八百長

非常に残念なことですがヴェルディの試合の中で、仙台戦で、山形戦で、「八百長」という言葉が入ったコールが聞かれました。どちらも審判の微妙な判定があった試合でしたが、両チームのサポーターは本当に「八百長」の意味を理解して、それでもコールしているのでしょうか。


八百長 (goo辞書より)

〔八百屋の長兵衛(通称八百長)という人が相撲の年寄某とよく碁を打ち、適当に勝ったり負けたりするように手かげんをしたことから出た語という〕勝負事で、真剣に争っているように見せながら、前もって示し合わせたとおりに勝負をつけること。なれあい。いんちき。

まず本来の意味は、『対戦相手同士が示し合わせたとおりに勝負をつけること』であって、「八百長○○」と言った瞬間に、○○の部分が対戦相手だろうが審判だろうが、その示し合わせた相手には自分達の応援するチームも含まれるってことですよね。わざと負けるのですから。


まあ、そんな言葉の本来の意味に関わらず、審判の疑問の判定に対していちいち「八百長」という言葉を使うのもどうかと思うのです。正直な話、サッカーに納得のいかない判定はつきもので、それも含めてサッカー。その納得のいかない判定が”意図的な判定”なのか”本当にミスジャッジ”なのかは審判の告白でもない限り分かりません。確かに試合を見ていて面白くない判定は多々あります。ブーイングしたくなることもある。実際に審判に対してブーイングすることもあるでしょう。
でも、ブーイングと「八百長」という言葉は、本質的にレベルの違う話になるということを意識して使っているのでしょうか。意識して使っているなら、もう語る言葉もありません。でも、無意識に使っているのなら、もう一度よく考えて欲しいと思います。


こちらはヴェルディのGKである高木義成選手のBlogです。本来は現役選手の立場からスタンドのコールについてのことを書くというのは非常にやりにくい話だと思います。それでも、あえてこの「八百長」コールに触れています。ヴェルディの選手のBlogですが、仙台サポも山形サポも、もう一度冷静になって読んでみて欲しい。それでも、「八百長」という言葉を使うなら、それは止めません。止められません。でも、スタンドにいるお子さんとかが、「サッカーは八百長なんだ…」と思ってもいいのですか。


森の旅立ち。そして・・・残念な事。 犬小屋。



サッカーに微妙な判定はつきものだと思います。時にはミスジャッジもあるかもしれない。そしてその微妙な判定やミスジャッジがワールドカップの大事な試合だったり、リーグ戦の優勝や昇格や降格を決める大事な試合で起こるかもしれない。でも、それを受け入れてこそのサッカーなのではないでしょうか。長い目で見れば、審判の微妙な判定で損をすることもあれば得をすることもあるが、たぶんそれは大きく上下にはぶれないでしょう。その試合の中では損得がはっきり分かれても、長いシーズンで見れば大きくは変わらないと思います。


もちろん審判技術の向上は常に意識しなければいけない問題だし、たとえそのプレーが退場やカードに値する悪質なプレーだったとしても、偉そうに感情的にカードを見せ付けるように示すのではなく、諭すようにその場の雰囲気を沈めるようにカードを出す技術の習得も日本人レフリーには必須だと思います。
でも、審判のレベルの話と「八百長」コールの是非はまったく別の話。ましてや対戦相手の選手のバスを囲んで出発させない行為など論外でしょう。


大きな話になってしまいますが、サッカーにも人生にも不条理はつきもの。サッカーでの微妙な判定による不条理すら受け入れられず「八百長」コールやバスを囲むという行動に出てしまうことと同じようなことが、人生の不条理でも起きてしまっていいのでしょうか。何かが気に入らないから実力で排除する。最近、そんな世の中になっていませんか。『すべての不条理を受け入れて我慢するべき』とは言わないけれど、正しく不条理と付き合うこと、正しく不条理に対し主張することを学ぶこともサッカーの大事な側面なのではないかと思います。不条理に対し、節度を持って行動し受け入れる。そして受け入れがたい不条理に対しては、節度を持って主張する。
どこの国の話とは言いませんが、「世界大会で微妙な判定で負けたことで400万通を超えるEメールを事務局に送る」なんていう行為は見苦しいと思いませんか。ほんの4年前には微妙な判定が全部自分達に有利になったのはすっかり忘れて。どうなんだろう、逆に今の世の中なら「それぐらいの行動に出られて素晴らしい行動力だ」になるのかな。


コールの話から広がりすぎましたからこの辺でやめますが、選手の口から出ている言葉をどうぞ大切にして欲しいと思います。


以下は追記です。

以前のエントリーで紹介させていただいた山形サポさんのBlogです。上のエントリーとは関係なく、それよりも先に書かれているものだと思います。


写真UP! H.Jの足跡 さん


このように書かれる方もいらっしゃる。まだまだサッカーも世の中も捨てたもんじゃない。
次回の対戦は試合終了まで11人同士で戦いたいですね。もちろん、勝つのはヴェルディで(笑)。