日本一周 停滞編

昨夜は初山別村みさき台公園のキャンプ場にテントを張った。
http://www.hosyu.gr.jp/midokoro/spot_syosan.htm
ここは7月に訪れとても気に入ったが、その時は連泊をせず一晩泊まっただけで旅立っていた。なぜ気に入ったのに連泊をしなかったかというと、夏の北海道を走り回るにあたり、「夏休みのピークをどこでやり過ごすか」は自分の中で大きなテーマとなっていたからだ。


夏の北海道は道外から様々な旅人がやってくるが、8月の10日を過ぎると道内の人々も一斉に夏休みを満喫しだし、その多くの人々がキャンプ場やキャンプのできる海岸にテントを張ることを知っていたからだ。テント白はお金を節約する為にやっていることだが、どうせ泊まるなら静かでロケーションの良いところに泊まりたいし、キャンプ場に着いてみたら、人が一杯でテントを張る場所すらない、などという状況にはなりたくない。人の集まる人気キャンプ場を避け、気に入った場所で長期の連泊を洒落込もうと決めていた。その場所がこの初山別岬センターだったわけだ。


キャンプサイトの中で、水場とトイレに近すぎず遠すぎないところにテントを張り、ここで4、5泊するつもりだった。昼間は近くに走りに行ってもいいし、ブラブラウダウダしていても良い。なんと言う贅沢。
この日のために、走る途中で文庫本と大量の漫画本を仕入れておいた。元々キャンプ道具など大荷物をリアシートにくくりつけているので、今さら本が20冊ぐらい増えても変わらない。漫画の単行本を20冊も抱えて走っているライダーなどそうもいないだろう。


この停滞していた間、何日に何をしていたかはほとんど覚えていない。朝起きて朝食を食べ、かたずけると再びテントの中でゴロゴロする。天気が良ければテントの前に置いた折りたたみの椅子で本を読み、天気が悪ければテントの中で本を読む。昼頃になって暑くなった日はテントの中で水着に着替え、高台から下の海岸に降り海水浴をする。まあ、海水浴といっても水温が低くて、夏なのに冷水の我慢大会のようだったが。子供たち数人は元気よく水に入っていたが、大人で入っている人はいなかった。


気が向いたらみさき台公園内のパターゴルフをして、散歩をする。夕方になると近くの街(といっても、店が数軒あるだけ)までバイクで買出しに行く。夕食の準備を整えながら(米を研いで水に浸しておく)途中で岬センターの風呂に入り、風呂上りにビールを飲む。ビール片手にキャンプサイトまで芝生の公園を歩き、米を炊く。炊き上がるまで、またビール。
日本海に沈む夕陽を見ながら飲むビールは、最高だ。


食事を作るのが面倒くさい日は、岬センターに併設された食堂で定食を食べてしまう。旅に出てからテレビには縁が無いが、ちょうど夕食を食べる頃は昔見たドラマの再放送をやっていて、テーブルについてテレビを見る。
テントに戻り、シュラフに入り、束の間ラジオの電源を入れる。NHKで天気予報だけ確認して、ラジオを切る。まわりの喧騒につつまれながら、静かに眠りに落ちていく。


と、ここまでは良い事ばかりを書いたが、当然悪い事もあった。
さすがにお盆が近くなるとこのキャンプ場も混雑してきて、隣のテントもすぐ近くに張られるようになった。区画を仕切っていないキャンプ場の場合、空いていれば適度に距離を空けてテントを張るが、混雑してくると隣との距離は無法地帯になる。幸い、隣の寝息が聞こえるほど近くにはテントを張られなかったが、ひとつショックなことがあった。


隣に、大人数のオートキャンプの一家がやってきた。テントも大きいし、テーブルの高さも高い。足の付いたコンロでバーベキューを始めたのだが、内容も豪華そうだ。混雑しているので、見たくなくても見えてしまう。こちらは折りたたみの低い椅子に腰掛けてレトルトなんかを食べているのに、隣の犬がバーベキューの肉を食べている…。俺の食事より隣の犬が良いものを食べている…。その夜は、ふて寝した。


結局、買い物以外ほとんどバイクに乗らなかった。こうして、北海道の夏休みのピークを越した。