北京五輪 女子 日本 - ニュージーランド

自滅かなぁ。
負けたわけではないので、自滅って言葉は正しくないかもしれませんが、でもどうしても日本自らが自滅したように思えてしまう試合でした。


おそらく自分たちのほうが日本より技術的には不利だと自覚していたであろうニュージーランドは試合開始からパワーを掛けて日本陣内から激しくプレスを掛けてきました。もちろん90分間に渡って運動量が保てないことは分かっていたでしょうが、それでも自分たちの不利さを補うために消極的に守ることを選択せず、積極的に攻撃的に守ることを選択したのだろうと思います。そしてニュージーランドのその作戦は半分はうまくいった。試合開始から15分間の日本代表はニュージーランド選手の出足とプレスにタジタジでボールをつなげず、日本のペースには持ち込めなかった。しかしもう半分の失敗はニュージーランドがやはり技術的に足りない部分も多く、日本から得点を奪うまでにはペースを握れなかった。


そんなニュージランドの時間をしのいだ日本代表は、足の止まってきたニュージーランドのプレスをかいくぐり、前半の15分以降はボールをつなぎ自分たちのリズムで攻撃を仕掛け、またゴール前で惜しいチャンスを作り出していく。ただ、日本にも先制点を奪えるだけの勢いは感じられませんでした。惜しいチャンスは作るけれど、点が入る気はしない。攻撃の形は作るけれどシュートが打てない(打たない?)じれったさを強く感じていました。そうこうするうちに一瞬の隙を突かれて、先制点を奪われてしまう。


この先制点も日本選手のミスと言えばミスなのですが、それよりもゲームに対する日本とニュージーランドの入り方の積極性の違いと言うのが影響しているのではないか、そんなことを考えてしまいます。日本選手の方がニュージーランドの選手と比べて技術的には一段上に居る。だから同じシチュエーションでもいくつかの選択肢を考えてしまう。日本の失点の場面でも形で言えばクリアできる体制にいたDFが足を出さずにスルーした結果、後ろから詰めてきたニュージランド選手に押し込まれてしまうというミスです。でも、まったく同じ形の攻撃が逆のニュージーランドゴール前で行われていたとしたら、ニュージーランドのDFはたとえオウンゴールになろうとも必死に足を出してクリアにいっていたのではないかと思うのです。積極性といえばそうだし、余裕がなくて選択肢がないからプレーがシンプルだとも言える。


それはゴール前の出来事だけではなくて、クロスを上げる場面でも、ニュージーランドならとりあえずシンプルにクロスをあげきってしまうけれど、日本は中の体勢などを考えて切り返しをしてチャンスを失ってしまったりとか、シュートとパスの選択肢がある場合でも、ニュージーランドならシンプルにシュートなのだけれど、日本はスルーパスを狙ってしまったりとか。サッカーの進化度としても技術度としても日本のほうが上回っているけれど、ゴールにボールを蹴りこむという原点においては、今日の試合に限ってはニュージーランドの方が意欲として上回っていたのではないかと感じています。
その中ではよく引き分けに追いついたと思うし、さすがに日本の底力を見せてくれたとは思うけれど、ボールをゴールに叩き込むという意欲においてはニュージーランドの方が上回っていたかな。


で冒頭の”自滅”という言葉に戻るわけですが、今日の試合に限っては日本の方がうまくサッカーをやろうと思いすぎて、うまく相手を崩そうと思いすぎて、うまくピンチをしのごうと思いすぎて、結局は先に失点してしまった。自ら歯車を狂わせてしまった試合に思えてなりません。例えば初戦の相手が明らかに自分たちよりも強い相手だったならば、今日と同じような試合の入り方をしたのだろうか。逆に今日のニュージーランドのような入り方をしたのではないか。でも、本当の強国は自分たちよりも弱い相手に対してでも、このような重要な大会の初戦なら相手を圧倒するようなフルパワーで試合に入るのではないか。そんなことを考えると今日の日本は自滅してしまったのかもな、と。


最後に追いついたことで決勝トーナメント進出の可能性が低くはなったけれどなくなったわけではないので、次からの試合にもかすかな希望が残ったと思うので、残り二試合は今日のようなぬるい入り方ではなく、今日の試合で2点差をつけられてから以降のような必死の雰囲気で試合開始からゲームに入ってくれることを願います。そうすればきっと良い結果が付いてきてくれるのではないかと思います。
それにしてもニュージーランドのユニフォームですが、何であんなに透けるのでしょう?