日本 - フィンランド

helguera2006-02-18

静岡スタジアム エコパに行ってきました。
アメリカ線の2−3という得点差以上の完敗という結果を受けてのフィンランド戦でしたが、ジーコ監督は国内組の戦い慣れた3−5−2というフォーメーションに戻してこの試合に臨んできました。三都主選手を村井選手に代え、田中誠選手を坪井選手に代えたのはポジション通りでしたが、ボランチの遠藤選手に代えて巻選手を起用しての2トップでした。同じ2トップでも久保選手を柱にするなら相方は動き回る佐藤選手が良いのではないかと思っていましたが、巻選手も佐藤選手に負けず劣らず動き回っていました。


さて試合ですが3−5−2の日本に対し、フィンランドはコンパクトで綺麗な4−4−2でしたね。フィンランドの布陣は攻撃時は2トップが横に並んで4−4−2、守備時に日本ボールになると2トップが縦の関係になって4−4−1−1になっているように見えました。守備をしないのは最前線の1人だけで、残りの9人はがっちりとコンパクトに守りを固めていて、前半の日本の攻撃はボールを保持するものの、実はボールに触っているのは3バックと加地、村井選手の両サイドと下がってきたボランチの小野、福西選手の7人だけ。ボールはまわるものの、守りを固めたフィンランドの陣形の外側を舐めるようにまわるだけで、なかなか縦への崩しのパスが入りません。時々、小野選手や福西選手から右サイド高い位置の加地選手に鋭いパスが通るものの、折り返したクロスがFWに通ることがなく、得点が遠いと感じた前半でした。


ただ、守りを固めている所為かフィンランドの攻撃には鋭さがなく、迫力が感じられません。特に前半のフィンランドは鋭さどころか攻撃自体が数えるほどしかなく、日本の守備が崩されることもありませんでした。もう少し攻めてくれないと、ワールドカップ本番用のテストマッチにはならないですよね。試合前は仮想オーストラリアとか、仮想クロアチアなどと言っている向きもありましたが、前半のフィンランドについては『仮想インドじゃん』とか思いながら見ていました。


そんな前半の45分間ですが、気になったことがありました。
まずは日本が圧倒的なボールポゼッションを誇っているのですが、DFラインが後ろでまわしているときはともかく、ボランチの位置までボールが入ったときに横パスが結構多くて危険な感じがしました。前半には福西選手の横パスが相手のFWに直接渡りヒヤッとする場面もありましたが相手の決定力の無さに助けられました。でもワールドカップ本番の相手なら1本の横パスのミスや1本のバックパスのミスを決して見逃してくれないと思うので、マイボールの時にあのような自陣での横パスはできるだけ避けて欲しいものです。


前半が特別に悪かったわけではないので後半頭からのメンバー交代はないだろうと思っていましたが、案の定前半と同じメンバーでスタートしました。ただ、ハーフタイムでジーコ監督から激を飛ばされたのか、日本選手の前への勢いは前半よりも勝っていたような気がします。
そんな後半3分、右サイド高い位置の日本のスローインから、小笠原選手が相手の裏に走りこんでボールを受け、ゴールラインぎりぎりから低いクロスを中央に送ります。これを走りこんできた久保選手が綺麗に左足でボレーを決め、待望の先取点が日本に入ります。ゴール前ニアサイドに走りこんできた久保選手はまるで風のように走りこんできました。比喩的な表現ではなく、本当に後ろの方から風のように影のようにスルスルっと入り込んできた感じです。ボレーシュートだってニアサイドの狭い方に見事に決めて、やはりこんなシュートを見せられると使いたくなる選手ですよね。ただ、得点場面以外では後方からのハイボールをほとんど競り負けてた(競り合っていなかった)のが気になりました。まだ体を心配しているのでしょうか。


今日の前半の流れを見たら、日本に先制点が入った時点で勝負の行方は決したと思いましたから、後はプレッシャーから開放された日本代表の選手たちがどのようにフィンランドの守りを崩すかが注目だと思っていたのですが、まさかあんな形で追加点が入るとは…。
1点目でも見事に相手の隙を突いた動きでアシストを決めた小笠原選手でしたが、2点目も相手の隙を見逃しませんでしたね。自陣センターサークル後方から、相手のDFの裏に走りこんだFWに向けたロングパス、と最初は思ったのですよ。今日の座席の位置は日本の2ゴールが決った側のバックスタンド2階席だったので、小笠原選手のキックしたボールの軌道が良く見えたのです。
『FWにあわせたにしては長いな、あれじゃ追いつかない、あれれ、GKの頭上も越えるぞ、あぁ、ゴールマウスに吸い込まれていく……』といった感じでした。オーロラビジョンでのリプレーでは明らかに相手GKの位置を見ていますから、まったく抜け目の無い選手ですね。これが公式大会なら伝説になる見事なゴールでした。親善試合の1コマだとしても、小笠原選手が遠い将来引退した時にどんな選手だったかを振り返るVTRで必ず使われるだろう見事なシュートでしたね。もしドイツの本大会で決っていたら、大会中繰り返し流されるVTRでしょう。


それ以降は日本が好きなようにボールをまわし攻撃していたし、フィンランドの攻めには相変わらず鋭さが無いので、ひたすら日本の選手が不要な怪我などすることのないようにと思いながら見ていました。2点をリードされたフィンランドも前半よりは攻める気がありましたが、シュートは明後日の方向でした。最初にも書きましたが、これでは本大会への強化試合にはなりませんよね。
ただ好きなだけボールをまわした日本代表でしたが、追加点は奪えませんでした。2点差がついた以降は両チームとも積極的に選手を交代したので試合が落ち着かなかった感じがします。フィンランドは選手のキャップ数を確実に稼いでいるようにも見えましたが、日本代表は22日にアジアカップ予選という公式戦であるインドを控えているので、無理をしない起用時間というような配慮もあったのでしょうね。途中交代で出場した選手はアピールしたかったと思いますが、どうもフィンランドの手ごたえが無くうまくアピールはできなかったのではないかと思います。


試合単体としてみれば前半はともかく90分間で考えれば日本の快勝と言える試合だったと思いますが、ワールドカップ本大会への強化という意味では疑問な対戦相手でした。決してフィンランドという国が弱いとは思いませんが、今回の来日メンバーはフィンランドの主力級とも言い切れない微妙なメンバーでしたね。守りの組織を作るのが精一杯で攻めの手段まで手が回っていない作りかけのチームのように見えました。代表のマッチメイクというものは難しいものですね。相手が強すぎるとチームをズタズタにされてしまうし、弱いとそれも困るし。女子の試合も見ていましたが、強化のために”丁度いい”強さの対戦相手との試合を組むのも大変です。強い相手と戦いたいならアウェイに行かないと難しいですね。


試合には関係ないけど日本サッカー協会さん、川平慈英さんの国歌独唱と選手紹介時の70年代ブロマイドのような写真はどうかと思いますよ。確かに日本代表戦は一大イベントだと思うけれど、あくまで強化のためにやるのであって集客や(集金や)お祭りのためにやるものじゃないと思うのですけど。オールスターサッカーチャリティマッチなら娯楽的な要素もありだと思うけれど、最近の日本サッカー協会は何か勘違いしているように感じます。
いろいろ書きましたが、今日は浜松のうな炭亭のうなぎが食べられたので、それだけで満足なのですけどね。美味しかった〜!!