東京ヴェルディ - 草津
国立競技場に行ってきました。
バックスタンド1階を改修中の国立競技場は、ピッチ状態は良いもののリーグ戦を開催するにはあまりにも無残な姿でした。普段は1階席で見られる料金なのに好むと好まざるとに関わらず2階席に回されてしまったときは文句の1つも言おうかと思いましたが、天気が良かったので止めておきました。空は青空でしたが、風が千駄ヶ谷門から代々木門方向に強く吹きぬけ、日差しが温かいのに風が冷たい頭寒足熱状態でした。
試合については……、草津強すぎ。というか、ヴェルディの守備陣弱すぎ。結果的には3−2というスコアで勝ち点3を得ましたが、この勝ち点が0か1か3になるかは、最後の場面での決定力の差だけでした。
試合は前半9分に左サイドを粘って突破したクロスを平本選手が頭で決めてヴェルディがあっさりと先制します。ただ、これで何となく「いける」という雰囲気がヴェルディの選手たちに漂ってしまったような気がしました。前半の終わりごろは足が止まっているヴェルディの選手に対し、草津の選手たちの出足がいいこと。前半終了間際には高木義成選手のファインセーブで失点にはなりませんでしたが、かなり危ない場面もありました。前半終了は1−0で終わります。
しかし、後半頭からは試合は完全に草津のもの。前半終わり間際のあやふやな流れのまま何となく試合に入ってしまったヴェルディに対し、草津はヴェルディの中盤に素早いプレスを掛けて襲い掛かります。後半1分、4分と立て続けにヴェルディのゴールマウスを割り、あっさりと逆転してしまいました。
これらの失点の場面ですが、ゴール前に人数はいるのに相手を捕まえるわけでもなく、ただ立っているだけに見えてしまいました。特に草津のFWとヴェルディのDFは対面しているのですが、草津のMFがFWを回りこんで追い越してくると、ヴェルディの中盤はだれもマークすることなく行かせてしまいます。草津の守備はヴェルディの選手に体をつけて自由にさせないという意思が強く感じられるのですが、ヴェルディの守備は対面しているだけで相手はとてもフリーなのです。後方から走りこんだ選手には意識すらない。
しかしこれで攻めるしかなくなったヴェルディは後半6分から23分にかけて、大橋、ヒキ、飯尾の3選手を続けて投入し得点を取りに行きます。ただでさえ弱い守備ですが、それでも得点しなければ負けてしまう状況の中で攻撃は最大の防御とでもいうかのような時間帯でした。
そんな後半28分と33分に平本が確変中の連続得点で、再逆転に成功します。しかし、この時点でヴェルディの戸川、萩村、青葉の守備は3人しかいないも同然のフォーメーションになっていました。
残りのバジールオ、平本、飯尾、大野、アナイウソン、大橋、ヒキの7人は、守備よりも攻撃に持ち味を発揮しそうなタイプの選手たち。いやーな予感がしていたのですよね。
勝ち越しても攻撃を仕掛け、時間稼ぎなどは眼中にないヴェルディでしたが、後半39分に右サイドのFKを直接草津に奪われ、ヴェルディから見て右サイドから速攻をしかけられます。この場面でのキッカーの大橋選手ですが、奪われた相手に対しアタックをしてファールで潰すでもなく、自分の背後を走りぬけた選手に追走するでもなく、パスコースを消すような位置に立ったまま何も出来ずに草津のカウンターを許しました。この攻撃がヴェルディのゴール前までつながり、飛び出した高木義成がファールを取られ草津にPKが与えられました。この時点で後半40分、3−3の引分けで勝ち点1も覚悟しましたが、このPKを高木義成が防ぎ、ヴェルディが危ない試合をモノにしました。
今日の試合ではヴェルディに平本のハットトリックで3点が入りましたが、この義成のPKストップの場面が一番痺れましたよ。止めた瞬間は何だか分からない感情が心の底からわいて来ました。
この勝利でヴェルディは今日敗戦した柏に勝ち点では肉薄しました。勝ったことはとにかく嬉しいのですが、それでも内容にはかなり不満が残ります。
順位 クラブ 勝ち点 試合数 勝 分 負 得点 失点 得失点 1 柏レイソル 19 9 6 1 2 13 6 +7 2 東京ヴェルディ1969 18 8 6 0 2 16 11 +5 3 コンサドーレ札幌 15 8 5 0 3 12 6 +6 4 横浜FC 15 8 4 3 1 7 2 +5 5 ベガルタ仙台 14 8 4 2 2 11 3 +8
現時点でのJ2上位5チームですが、得失点は変わらないのですがヴェルディの失点が桁違いに多い。得点もバジーリオ、平本の量産で多いのですが、この試合に勝って3連勝になったのですが、シュートは水戸戦で4本(浴びたシュート8本)、鳥栖戦で4本(10本)、そして今日の草津戦で7本(13本)と、いずれも相手チームより下回っています。ヴェルディは3試合で15本のシュートに対し、対戦相手は3試合の合計で31本。
それでも勝ってきたことは個人の決定力として評価に値しますが、やはり長いシーズンを乗り切るためにはラモス監督がキャンプから取り組んできた粘り強い守備をもう一度再確認して欲しいと思います。それがないと、シーズンのどこかで大崩れしそうです。
まあ、エンターテイメントとしては、面白いのですけれどね。