思いました。


山本昌邦監督(磐田)記者会見コメント J's GOAL

追いついてムードはよくなっているので、これをこの先につなげていくことが大事だと思っています。西あたりもすごくいいプレーをしてくれましたし、少しずつ、今シーズンだけではなくて来シーズンに向けて若手の手応えも日に日に高まっているので、このムードを大事にしていきたいと思います。
(中略)
(千葉は連戦が続いていたが)70分くらいになったら、足が止まってくるだろうなと思っていました。我々もアジアチャンピオンズリーグで13連戦をやったので、それはよくわかっているつもりでした。

U−23代表監督のころから感じていましたが、今この試合で勝負を賭けるのがプロの監督だと思うのです。でも、この監督からは、そんな勝負の気配があまり感じられません。勝負の厳しさと言ったらいいのかな。それでもU−23には結果と育成という2つの側面があるからかとも思っていたのですが、Jリーグのトップチームの監督になっても「来年に向けて…」という話をするようでは困ってしまいますね。選手やサポーターが戦っているのは今シーズンであり、今日の試合であるわけです。でも、監督の口から来年の話が頻繁に出てくると力が抜けてしまうのではないかと、心配です。この試合が今シーズン最終戦だったら、分からなくもありませんが。


オシム監督の記者会見の言葉をすべて読んでいるわけではありませんが、オシム監督の口からは、「来年にむけて…」とか、「次の試合につながる戦い方だった…」というような、根拠のない期待のような言葉が出てくることは非常に少ないのではないかと思います。どんなにいいプレーをしても負けは負け、引き分けは引き分けであって勝利ではない。次の試合は対戦相手も自分たちのチームの状況も変わるのだから、今日できたことが次の試合でも、来シーズンでも必ずできるとは限らないし、できる保証もない。できることは今日を、この試合を、今いる戦力で走れなくなるまで精一杯戦うことだけ。
勝負師の厳しさ、経験あるプロ監督の厳しさかもしれませんし、もしかするとオシム監督が人生を生きてこられた中から身につけている人生訓のような厳しさかもしれません。不確定な次や明日や来年には期待はしない、そんな雰囲気を感じてしまいます。