ドイツ - 日本 - サッカーのある幸せ

いや、おどろきました。いろんな意味で。それにしても良い試合でしたね。

まず、前半と後半の日本のパフォーマンスの違いにびっくり。
ホームでの試合になるドイツですから、開始早々から日本を押し込んできました。それに対し日本は当初の想定通り引いて守りを固めていましたがＤＦラインがペナルティエリアの中まで押し込まれていたのでどうなることかと思いました。でも、マイボールになったときに慌てず日本らしいショートレンジのパスをつないで少ない回数ながらも前半からボールを前に運べていたので、一方的にやられているような印象ではなかったですね。それでも前半終了直後に中田ヒデ選手がかなり強い調子で宮本選手に言っていたことが非常に気になりました。細かい局面のことなのか、大きな試合展開のことなのか。
そのハーフタイムを受けての後半は日本がかなり高い位置から意識的にプレッシャーをかけているように思えました。ハーフタイムのロッカールームで何かがあったのか。それとも前半で攻め疲れたドイツの圧力が少し緩んだためなのか。高原選手の先制点は押し込まれた状況の中からカウンターで生れましたが、後半の日本は前半より高い位置に守備の意識を置いているように感じていました。

その高原選手にもびっくり。
得点になる前から柳沢選手に惜しいパスを通したりしていましたが、あのレーマンとの１対１をあれほど落ち着いて豪快に蹴りこむとは思いませんでした。レーマンに当ててしまうとは思わなかったけれど、強いシュートがクロスバーを叩いて跳ね返ってくるイメージで見ていたら見事に期待を裏切られました（笑）。ドイツのリーグでプレーしていて、ドイツ代表の正ＧＫ相手に豪快にネットを揺らす。信じられないほどの快感なんだろうな。でも、あのシュートは本番にとっておきたかった。
でも、そんな事を思う間もなく再び見事なゴール。この高原選手の確率変動がどうぞ本大会まで続きますように。

柳沢選手の復調にもびっくり、
高原選手の先制点につながるダイレクトのパスは見事でしたが、それ以上にコンディションがすっかり戻っていて安心しました。決定機で決められない所まで復調していなくても良いのですが、ここで決めたらヤナギじゃないと思ってしまうから、ファインゴールは本番までとっておきましょう。柳沢選手には本大会で５得点は決めてもらわないと困りますからね。
また少ない出場時間でしたが、大黒選手がきっちりと２回決定的チャンスに絡んでいたのも印象的でした。最後のところで決めきれませんでしたが、それでもあそこまでボールを引き出せるなら、試合終盤でのジョーカーとして期待できそうです。もう１人の玉田選手にはもう少し目立って欲しかったけれど、この試合で言えばドイツが前がかりになっている時間帯で投入されればもう少しチャンスがあったかもしれませんが、とりあえず同点に追いついてからだったのでスピードを生かして裏に走り抜けるには少し厳しかったかもしれません。でも、今の形でいけば本番でも玉田選手が投入されるのは同点か負けている場面での投入になるのでしょうから、もう少し強引なドリブル突破でファールをゲットしてもらいたい。そのままシュートまでいけるのなら、もっといいのですけどね。

審判のファールの基準にびっくり。
あれだけドイツの選手が後ろから来ているのに、カードどころかファールにすらならない場面が多かった。これが開催国の親善試合モードなのか本大会モードなのかは分かりませんが、中央でボールを持つ時間が多い中田選手と中村選手は持ちすぎて後ろからのスライディングで怪我などしないようにもう少しだけ早くボールを離した方がいいのかも。特に中村選手は少し怖かった。日本がリードしている場面で体の真下で両足を使ってのフェイントで交わす場面もありましたが、負けている相手がイラついて足ごとフット橋に来るのではないかと思ってヒヤヒヤしました。中央でタメを作ってその間にトップの選手とサイドの選手がスピードに乗って攻撃するのだとは思いますが、リードしている時はタメも程ほどに。
で、心配なのが加地選手ですね。右足のつま先が延びきったまま転倒しているので、筋肉とか腱の大事にならなければ良いのですが。ここまで長い間批判に耐えながら頑張ってきて、最後の最後にこれで出られないということではむごすぎます。あの角度からのファールに甘いジャッジを繰り返していれば、ルーニー選手のような骨折も起こるよなと悲しい気持ちになりました。救いは交代で出た駒野選手がまったく遜色のない安定したプレーを見せてくれたことですね。まったく遜色なくて実況の角沢アナが加地選手と呼んでました。確実な守備と後半の積極的な攻撃参加。ゴール前の競り合いでもしっかりと相手をマークしてヘディングで競り勝っていたし、左サイドの１４番も見習って欲しいです。

アディダスのユニフォームの脆さにびっくり。
柳沢選手のユニといい、駒野選手のユニといい、見事な裂けっぷりでしたね。ただ対戦相手のドイツもアディダス製なのに全然裂けていませんでしたから、ドイツ選手の相手ユニを掴んで引き倒す時の腕力が凄すぎるということでしょうか。それとも日本の仕様はあえて裂けやすくしてあって、相手のＤＦが日本のＦＷのユニを掴んで引きずり倒そうとしてもユニだけが裂けて体は前に進める仕様なのかな（そんな馬鹿な…）。
でも、メーカーとしてはああも無残に裂けている姿が全世界に放映されたらイメージダウンですよね。４年前はナイキ製のユニが随分裂けたような印象がありましたが、今回はアディダスが当りなのか。

セットプレーの弱さにびっくり。
緩慢なドイツのＤＦを混乱させた日本の素早い敏捷性のある攻撃は、オーストラリアやクロアチアの守備にも通用するのではないかという目途も立ちましたが、セットプレーからの２失点は困りましたね。オーストラリアとクロアチアの偵察部隊もシメシメと思ったのだろうな。でも、中沢選手が小さく見える相手をどうやって止めるのかは頭の痛いところですね。身長の差もありますが、日本選手の体重が軽いことで簡単にドイツ選手に吹っ飛ばされている場面もありましたし。体重の軽さは攻撃時の俊敏性につながっているのだとは思いますが、守備時の体幹の強さのようなものを感じられるのがヒデだけでは辛いな。でも、今日は福西選手もしっかり最後まで走って相手をマークしていましたし、セットプレーでやられるのも日本らしいと言えば日本らしい。

いろいろとビックリすることもありましたが、でも、直前のテストマッチにしては最高の試合でした。収穫もあったし課題も見えた。惜しむらくは加地選手の怪我が余計でしたが、これは大事にならないことを願うしかありません。怪我の田中誠選手に代わり茂庭選手が召集されたようですが、万が一加地選手がダメだったら、バックアップの右サイドは誰を呼ぶのだろう。山田暢久、山田卓也選手まで遡るのか。加地選手が問題なければオッケーなのですが、もう少し両サイドの選手を試してこなかったツケが出なければ良いのですが。
でも、いろいろあったとしてもこのコンディションのまま本大会に入れれば期待できそうですね。今がピークではなくこれからもっと上がるのだったとしたら、どうしましょう（笑）。