JOMOカップは誰のもの?

まあ、間違いなくスポンサーのためのものなのでしょうが、それでも非常に違和感を覚える試合でした。


ヴェルディがJ2にいた2シーズンの間はオールスターというのは思いっきり他人事でしたし、今年のリーグ選抜による日韓対決というのも、ヴェルディの選手が1人も選ばれていない時点で昨年までと同様に思いっきり他人事の試合となりました。当然スタジアムに行く気もなかったのですが、偶然にも当日が休みになったのでテレビ中継を見ました。“見たかった”というよりは、“見なきゃいけないと思った”というのが本音です。見なきゃいけないと思った理由、それは冒頭にも書いた「JOMOカップは誰のもの?」という疑問です。


昨年までのようにJ1のクラブ全てから選手が選ばれ、東西なり何なりとにかく二分されて戦うのであれば、J1各クラブのサポにとって“お祭り”的な要素の強い楽しめるイベントだったと思います。普段はなかなか交流のないマスコット同士がイベントを行ったりと、微笑ましい場面もありリーグ戦の合間の一つの風物詩と言えるような意味合いもありました。でも、日韓対決? ガチンコ勝負? それって、誰のため?


国のプライドを掛けた戦いなら代表同士の戦いで充分だし、別にリーグ選抜でやる必要もない。またクラブの威信を賭けた日韓対決というのなら、本気も本気のACLで戦う場面に任せれば良い。そもそも野球から派生したイベントかもしれませんが、オールスターって、お祭りでしょ? ガチンコ勝負が必要なのでしょうか。日本のJリーグ選抜が敗れたことに対しお怒りの方もいるようですが、怒る意味が分からない。Jリーグ選抜に選ばれている多くの選手が、7月8月のクソ暑い時期に過密日程で大事なリーグ戦をこなしながら代表合宿にも呼ばれ、またクラブによっては直前の7月31日にプレシーズンマッチをこなしている。

選抜に選ばれるような選手はクラブでも主力であり代表でも中心選手であるわけで、普通に生活しているだけでも暑くて暑くてしょうがないこの時期にどれほど過酷な日程を要求され、そして華試合の勝ち負けについてまでとやかく言われなければならないのか。


また、このJOMOカップに選手が出場していないクラブにとっても、影響はあります。ただでさえ過密なリーグ戦を消化できる大事な週末を潰され、その影響は他の日程がわずかながらでもさらに過密になることを意味する。代表日程が重なってしまう場合の逃げの大会にもなっているナビスコカップの予選リーグ戦などならまだしも必要度は分かりますが、スポンサーの意向以外でこのJOMOカップを必要としている人は本当にいるのかどうか。JOMOカップを必要としている人は誰なのか。
優勝を争うようなクラブにとっても、残留に生き残りを賭ける状況に追い込まれているクラブにとっても、この時期にこんな試合をやる必要性というのはまったく理解できることではなく、そんな時間があるならクラブのトレーニングで調整をする時間に当てて欲しいと思う人が多いのではないでしょうか。


試合開始の頃はスタメン11人に対し、ベンチにいる選手は後半の頭から投入され45分で勘弁してもらえる選手が多数で90分頑張らなきゃいけない選手が数人出るのかと思っていたのです。が実際の選手交代はそのような時間配分ではなく、普通の勝負のように長時間ピッチに立たされる選手が多数出ました。試合終盤には走れなくなっていく選手を見ているとスコアで負けている腹立ちとかではなく、誰かの都合で酷使され疲弊していく選手に対する哀れみの気持ちが出てきてしまいました。そんな状況の中でも最後まで闘志が衰えることなく戦っている選手もいましたが、でも、全ての選手にそれを要求することは果たして正しいのかどうか。


必要性に疑問があるとは言えプレシーズンマッチなら選手が給料を貰うクラブの収入になるのですから、それも仕事のうちと言えるでしょう。浦和がバイエルン・ミュンヘン相手に埼玉スタジアムで27,292人、横浜FMボーフム相手に日産スタジアムで9,653人、FC東京オリンピア相手に味の素スタジアムで6,122人と、どこも集客に苦労しているようですが、それでもクラブ主催のプレシーズンマッチなら仕事のうちでしょうがない。
でも、日韓リーグ選抜となったこのJOMOカップは、本当に誰のためのものなのでしょうか。必要?