日本 - アゼルバイジャン

所用で試合開始直後に帰宅しスタメンを知らないまま見始めたので、本当に雑感なんですけど140文字では書ききれないような気がするので、こちらで少し。


前半の日本代表は本田選手の代表復帰が話題の中心だと思いますが(個人的には本田の4番は好き)、久しぶりに本田、香川、長友、岡崎選手の揃った日本代表の攻撃を楽しみました。これに森本選手や長谷部、細貝選手の欧州クラブ所属選手が加わり、非常にテンポの良いパスをまわす。アゼルバイジャンの守備がタイトに寄せ切れなかったことを差し引いても、美しいパスまわしがありました。そしてそのパス回しは基本的に縦にボールを運んでいくためのパス回しであって、攻撃の目標としては常に相手のゴールに迫ることを前提としているので、見ていてじれったくならないパス回しでした。得点は時間の問題と思って見ていましたが、香川選手のビューティフルなゴールが生まれました。テレビ解説諸氏は相手DFの不要なスライディングを取り上げていましたが、それでもあの位置から落ち着いて切り返し、落ち着いてファーサイドのサイドネットにパスをするようにシュートを撃てる香川選手は素晴らしい。女子の川澄選手のプレーでも感じることがありますが、香川選手には激しい動きの中でも冷静にゴールへの道筋が見えているのだろうという安心感を感じます。


一方で後半の日本代表はギクシャクしていましたね。後半から何人か選手を代えましたが、選手の個人的な問題というよりは、ちょっと文化的なバックボーンの違いのようなことを感じてしまいました。


もちろんこの試合は本番前の貴重な練習試合ですから、新しい選手を試すことは正しい選択であり、必要なことだと思います。でも、例えば前半の日本代表はほとんどの選手を欧州クラブ所属選手で固めていましたから、選手間に共通したパスまわしのリズムや距離感や位置取りの文法が存在しているかのようにパスがまわっているように思えました。これは多くの選手が意識しなくても同じ2進法でパスという会話を交わしているように思えましたが、後半はJクラブ所属の選手が入ってきて2進法のリズムの中に10進法で考えている選手がいるかのようで、途端にパスの会話のリズムが悪くなってしまった。誰が良い悪いではなく、日々のリーグ戦でこなしている試合のリズムやバックボーンが違う。その違いをこの試合に臨むまでの期間では修正や統一をしきれていないように感じました。アジアカップなどのように長期間多くの選手が集まり1ヶ月間ぐらいかけて6試合をこなすような大会ならうまくチームの熟成ができると思いますが、集まって試合をしてすぐ解散のワールドカップ予選だとなかなか難しい。まあ、幸いにも今回の最終予選の日程は3試合が1パッケージのように使えるかもしれないので、少しだけ熟成のチャンスはあるかもしれませんね。


本番の予選については相手のマークがもっとタイトになり粘り強くなることが予想されると思いますので今日の前半のように楽にボールを前に運べないかもしれませんが、まあ主力選手の複数に怪我などのコンディション不良がでなければ、何とかなっちゃうんだろうなと思います。
ただ上にも書きましたが欧州クラブ所属選手のボールの運び方とJクラブ所属選手のボールの運び方のリズムの違いが気になります。日頃から激しいプレスと大柄な選手を相手にしているだろう欧州クラブ所属の選手達は自分がボールを受ける前に味方選手の位置と寄せてくる相手選手の位置を把握していて、ボールを受けるときに少しボールを動かしてパスの角度を作り最初から想定している味方選手に素早くパスをつける。その受ける側の選手も常に受けられる位置に自分から先に動く。そういう簡単なパス&ムーブをサボることなく繰り返し2進法のリズムを作る。でも、Jクラブ所属の選手は(個人的に誰が問題というわけではなく傾向として)、パスを受けてから次の出しどころを探しているように見えるし、次に受けるはずの選手も自分から動き出さずに状況を見て待ってしまう。オシムさんがよく攻撃は自分からリスクをおかせ的なことをおっしゃっていましたが、どうしてもリスクをおかさず責任を負わない10進法的なプレーが多くなってリズムがギクシャクしてしまっているように見えました。言うのは簡単だけど、解決するのは難しい問題ですかね。