女子代表 北朝鮮戦を少しだけ振り返って

夢かなった」いざアテネ アベック出場に歓喜の輪
一晩たったので、少しだけ冷静に振り返ってみたいと思います。時間がたっても勝った事はとてもうれしい。
試合としては完勝でしたが、個々の1対1の場面では北朝鮮選手が優っていました。止まっている状態からの動き出しの速さ、ボールを持ってからの突破にはいる加速、動きと逆方向への切り返しや反転、個人能力(運動能力)では北朝鮮選手がほとんどすべての局面で勝ってました。
でも、組織やチームとしては日本代表の圧勝でした。監督の指導方針や合宿等の強化がとてもうまくいったということも、もちろんあるとは思いますが、一人一人の選手のサッカーにかける気持ちの違いの勝利ではないかと感じています。北朝鮮の選手達は運動能力に優れた子供達をスカウトして、国策としてスポーツの強化競技であるサッカー選手にしていると聞きます。それに対して日本選手達は決して体格や環境に恵まれなくてもサッカーが好きで頑張ってきた選手達です。誰からやらされているのでもなく、厳しい環境の中、自分の意志でここまでやってきた選手達の情熱の勝利であると思っています。自分達の力で日本の女子サッカーの歴史を作るんだ、自分達の力で女子サッカーの注目度を上げるんだ、自分達の力で未来への扉を開くんだ、そういう強い気持ちが競り合いで足を出させ、相手のシュートに体を張る、そういうプレーにつながり、90分間集中を切らさない素晴らしい戦いになりました。今の男子日本代表が失ってしまっているものを、昨日の女子代表チームは強烈にアピールしてくれました。
同じ事はスタジアムに集まった応援する人々についても感じています。北朝鮮の応援団は動員された人たちであると聞きました。一方日本の応援は自発的に女子代表を応援するために、自らの意思で国立に集まったサポーター達です。やはり応援の情熱も違うと感じていました。国立へ行ったみなさん、本当に素晴らしい応援でした。アジアサッカー連盟の通達により、ホームとアウェイの境界をはっきり分けさせられたことにより、男子代表のように両ゴール裏から違うコールが聞こえることもなく、ホームで戦うピッチとスタンドの一体感がとても伝わってくる応援でした。確実に選手の背中を押し、足を一歩前に出させる応援だったと思います。
北朝鮮の選手達にとっては、祖国での列車爆発事故のニュースなどもあり、試合に臨む気持ちの持ち方も難しかったと思いますがフェアな戦いでした。日本の勝利はチームだけでなく、選手をサポートする家族やスタッフ、協会(この件は素直に誉める)、サポーター、すべての勝利であると感じます。みなさん、おめでとう、そしてありがとう。