DAY 7

今日もトゥール滞在。昨日に続きSNCFに乗ってシュノンソー城に行くつもりだ。トゥールの街から出ている1日観光バスの古城めぐりのツアーに乗れば、1日でいくつものお城を回れることは分かっていたが、交通の便の悪い鉄道に乗っていくことにしていた。特別なこだわりや理由があるわけではないが、何かに乗せられて連れて行かれるよりは、片言の言葉しか話せなくても自分の力で(と言ってもたいしたものではないが…)行ったほうが思い出に残ると思ったからだ。


暑い日だった。昨日乗ったブロワに向かう鉄道よりもさらにローカルな雰囲気の漂う路線で、シュノンソー城の近くの駅に降りた乗客は3組で6人ぐらいだった。その中で日本人は自分たちだけだったが、その3組はつかず離れず線路沿いの道をシュノンソー城に向かって歩いていた。城の入り口が見えて観光バスの駐車場を過ぎると、一気にそこはローカルな町から観光地になった。
シュノンソー城は川にかかる橋の上に建てられている城なので、とても綺麗だった。まわりのあふれるほどの緑と川面の沈んだ色、そして広がる青空が最高の景色を形作っていた。城も綺麗だったが、少し裏手にあった英国風の庭園も見事だった。こちらは観光コースを外れているのか訪れる人も少なく、大きな庭園に咲いているたくさんの花々を独り占めしているかのようだった。


城から駅に戻る道は、あえて遠回りをして踏み切りを渡って、来たときとは反対側の町の中を通ってみた。町としてはとてもローカルで小さな集落だったが、駅の近くにあるカフェかバーのようなお店で飲んだパナッシェがとても美味しかった。この日が特別に暑かったこともあるかもしれないが、フランスの片田舎の駅の近くで、外のテーブルに腰掛けてパナッシェを飲んでいる自分なんて、来る前はとても想像がつかなかい。観光地を歩いている姿なら、想像がつくかもしれないけれど。


帰りの列車に乗るために駅のホームに行くと、列車を待っている乗客が一緒に降りた人たちだけだった時には笑ってしまった。それぐらい列車の本数が少ないローカル線だった。