親善試合 フランス - 日本

このところ個人的に忙しい季節でライブで見るのは諦めて録画をして夜に見たのですが、これはライブで見た人が羨ましい試合でしたね。親善試合とは言えフランスに初勝利をする日本代表をライブで見たこともあるけど、85分間の鬱憤をあのカウンター攻撃一発で解消するどころか歓喜に変えるその瞬間を筋書きを知らずに見ることができた、ただそれだけで羨ましい。


所詮親善試合であることは確か。でも、フランスにとってはワールドカップ予選を控えた大事なテストマッチだし、日本にとっては普段アジアの枠を出て闘うチャンスのない試合が多い中での貴重なアウェイ試合。フランスは温存だし日本は怪我人を欠いての試合、事情は違えどもベストメンバーと言えない中での、それでも大観衆を飲み込んだフランスホームの試合ですから、親善試合の中でもけっこう真剣勝負の試合でしたね。日本にとっては相手に不足はない。


前半はホームの大観衆に後押しされ、またレギュラーとは言い切れないフランスのスタメン選手が張り切って攻めてきたこともあり、日本は防戦一方でしたが、それでも本格的に危なかったのは数えるほどでした。もちろんセットプレーの連続でほんの一瞬マークを外せば即失点でしたが、この前のイラク戦の方がコーナーキックでマーク外してたし危なかったし。それに比べればこの試合は攻められてはいるけどやられてはいない前半45分という感じでした。時折日本もパスをつないで相手陣内まで持ち込むこともできましたが、フィニッシュまではいけなかった。この辺りは対フランスがどうこうよりもレギュラーの前線3枚の本田、前田、岡崎を怪我で欠く連係不足は否めない感じでした。
右サイドの清武、酒井宏は焦って前に勝負してボールを失う。左サイドの香川、長友は孤立してボール失う。そして中央は本田がいないからボールを失う。中央である程度キープして時間を作ることが出来る本田の存在感が、いなくなって際立つ中央からの攻めでした。ハーフナーももう少しキープできたらねぇ。


後半はフランスもメンバーを変えてきたり、また最初から飛ばしてきたのに日本を仕留められなかったからか足が止まってきたので、日本が主導権を持ってボールをまわすことができるようになりました。もちろん五分五分というぐらいだけど、それでも長友の左サイドを基点にしてクロスを入れることが出来るようになったり、中央に移動した香川が相手の隙間でボールを受けて前を向けるようになったり。特に右から清武、香川、乾と並んだチビッコトリオはフランスのDFも止めにくかったんじゃないかな、チョコマカして。
そしてあのカウンター。直線的に見事に決まったカウンター攻撃だったけれど、スタメンから90分近く闘っている今野や長友の全力疾走にフランス選手がまったくついていけていないことが最高だった。体格では負けるけどスタミナでは負けないぜっていう日本の面目躍如って感じでした。自陣のコーナーキックでも2枚残していた香川、乾に加え、右から長友、内田、香川と3枚並んでフランスゴールに迫り、最後には中央の香川とファーサイドの乾を加えて5枚に増えた日本の白いユニフォームがフランスの青いユニフォームを圧倒して飲み込んでいく様は爽快でした。ライブで見てたら早朝だけど大声で叫んだんだろうな。


親善試合ですからフランスに勝ったからといって何か日本サッカーの歴史が変わるほどの出来事だとは思いません。でも、日本のFIFAランクは決して過大評価ではなく20位前後の実力が本当にあることは証明できたのではないかと思います。順位は今ぐらいでもう充分で、あとはワールドカップのたびにベスト16は妥当で充分実現可能な現実的目標として、さらにベスト8やベスト4を狙う。ワールドカップに出ることが目標でグループリーグに勝つことが目標だった時代、フランスに0-5で負けてた時代に比べると、本当に思えば遠くへきたもんだ。