サッカーマガジン 1124号

昨年の6月以来ずっと買わなかったサッカーマガジンですが、この号は禁を破って買ってしまいました。理由は、129Pからの名波浩選手のインタビューをどうしても読みたかったからです。


名波浩スペシャルインタビュー    文:増島みどりサッカーマガジン1124号より一部引用)

ー10年在籍した磐田を離れ、今度は1年に2度の移籍。どんな心境でしょう。

名波:移籍には大変なパワーがいる。クラブの環境はみな違うわけだし、自分のことだけではないからね。家族だって環境を変えなくてはならないし、やはり力がいりますよ。ただ、移籍をして追い求めているのは環境ではなくて、新しさであり、それまでとは違った目標がある。今の心境はと聞かれれば、非常に清々しい。新しいチーム、仲間、サッカー、そしてユニフォームすべてにそういう気持ちを抱くことができる。


ー清々しい移籍とはまた誌的ですね。新しい目標のためでしょうか。

名波:そう。新しい目標へのやりがいに、速いパス展開から、全員の意図が形になって相手を崩すような理想のサッカーをも一緒についてきた。そういう移籍です。昨年、シーズン途中で移籍したC大阪では、とにかく残留が目標だった。結局それを果たせずに終わってしまったことは非常に残念で、責任は間違いなく、自分を含めて100%選手にあるものだ。自分のキャリアは、それまで常に、最後の最後に勝ってきたわけだから、ああいう敗戦は初めての経験で、新しく教えられたことは多かったと思う。今回は、J1に上がらなくてはいけない、という仕事で、若くて、まだまだこれから大きく伸びる選手たちとの仕事になる。全く違った移籍であり、みんなの若さの分だけ新鮮である。


インタビューの中でも、やはりこの部分は昨年のヴェルディにはなかった新しいパワーというか、期待を抱かせるインタビューでした。

ー1月の入団会見で、伝えたいものの一つに、勝者のメンタリティーとおっしゃっていましたよね。では敗者のメンタリティーとは、どんなものだと考えているのでしょうか。

名波:まだ大丈夫、と思うこと。勝ちにいくぞ、ということをある程度知っている選手、チームは、例えばそれがどんな大きな点差であっても、まだまだ、いつひっくり返るか、と危機感というのを常に持っている。だから、細かい部分で手を抜かないし、結果的に差を広げられる。ところが勝ったことのないチームは、まだ大丈夫、これなら大丈夫と思いながらそこからズルズルと負けていく。ラスト5分、あと3m、あと一歩、これらで手を抜くのは論外だし、何かを劇的に変える前に、こういう小さなことをうるさく言っていくのが仕事だと思う。清水との練習試合(2月9日 1−1)もカズキ(DF*1平本一樹)が退場した。判定がどうこうよりも、チームの柱とされる選手がそんなことをしたらどうなるのか、練習試合だって許されないこと。監督は何も言わなかったけれど、オレは、今日は我慢する、だけど試合でこんなことしたら、今度は絶対に許さないぞ、と言っておいた。あとは彼次第。


ー楽しそうですね。溌剌としている。

名波:年齢もあるし、膝の問題も抱えている。それでも来て欲しいと呼んでもらった喜びややりがいは、何にも換えがたいものだとキャンプが始まってからはつくづく感じる毎日だね。そりゃ、今50mを6秒フラットで走ってくれ、とか、垂直飛びとか、持久走とか、そんな無理を言われても困るけれど、自分ができるもの、誰も知らない、オレだけしか経験できなかった何かを伝えることはできる。カリスマでもある、うちの監督に言われれば若い選手たちは萎縮する。そこで、監督に伝えるべきことは言い、自分の意見も説明する。それもオレの役割。


そして、名波選手自身の将来について。

ー引退9割のつもりと今シーズンを位置づけていましたね。真意は?

名波:夏過ぎて終盤に入った頃、現役としての自分がまだ目指すものがあるのか、それとも指導者としての自分の理想像か、どちらがより大きく描けるか。それで決めることになるのだと思う。どちらにしても新しい仕事、新しい場所で仕事を楽しみたい。オレはつくづくサッカー人。サッカー取ったら何も残らない男だから。


ほんの一部の引用ですが、まだ今シーズンがどうなるのか全く分からないけれど、それでも名波選手が来てくれて本当に良かった。監督の人脈の賜物と、クラブフロントのグッジョブです。
あと1週間で、開幕です。

*1:FWだよ、増島さん! こんな単純なこと間違えるな!! 失礼、取り乱しました。