オマーン - 日本 WCアジア最終予選

日本も強くなりましたねぇ、本当に。中東アウェイの試合で先制をしたにも関わらず追いつかれてしまった展開で、20年前なら逆転されたかもしれないし、10年前ならなんとか引き分けで逃げ切ったかもしれないけど、今の日本代表は勝ち越しましたからねぇ。もちろん相手が中堅国というか成長国のオマーンであり、10年20年前に戦っていたのは全盛期のサウジアラビアやイラン、イラクだという違いはありますけど、それでも勝ち越せるのはメンタルや技術の成長とか進歩を感じる試合でした。


高地とか灼熱とか、サッカーの技術戦術の前に地理的気候的条件が大きく影響する試合でしたから、日本のミスが多いとか走れていない選手がいるとかセルジオさんのように重箱の隅を突いてもしょうがない試合だと思います。欧州リーグ所属の選手は試合の合い間を縫って、Jリーグ所属の選手もリーグ戦終盤の大事な試合をこなしつつの集まってすぐの試合ですから、内容よりも結果が全ての試合です。親善試合は内容を重視し公式戦は結果が全ては当たり前のことですが、今日の公式戦は試合の設定から見ても内容を云々しても一番しょうがない試合だと思います。まず、結果。


その前提条件の中でも吉田選手は辛そうでしたね。今日のセンターバックの2人のうち今野選手は攻守に効いてて何をやってもうまくいきそうな雰囲気を持ってる試合でしたが、吉田選手は何をやってもうまくいかないような持ってない試合でした。ただ上にも書いたけど、この試合はそれを論じてもしょうがない。そのような選手を抱えてる中で、ベンチにいる選手の顔ぶれと見比べながらやりくりするしかない試合でした。


そして1枚目の交代のまだやれそうな前田選手アウトの酒井高徳選手インという交代も、あまり走れなくなっていた本田選手をどうするか考えた結果の、守備の負担を軽くするために1トップへあげたのではないかと思いながら見てました。前田選手は有効なカードだけど、本田選手のパスとキープと左足も捨てがたい。状況としては日本がリードしているのだから、フレッシュな酒井高徳選手をDFラインに入れてスタミナのある長友選手で中盤を固めて、あわよくば本田選手の左足で追加点。まあリードしてるから得点はできなくてもしょうがない、ぐらいの交代だったのではないかと思います。ただ、オマーンに同点弾を決められてしまったので交代の意図は半分外れたのですが、酒井高徳選手の突破から勝ち越し点が生まれましたから結果オーライでしたけど。


それにしても日本のサイドバックの選手層だけど、内田、駒野選手が怪我で使えないのに試合中に長友選手を一列上げられる交代ができる選手層を作ってきたのが日本の強さですね。ザックさんが鉄板のスタメンと言われながらも、実は地味に選手層を広げてたのもあるし、その選択肢を生み出す日本サッカーの底力って感じです。選手交代は1枚だけど複数のポジションを動かすことで試合の流れを変えることを狙う交代は時々見ますが、長友選手のように複数ポジションをそれなりの力でこなせる選手がいてこその采配ですしね。


同点にされたあと勝ち越しを狙うのか引き分けオッケーなのかザックさんの交代を興味深く見ていたのですが、細貝選手のチョイスも中盤の底に動ける選手を投入して守りを固めつつ、遠藤選手を一列上げてワンタッチでのビッグチャンスを狙いたいという欲張りな交代でした。結果的には途中交代の酒井高徳選手のクロスに対しニアに飛び込んだのは遠藤選手でしたし、ザックさまさまという感じです。先の読める恐ろしい監督なのかツキを持っている監督なのかは分かりませんが、今の日本代表にはよくマッチしている監督であることは確かなようです。


結果が全ての公式戦で、さらにあの気候では引き分けもやむなしの試合の中で、岡崎選手の勝ち越しゴールには喜びやガッツポーズよりも何だかうまくいき過ぎて笑っちゃう感じでした。日本が勝ち越した瞬間に静まり返ったスタジアムの雰囲気も笑っちゃいましたけど。テレビでも何度か映ってましたけどカエルの一平くんがいたのにも笑ったな。