大宮 - 名古屋

helguera2006-09-30

駒場スタジアムに行ってきました。
今日はどうしても外せない用事があって国立のヴェルディ戦には行けませんでした。もちろん携帯の速報で逐一スコアは追いかけていたのですが、神戸に先制されたのも束の間、次に見たときには同点に追いついていて、次のチェックでは3−1に。次には神戸に1点差に追いつかれましたが、ヴェルディに追加点が入り4−2になったところで勝利を確信しました。終わってみれば5−2という気持ちの良いスコアで、国立に行けずに会議室にいる自分の身を本当に恨みましたよ。
そんな用事も夕方には片がつき、何とか駒場スタジアムに向いました。国立でヴェルディが快勝しているのでスタジアムに向う足の軽いこと。綺麗な夕暮れを見ながら北浦和駅からの道を歩きました。


試合は連敗中で守りの要のトニーニョ選手を欠く大宮が慎重な立ち上がりを見せます。やや名古屋優勢でしたが一進一退の攻防が続いていたのですが、中立の目でメインスタンド2階から見ていると、同じような守備の局面でも、大宮の守備は名古屋の選手の前に進むコースを消すように立っているだけで、名古屋の選手は余裕を持ってボールをキープできます。しかし名古屋の守備は大宮の選手に対し、1人2人3人4人とすぐに集まってくるので、大宮の選手はボールをまわすのに精一杯だし、やがてはミスも出る。守備の意識が”相手の前へのパスコースを消すだけ”の大宮に対し、”大宮のボールを奪ってやる”という強い意志が見える名古屋。選手個々の運動量も名古屋の方が多いし、0−0の展開でしたが『これは名古屋が得点するのも時間の問題で、先制したら1点で試合が決ってしまうかも…』と思いながら立ち上がりを見ていました。


しかし、面白いもので先制したのは大宮でした。前半の29分、密集から右サイドを縦に突破した西村選手(?)が中央に早いクロスを送り、クロスはゴール中央を通り抜けましたが左サイドから走りこんできた久永がダイレクトで押し込んで見事な先取点を大宮が挙げました。
『これで試合が面白くなったぞ』と思ったのも束の間、名古屋のキックオフから大宮陣内に持ち込まれたボールは混乱してラインが作れない大宮のDF陣のデコボコの隙をつき右から裏を狙っていた杉本選手が冷静に押し込んで1分後に同点になりました。
『この失点で大宮が動揺して連続失点するかも…』と思っていたのですが、それを隣人に話す間もなく大宮ゴール前に攻め込んできた名古屋が、左サイドからフワッとしたクロスを右サイドへ送り、大外にいたヨンセン選手が大宮の守備陣に比べ頭一つ高い打点からさらにゴールマウス左側にフワッと浮かせたヘディングシュートを決め、大宮の先制から2分後には名古屋が逆転してしまいました。このヘディングの弾道は美しかったです。


名古屋が逆転したのが前半の31分でしたが、『前半のうちに名古屋が3点目を決めてしまったら前半で試合が終わってしまうな…』と思いながら見ていましたが、かろうじて前半は大宮から見て1−2という最小得点差で折り返すことができました。このハーフタイムに考えていたことは、『大宮の三浦監督は、この1点負けている状況をどう考えるのだろう』ということでした。ホームで戦っている以上、点を取りに行かなければならない。しかし、守備的な選手を下げ攻撃的な選手を入れると、名古屋に3点目や4点目を入れられてしまうだろう。しかし、大宮から見たら、自分達から何か仕掛けない限り得点の気配すらない。そんな大宮にとってはジリ貧の状況に思えたのでハーフタイムの三浦監督の交代による後半の選手起用がとても気になっていました。
自分から仕掛けてリスクを冒しても攻めるのか、大崩れしないことを選ぶのか。結果は選手交代なしで後半に臨んできました。


しかし、結果的には後半の13分に、大宮の1点目の攻撃を見事にお返しされたかのような右サイドの突破から中央にクロス、それを走りこんできた選手が綺麗に合わせ駄目押しとも言える3点目を決め、たぶんこの得点で試合も決りました。
ここから大宮も選手交代をしながら攻撃にむかいますが、失った攻守のバランスは取り戻せず、なす術もなくそれからの30分を無為に過ごしてしまいました。
今日はメインスタンドで見ていたのですが、いつもは大宮の敗戦にも寛容に思える大宮サポですが、さすがに名古屋の4点目が決ってからはかなり席を立って帰路につく方が多くなりました。ふと横を見ると、後半30分過ぎには自分の座っていたブロックは半分くらい客が帰ってましたね。


特に4点目は大きく蹴り込んで来た名古屋のボールを対応に出た土屋選手がダイレクトではなくワンバウンドで処理しようとしたところを狙われた失点でしたが、これは大宮の選手のミスというよりも常にチャンスを虎視眈々と狙っていた名古屋の選手の勝利だと感じました。大きく蹴りこまれたボールをタッチに逃げれば4点目は防げたかもしれませんが、大宮の選手の背後を回りこんでバウンドさせる前から裏を狙っていた名古屋の選手の執念が優った好プレーだと思います。
この場面以外でも前線から長身のヨンセン選手がサイドまで大宮のボールを追い込んで奪ったり、試合全体に渡って名古屋の選手の方が勝利に値するプレーを続けていたと思います。私は名古屋の試合を数試合しか見ていないのですが、見る試合はいつも結構良い内容なのですよね。どうして名古屋は今の順位にいるのでしょう。


対する大宮ですが……、重症ですね。主力の誰かが欠けると途端に戦力ダウンになってしまう薄い選手層も問題だと思いますが、中盤の選手たちに攻守にバランスの良い選手がいないことが致命的だと思います。誰とは言いませんが攻撃センスのある中盤の選手は守備の意識が薄い。守備力のある中盤の選手は攻撃のセンスが薄い。シーズン当初はこのような中盤の欠点を4バックの両SBに入った波戸選手と土屋選手の豊富な運動量と攻撃センスで補っていたのだと思いますが、両サイドバックが機能しなくなると時を同じくして大宮の攻守のバランスが崩れているのではないかと感じています。
また前線に頼りになる外国籍のFWでもいてくれたら違う按配で攻守のバランスを探れるのだと思いますが、2トップの桜井選手の相棒になるもう1人のFWが森田選手や若林選手やアリソン選手では得点の気配すら感じられません。大宮は次から3試合アウェイが続くようですが、アウェイであることをうまく使い、0−0や1−1で引分けを狙うような戦い方で守備の意識を高め、あわよくばワンチャンスを決めて1−0で逃げ切る、そんな試合をしないと立ち直れないように感じました。