エリザベスタウン (2005)

前から見たいと思っていながらタイミングが合わずに見逃していたこの映画をようやく見ることができました。


エリザベスタウン スペシャル・コレクターズ・エディション


素直な感想としては、面白かった。でも、凄く面白かったとかいうことではなくて、何と言ったらいいのか、じっくりと心に染みると言うか、ほのぼのと言うか。
良い映画だと思うのですが、残念ながら全体のまとまりに少し欠けるのですよね。だから、つまらないと思う人も多いと思います。見ているうちにグィッとストーリーに引き込まれてしまい時間の経過を忘れてしまうような作品ではないです。でも、2時間近くの映画の中に、役者さんの演技や表情、セリフや風景、そして音楽など、様々な素晴らしい宝物の欠片が散りばめられているような、そんな素敵な映画でした。


主人公は仕事で大失敗をしてしまい、その上失恋したドリュー役の オーランド・ブルームと彼に出会うクレア役の キルステン・ダンストスパイダーマンシリーズの恋人役の女優さん)だと思うのですが、監督の伝えたかったことやこの映画の一番の見所は後半のステージに上がってからの ホリー役の スーザン・サランドンのセリフの部分なのだろうと思います。


ドリューは仕事に大失敗し恋に破れ、自殺を考える中で父(ミッチ)が故郷で死んだことを知り、自殺を延期して葬儀に向かうのですが、そこでちょっと変わった女の子であるクレアに出会う。少し距離があった父と子のストリーと新しく始まる恋が同時に進行しているようで全体のまとまりがないのです。が、実はこの映画はドリューとクレアというこれから始まる恋のストーリーと、ホリーとミッチという連れ合いの死によって終わりを告げた恋のストーリー、この2つの恋のストーリーが同時に描かれている映画だと感じました。


最初にも書きましたが、映画全体で見ればちょっとまとまりがない映画です。人によっては退屈に感じるかもしれません。でも、この映画に2時間を掛けたとしても、スーザン・サランドンのステージ上の演技を見てセリフを聞けたならその2時間は惜しくないと思える映画だと思います。今時のハリウッド映画としてはこの映画の余計なシーンを大幅にカットして1時間30分ぐらいにまとめれば分かりやすい恋の物語にまとまったのかもしれませんが、それを敢えてまとめなかったところがこの映画の魅力なのかもしれません。


クレア役の キルステン・ダンストの美人じゃないけれど可愛い魅力というのが凄い。美人かどうかも大事だけれど、表情で観るものの心をつかむ女優さんですね。スパイダーマンシリーズとは違った魅力が出ている映画だと思います。