東京ヴェルディ - 仙台

helguera2006-06-07

国立競技場に行ってきました。
駅の階段を駆け上がったり駆け下りたり、乗換えを考えて電車に乗る位置を調節して乗り換え時間を最短に出来るように考えながら電車を乗り継いで千駄ヶ谷駅に着いたのが18時50分頃。千駄ヶ谷駅から小走りで国立に向かい、でもこれでキックオフに何とか間に合うなとチケット売り場を見たら、えー、列が出来てる。窓口は4つあるのですが、それぞれに10人弱の行列が…。私の中の印象は「ヴェルディは集客力が弱い」というものなので、列が出来ているとそれだけでびっくりしてしまいました。列に並んでいると聞こえてくるのは「アウェイ自由席」の注文が多かったこと。まあ、ホーム側の客はシーズンパスを持っている人が多いでしょうから、当然といえば当然かもしれないけれど、それでも「仙台や札幌など、今は東京に住んでいても郷土意識が強く、関東で試合があれば通ってくれるお客さんが多いんだろうな。逆にヴェルディが仙台や札幌に遠征した時に、現地に住んでいる元東京人が通ってくれるとは考えにくい。この違いは何だろう…」などという余計なことを考えてしまいました。


何とかチケットを買って、ゴール裏スタンドに入るのと選手入場がほぼ同時、席に座るとすぐにキックオフでした。
前半のヴェルディは相変わらず横パスのオンパレード。ボールを持っているのか持たされているのか。昨年までとほぼ選手が入れ替わっているにもかかわらず、どうして似たようなサッカーになってしまうのでしょう。例えばヴェルディが50mボールを前進させるのに50本の横パスをつないで時間を掛けて前進するのに対し、対する仙台は50mを5本のパスでつないでくる印象です。横パスは相手のプレッシャーがかかりにくく通る安全度が高いパスかもしれないけれど、万が一ミスをして相手にさらわれたらあっという間に2人の選手が置いてきぼりにされて、大きなピンチを招く。一方仙台が多用している縦パスは通る確率は低いかもしれないけれど、うまく通ったり、万が一守備側にミスが出たりボールのこぼれ方がラッキーだったりすれば一気に大チャンスにつながるかもしれない。ボールを保持しているのはヴェルディだけど、試合のペースを本当に握っているのはどちらなのだろう、そんな事を思いながら見ていました。


両チームとも数は少ないけれど惜しいシュートがありましたが、両GKの攻守もあり、得点が動きません。そんな前半の30分過ぎ、高い位置でヴェルディが奪ったボールを大野選手がペナルティエリア内にいた久場選手にスルーパス。久場選手は反転してシュートかと思いきや、相手を引き付けてからファーサイドにいた斉藤選手へ見事な横パス。これを斉藤選手が落ち着いてダイレクトに蹴りこんでヴェルディが先制します。
このチャンスの前にも今日のスタメンだった飯尾選手が何回かいい位置でボールを受けるものの、反転してシュートを狙わず味方に流してチャンスを潰すという攻撃を繰り返していましたから、久場選手が横に流した時は、「久場よ、お前もか!」と思いましたが、決っちゃえば落ち着いた判断でしたね。あれを斉藤選手が決められないと、「消極的な姿勢」と言われてしまうのだから、結果が全てのプロスポーツ選手とはつくづく因果な商売です。


そして問題の後半。
後半は開始からリードを許している仙台の圧力が前半より高い位置で掛かっているように感じていました。ヴェルディ陣内でのプレー時間が長くなりますが、そうすると必然的にヴェルディの攻めはスペースができて縦に早く攻撃を仕掛けやすくなる。まあ、早い攻撃といっても前半のように横パスオンリーに比べれば早いだけで、他のチームに比べたら決して早いとは思わないのですけれど。そんなショートカウンターがはまった後半の25分前後、ヴェルディの選手が仙台ゴール近くで倒されてファールを貰った模様。遠すぎてエリアの中か外か分からなかったのですが、仙台サポと仙台の選手の騒ぎ方を見るとどうやらPKらしい…。ここからが大変でした。


まず、これからPKを蹴るぞって意識を集中しなきゃいけない時間にもかかわらず、先にヴェルディが選手交代で久場選手に代えて大橋選手を投入。それと同時にこのファールで退場となり足りなくなったDFを補充するために仙台も選手交代をする。ヴェルディがPKを蹴る前に混乱の他にさらに余計な間があって嫌な予感がしたのですよ。案の定、キッカーがPKをGKに弾かれて失敗。万事休すかと思いきや、何やら選手と審判が騒いでいる。どうやら守備側の選手に反則があってPKのやり直しになったようだが、いかんせん遠すぎて何が起きたか分からない。
そうしているうちに再度のPKをVTRを見ているように繰り返しGKに弾かれて、またもや万事休すと思いきや、これまたVTRを見ているかのように再度やり直しを命じる主審。
反対側のゴール前で起きている出来事なので、この辺りからもう、何が何だか分からない。何が何だか分からないけれど、少なくとも2度失敗したキッカーは変えた方がいいんじゃないの、と思っていたらこのどさくさで投入されていた大橋選手が蹴ってゴールイン。良く分からないけれど、これで2−0。


しかし、ヴェルディサイドから見ていても良く分からない主審の判定なのだから仙台サポが納得するはずもなく、ここからは『八百長ヴェルディ*1の大コール。いや、最高でした。嫌味でもなんでもなく、素直に仙台サポは凄いと思いました。あの一連の騒動の矛先をヘボい審判にぶつけるのではなく、相手チームにぶつける意識の切り替えは本当に凄いと思いました。
ヴェルディも少し前のアウェイ徳島戦で、ヘボい主審と副審に「お前それ1mは前に出てるだろう」というオフサイドを意識的にか下手だったからかは分かりませんが見逃され、先制点を取られる。追いつく為に攻めあがった裏をつかれてさらに失点を重ねて敗れた試合がありました。それをテレビで見ていましたが、「J1の主審でさえ下手くそなあのレベルなのだから、J2の審判がこの程度に下手くそなのはしょうがないよな…」と妙に納得してしまって、「八百長徳島」などという発想は思いもつきませんでしたから。あの仙台サポのパワーと切り替えの早さには脱帽です。


しかし、試合としてはここで壊れました。
2点差となって数的にも不利(1人はレッドで退場、もう1人は3人交代後の負傷退場だったでしょうか)となってしまった上に、異常な雰囲気のスタジアム。ヴェルディの選手たちも後ろでボールを回しているだけで敢えて攻めに出て行かないし、仙台の選手もリスクを賭けてまで攻めにこない不思議な展開。途中のボール回しの中で仙台の選手がリフティングをすると、お返しにヴェルディの選手も少し後にリフティングをするという、普通では考えられない状況でした。笛でプレーが切れている時のリフティングではなく、プレーオン中のリフティングですから、いかに双方とも前に出て行かないかということですね。この時点で試合時間は15分以上残っていましたが、そこから試合終了まで同じような雰囲気でした。


私の周りでは数的有利にも関わらず攻めに出ないヴェルディに対して、「(現在のJ2の順位の中で)得失点差が不利な状況なことを分かっているのか。もっと攻めろよ!」という声も掛かっていましたが、私はこの試合はこのまま壊していい試合だと思っていました。今の状況で2点差なら勝敗の行方は動かない。確かに攻めれば得点できるかもしれないけれど、仙台の捨て身の反撃を誘うかもしれない。お互いに異常なスタジアムの雰囲気の中で、不要なファールやいつも以上に激しいぶつかり合いで、無用のカードや故障を貰ってしまうかもしれない。得失点差は順位表で下の方にいるクラブから稼げばいいことで、この試合はこれ以上余計に動かさず、早めの店仕舞いを考えれば充分だ、そんなことを考えていました。あのヴェルディのボール回しがベンチも同意のものだったのか、それともベンチもイラついていたのか、聞いてみたいところであります。


試合は本当にそれ以降何の見所もなく時間を消化していきますが、45分に近づいた時の審判の掲げたロスタイムは5分。それを見た瞬間、「本当にこの主審はダメだ」と始めて怒りが湧きました。自分の判定で試合を壊してしまったにもかかわらず、さらにこのどうしようもない時間を長引かせようとする。確かにPKを繰り返していた時に相当のロスタイムはあったと思います。しかし、その後のスタジアムの異様な雰囲気を考えれば、例え10分取っても勝負の行方は変わらない。そうであるなら、掲示上は3分ぐらいとって、2分5秒くらい経過した時点でさっさと笛を吹いて、このくだらない試合を終わらせるべきだと思っていました。まあ、そんな試合を作れるような判断ができる審判なら、あのPKの場面でもっとうまく試合をコントロールできるとは思いますが。


試合内容としては何ともいえない試合になってしまいましたが、とにかくヴェルディ的には上位との直接対決で勝ち点3を獲得しました。昇格ゾーンが3しかないというルールを考えると、現在4位のヴェルディとしては直接対決だとプラスマイナスで勝ち点が6差になってしまいます。幸いにも今日の勝利で仙台との勝ち点差は4に縮まりましたが、もし負けていたら勝ち点差は10となるところでした。いくらまだ第二クールの途中とは言え、3位との勝ち点差が10もつくような状況は避けたいですし、週末には柏との直接対決もある。「この2連戦で2連敗だったらかなりやばいな」、と思っていたのですが、とりあえずそんな状況を回避できただけで今日の試合はOKです。


付け加えるなら、今週移籍してきた右サイドの海本幸治郎選手と左サイドの石川竜也選手が揃ってスタメン。両者とも前線や中盤の選手との連携面での意志の疎通はまだまだだったけれど、それでも合わせる時間が1週間もないにしては上出来の結果だったと思います。あとは、FWですよ。背番号を44番まで使っているにもかかわらず、スタメンに日本人選手の名前ばかりって、どういうこと? 優秀なクラブフロントの皆さん、振り向いてシュートが打てて得点が取れる外国人選手の獲得をお願いします。これ以上選手を増やして何チーム作る気なんだとも思いますが。

*1:八百長レフリーと言っていたという話もあります。でも、このように聞こえてしまいました