ヴェルディを好きになってなかったら…

昨日のエントリーで予定をまとめているときから考えていたのですが、「もし、ヴェルディを好きになっていなかったら…」ということを最近よく考えるのです。日本代表の活動や1年に1度のお祭りであるツール・ド・フランスとJ2のヴェルディの試合が同列に並んでいるというのは他の方には見にくい予定表だと思いますが、私の中での優先順位としてはやはり同列なのですよね。(ヴェルディが絶対唯一無二のものでもないところが、弱いところでもあるのですが…)。


読売クラブ時代から好きだったので、J開幕当時から迷わずヴェルディを応援していましたが、それがなかったら地元埼玉の浦和を応援していたのでしょうか。開幕当時は苦労をしていた浦和というクラブがこんな強豪クラブとなり、開幕シーズンに優勝したヴェルディがJ2のそれも中位でのたうちまわっているとは…、諸行無常というところでしょうか。
弱いクラブが強くなっていく姿を昔から見ているというのは、サクセスストーリーを最初から体験しているようなものでとても自慢になると思うのですが、強かったクラブの転落をずっと見続けているというのは非常に辛いものがあります。国立が満員でチケットが取れなかった時代を見ているので、ホームゲームの観客数が2,000人台というのは余計に堪えます。弱い時代から好きになったらり人気がなくなってから好きになったりしているのなら、今の姿は当たり前かもしれませんが、昔を知っているだけにね。


で、そこで思うのですが、クラブそのものも昔の幻影を捨てて今を見ないといけないのではないかと思うのです。強かったヴェルディ、パスが面白いように通ったヴェルディ、選手個々が逞しかったヴェルディ。それらはすべて昔の話です。「ヴェルディがこんな状態ではいけない」という表現をよく見かけますが、理想に足りない状態を嘆きイライラするよりも、「こんな状態であるヴェルディ」を直視し、そこからスタートしなければいけない。特に監督やフロントの方々に感じることなのですが、「ヴェルディは挑戦者の立場だから…」という表現も見かけるように思いますが、頭のどこかにまだ”強かった頃のヴェルディの幻影”が残っている人が多いのではないでしょうか。


現状を直視すれば、”J2でも勝ち越せない”単なる弱小クラブです。得点と失点がほぼ同数のクラブです。そこを見誤ってしまうと、打つ手打つ手がすべて的外れになってしまう、そう思います。他のクラブを退団する大物選手の獲得を考えるよりも、今クラブにいる選手で一番強いチームを作るにはどうすればいいのかを必死になって考えてほしい。今クラブにいる選手を使ってどのように戦えば勝ち点を残せるのかを必死で考えてほしい。監督の理想は理想として尊重しますが、あくまでそれは理想。現状は9勝3分9敗と昇格に対してはまったく結果を伴っていない成績です。他クラブを退団する選手のことを考えている場合ではない。4バックがやりたいなどと言っている場合でもない。昇格を本当の目的とするなら、フィールドプレイヤーの8人で守って2人で攻撃するなりふり構わぬサッカーでもやるしかない。


どんなヴェルディにしたいのか。どんなヴェルディを見たいのか。


クラブフロントはどんなクラブにしたいのか。
短期間でJ1に返り咲きたいなら、今のままでは無理でしょう。「ヴェルディらしいサッカーで勝つ」などというのは綺麗事でしかない。まず「勝つ」が無い限り、昇格はついてこない。「J1に戻ること」が絶対条件なら、私は今の監督では無理だと思っていますが、このあたりのクラブフロントの覚悟が非常に曖昧です。覚悟があったなら、7連敗も喫した監督の留任など有り得ない。「ヴェルディらしいサッカー」の幻影を追いかけているだけに思えてなりません。


一方、翻って自分はどんなヴェルディを見たいのか。
再びJ1で戦うヴェルディ…、これは見たい。とっても見たい。そのために8人で守って2人で攻撃するヴェルディ…、これは見たくないけれど我慢する。ユースからの育成に再びスポットライトを当てて、指導育成に長けた監督を迎え入れ3〜5年計画で再びJ1に戻るために長期的視野に立って戦うヴェルディ…、これも悪くない。
過去の幻影にだけすがって現状を直視しようとしないヴェルディ…、これが一番見たくない。必死になってしゃかりきになってJ1を目指すなら、格好悪くたって監督の解任もしなきゃいけないし、もっともっとみっともないことをしてもがかなきゃいけない。
クラブフロントも監督も、もっと必死にひたむきになりふり構わず戦うヴェルディが見たい。そんなヴェルディが見られるのなら、J1でもJ2でも関係ないです。