日本一周 災難続き編

この旅で最初のキャンプの朝が来た。
朝はお湯を沸かして、スープとパン。とにかく簡単に済ませる。だって、朝から洗い物したくないから。
移動の日ならキャンプ道具の撤収があるけれど、今朝は連泊なのでなし。シュラフ(寝袋)をテントの上にのせて、今夜も気持ちよく寝られるように干してからテントの中に放り込む。


今日は身軽な装備で美瑛方面に向かうつもりだった。だったという過去形なのは、キャンプ場を出発して10分も経たないうちに前輪がパンクして、予定が変わってしまったから。
バイクを道路の脇に寄せて寝かし、旅に出て数日目で早速のパンク修理だ。 場所は白金温泉からさらに道を登った美瑛川のほとりで、地元の車は通らないところだった。 早速パンク修理を始めると、通りがかった別のライダーが心配して止まってくれた。2人で作業をしていると、さらに別のライダーが止まってくれた。見ず知らずの3人で「あーでもないこーでもない」と言いながら、楽しく作業をしてしまった。


幸いにも前輪だったのでタイヤを落としチューブを取り出す作業が楽だった。後輪だとバイクにはチェーンとかあって作業がやりにくいから。 そしてもう1つラッキーだったのは、道路が小川のほとりで水がすぐそばにあったこと。チューブの穴を探す為には、水をかけながら穴が開いている場所を見つけなければならないのだけど、山中なのに水がすぐそばにあった。穴を見つけ、ヤスリをかけて、接着剤でゴムパッチを貼って、空気を入れて、水をかけて空気が漏れていないか確認して、タイヤを元に戻して作業完了。

パンク修理というトラブルなのに、止まってくれた2人のライダーのおかげで楽しく作業ができた。お互いに名前も名乗らなかったけれど、ありがとう。2人を見送ってから、工具を撤収し走り出す。美瑛の町に下りて、通りがかりのバイク屋で空気圧だけ確認して、復活。


今日は美瑛周辺の丘の町を走り回る。拓真館に立ち寄り、うねる丘陵地帯を走り倒す。一日走り回ってキャンプ場に戻り入浴と夕食。夕食が終わってボーっとしていたら、他のキャンパーから花火を一緒にしないかと誘われたので、数人で線香花火をする。名前も知らない人たちと車座になって話をしている自分が不思議だ。


夜も更けてきたので皆にお休みを言ってテントに戻り寝た。寝てからどれぐらい経っただろう、足の激痛で目が覚めた。
慌てて足を確認すると、蜂が太ももを刺している。慌てて蜂をつまみ出して、針を抜く。どうやら日中外に干しているうちに蜂が入り込んでいたらしい。幸いにもミツバチのような蜂だったので薬を塗って寝ようとするが、ジンジンして寝られないよ。蜂は嫌いだ。さんざんな一日だった。


翌朝、キャンプ道具を撤収した。次の場所へ旅立とう。
旭川を抜け、日本海を目指す。山にいたから次は海という単純な理由だった。そんな何気ない理由で向かった日本海側だったが、道路は気持ち良いし、それよりも最高のキャンプ場に出会えた。
留萌から国道232号線を北上すると、初山別村と言う何もない村がある。でも、ここのキャンプ場が最高だった。


国道から1キロぐらい道をそれた岬の先端に天文台がある。その横に公園があって、無料のキャンプ場になっている。トイレも水場も綺麗だし、高台の下のパークゴルフができる公園を横切ると村営の宿泊施設があって温泉に入浴することもできる。
http://www.hosyu.gr.jp/midokoro/spot_syosan.htm

そして何より最高なのは、キャンプサイトから日本海に沈む夕陽が見えることだ。遠くには利尻島も見える。風呂上りのキャンプサイトで、ビールを片手に折りたたみの椅子に座り、落ちていく夕陽を眺めること以上の贅沢はないと思う。
このキャンプ場は最高だったので、1泊で移動することにした。なぜかというと、お盆休みの北海道が一番混む時期にどこかのキャンプ場に沈没しようと考えていたが、その避難場所をここに決めたからだ。


さらに海沿いの道を北上し、日本海に見える離島に向かおう。