あるある捏造問題

盛んにテレビのニュース番組で取り上げられている「発掘!あるある大辞典」におけるデータ捏造問題ですが、私には捏造が驚きというよりも、捏造をこんなに大騒ぎしている現在の状況の方が驚きです。
決して捏造を肯定しているわけではないのですが、逆説的な言い方をすれば毎週必ず体に良い事が見つかる事の方が不自然でしょう。毎日やっている番組もあるようですが、取り上げる食品についてそんなに都合の良い結果やデータが出るほうがおかしい。それを信じてスーパーの棚からその食品が品薄になってなくなってしまう日本人の”踊らされやすい体質”というか、熱しやすく醒めやすい体質も驚きですが。


メディア・リテラシーということについて語るまでもなく、どうも日本人と言うものは公権力や報道機関の言うことは素直に信じやすい体質の国民なのでしょうね。今回の捏造は問題外ですが、捏造にまで至らなくても『様々な意見がある問題について意図的に偏った意見しか取り上げない』などということは簡単なことだと思います。それが報道機関の自社の意見の主張ならまだしも、様々な圧力によって意見が偏ってしまうこともあるでしょう。つい最近もNHKの従軍慰安婦問題における裁判所の判断など、非常に気になるニュースもありました。
事実というものは決して一つではないだろうし、被害者には被害者の事実があって、加害者には加害者の事実がある。国と個人が対立する事実があるかもしれないし、経済活動と環境保護が対立する事実もあるでしょう。それをどのような角度で取り上げるかはあくまで取り上げる側の主観や都合であって、絶対的な真実ではないのだと思います。


新聞を読むときでも1紙だけではなく2紙の記事を確認するとか、新聞とテレビを確認するとか、時には雑誌やインターネットの方がより深く出来事を抉っていることもあるでしょう。一度に大勢の人が知ることの出来る記事や番組が必ずしも良心に基づいて事実を報道しているとは限らない。たぶん100人の製作者がいれば99人は良心に基づいて作っているのだと思いますが、中には1人ぐらいそうじゃない人間もいるかもしれないし、どこかから圧力がかかっているかもしれない。
例えばテレビ局とスポンサーの関係だって微妙ですよね。大口広告主の問題を取り上げる勇気があるのかどうか。私は昔から良く分からないことがあるのですが、電力会社はなぜあんなにテレビCMを流すのでしょう。日本の電気事情は各地方に大手電気会社が1社だけあって、激しい競合にさらされているわけではない。ガス会社などが暖房器具などの部分に食い込んでくる心配はあるけれど、所詮電化製品は電気でしか動かせないのだから電力会社の地位は安泰なのにあれほどまでのテレビCMを流す理由が分からないのですよ。ちょっと横道の話ですけれどね。


今回問題になっているのは情報番組のデータ捏造問題ですが、例えばテレビショッピングで取り上げている商品は本当に広告どうりの効果があるのかどうか。「体験者の声」のような部分は、本当に体験者なのか。全てを疑ってかかるのは良くないかもしれませんが、全てを信じてしまうのも危険だと思います。
今、テレビ各局はあるある問題を躍起になって報じていますが、自局の番組も同じようなことをしているのではないか、していたとしたらバレるのではないか、などとヒヤヒヤしているの…、なんてことはないですよね。他にもありそうだけどなぁ。