日本 - オーストラリア アジアカップ決勝

いやぁ、勝ちました、優勝ですよ、優勝。試合後の無駄に弩派手なセレモニーを見ながら、「2位じゃダメなんだよな…」としみじみ嬉しさがこみ上げてきました。代表チームの成長と成熟が今回のアジアカップの日本代表のテーマだったと思いますが、トーナメントに入ったら、勝たないとね。特に決勝の勝敗は天と地ほどの違いがありますから、本当に素晴らしい結果でした。


試合についてはもうザック監督の選手交代と選手達の踏ん張りに尽きると思います。
まずはザック監督の選手交代。怪我で離脱した香川選手の代わりにスタメンに入れた藤本選手が機能していたとは思いませんが、それを見切ったときの岩政選手の投入による複数のポジションチェンジは見事でした。CBに岩政を入れることによって競り合いの高さを稼ぎ、右SBに今野選手を押し出すことによってサイドからのクロスを警戒し、長友を1列上げることによってサイドの攻防で主導権を握り相手の攻撃の芽を摘んでしまう。恐らく事前に練習していた選手配置ではないと思いますが、それぞれの選手の特徴を生かした選手交代でした。


そして選手達の踏ん張り。何度も決定的なピンチを防いだ川島をはじめ、決して日本ペースとは言えなかった試合の流れの中でも徹底的にオーストラリアの高さあるパワープレーの攻撃に耐え続けたこと。これなどは2006年のドイツワールドカップでのオーストラリア戦での苦い教訓や、2010年の南アフリカワールドカップでの戦い方が大きな経験として活きているのでしょうね。耐えに耐えて、必ず来るだろう自分達の時間帯のワンチャンスに賭ける。それを決めた李も素晴らしかった。そして延長終盤にいたるまで運動量と動きのキレが落ちなかった長友も素晴らしい。大会MVPは本田△でしたが、個人的にMVPを決めて良いならダントツで長友を推します。ほとんどの試合で左サイドを日本のものにしてくれたあの運動量はマイMVPです。


試合の序盤は圧倒的なペースを握ったオーストラリアでしたが、時間の経過とともに怖さがどんどん薄れていきました。経験の多い選手がいることはプラスにも働きますが、消耗戦となった延長の時間帯においては日本代表以上に足が動いてなかったように感じました。日本の選手達も疲れていましたが、中盤のプレーヤーにいい形でボールが入れば日本は得点できると確信できた延長戦でした。日本が失点するというイメージはほとんど沸かなかった。なぜか負ける気はしませんでした。ただ、日本が得点するとしたらあまり消耗していない途中交替の選手にチャンスが回ったときだと思っていましたが、まさか李があんな見事なボレーシュートを決めるとは想像できませんでした。一瞬のキレで相手選手を置き去りにしてゴールへ押し込んでくれるような得点をイメージしていたのですが、良い方に裏切られました。本当に見事なシュートでした。


大会を通じて今回の日本代表の成長と一体感の強さというものを非常に感じることができました。アジアカップを獲って帰るという選手達の強い思いもあったお思い増すが、やはりザックの監督としての能力というものも随所に感じられました。凄いスーパーカリスマ的な監督ではないかもしれませんが、堅実に仕事をしていく真面目な監督だなと。最初から100点を取る監督ではないかもしれませんが、修正能力は半端ないなと感じることが随所にありました。それは試合中の選手交代だったり、試合と試合の間の修正だったり。特に選手に対するメンタルのコントロールに非常に長けた監督なのだろうという印象を持ちました。南アフリカ大会を終えて世代交代していくだろう日本代表にとっては、非常にマッチする監督を原さんが連れてきてくれたかなという感じです。原博美、ありがとう。


それにしても表彰式の紙吹雪と花火は弩派手でしたね。どんだけの銀紙と金紙?を用意したんだという紙吹雪と、スタジアムが爆発しちゃうんじゃないかというような量の花火と(笑)。それを最後まできちんと中継してくれたNHK-BSにも感謝です。本当はもう少し早くスタジオの肩さんを見たかったけれど。
お互いに負けたくない決勝戦でしたが、審判もオーストラリアの選手達も後味の悪くならない非常に良い相手でした。ゆったりとした進行で進む表彰式を見ながら、本当に2位じゃなくて優勝でよかったとしみじみ思いました。コンフェデですよ、コンフェデ。これでアジア初のアジアカップ4度目の制覇だし、アルゼンチンを破って暫定保持している世界タイトルも防衛できたし(笑)、言うことなしの決勝戦でした。正月もなく活動していた選手達と日本代表のスタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。